早ければ、来夏の参院選から高校生を含む18歳以上が有権者に加わる。選挙権を持つ年齢を引き下げる公職選挙法の改正案が、今国会で成立する見通しだ。
選挙権は主権者の国民が行使する民主主義の柱であり、70年ぶりに引き下げる意義は極めて大きい。未来を担う若い世代が国づくりの責任を自覚し公正な一票を投じられるよう、教育への配慮を十分行ってもらいたい。
選挙権年齢引き下げは、昭和20年に「25歳以上」から「20歳以上」に変更されて以来となる。成立は確実な情勢で、公布から周知期間を経て施行される。来年夏の参院選で適用されれば18、19歳の約240万人が新有権者となり、現在の高校2、3年と高校1年の一部が含まれる。
投票率が低い若者世代の政治や選挙への関心をいかに高めるかが問われる。学年に応じて社会参加や選挙の意義、仕組みなどの理解を深めていく教育が、一層必要となるだろう。
選挙権年齢の引き下げは、昨年6月施行の改正国民投票法で、憲法改正国民投票の投票年齢を平成30年から「18歳以上」へ引き下げることに伴うものだ。
総務省や文部科学省は、模擬投票など体験型の学習を含め、憲法や政治に関する教育の充実を教育委員会や学校に促している。
懸念されるのは、こうした教育の機会を捉えて一部の教員らが特定の政治的主張を教室に持ち込むことだ。
今年の日教組教研集会でも、中学の授業で「立憲主義」について「権力を持つ者をしばる」といった説明を強調し、憲法改正を目指す安倍晋三首相を批判するような授業が報告された。教員の一方的な考えを押しつけたり、生徒を誘導したりする授業が相変わらず行われているのが実態だ。
自民党は主権者としての自覚を促す教育のあり方を検討するとともに、偏向指導の歯止めも打ち出す方針だ。教員には政治的中立が強く求められ、政治活動を教室に持ち込むことがあってはならない。早急な手立てが必要だ。
学校教育を含めて個人の人権が強調されるあまり、公共の福祉など「公」の大切さについて教える機会が少なくなかったか。バランスのとれた指導で多様な見方を育み、政治や選挙への関心を高めていくことが必要だろう。