産経抄

われこそは正義の味方とばかりにかさにかかっている新聞や野党、ご都合主義が過ぎる 6月17日

 自分たちの過去の言動は忘れ、高飛車に他者を非難する。そんな新聞や野党の二重基準には、つくづくうんざりする。学校法人加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、義家弘介文部科学副大臣が、文書を流した文科省職員を守秘義務違反で処分する可能性に触れたところ、袋だたきに遭った件である。

 ▼「政権は文書の存在を語る者の口を封じるような行いさえした。(中略)考え違いもはなはだしい」。16日付朝日新聞社説がこう批判すれば、同日付毎日新聞社説も息を合わせて糾弾する。「告発への威嚇ともとれる発言だ。政と官の関係のゆがみの表れだろう」。

 ▼民進党の蓮舫代表も「保護しないといけない者を処分の対象とする。安倍晋三内閣の姿は、絶対に許してはいけない」と息巻いていた。われこそは正義の味方とばかりにかさにかかっているが、ご都合主義が過ぎる。

 ▼平成22年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で、中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりする事件があった。当時の民主党の菅直人内閣は海保が即日公開する予定だった衝突映像を隠蔽(いんぺい)したため、海上保安官だった一色正春氏が義憤にかられ、映像をインターネットに流した。

 ▼この時、朝日社説は「政府や国会の意思に反することであり、許されない」、毎日社説は「国家公務員が政権の方針と国会の判断に公然と異を唱えた『倒閣運動』でもある」と決め付けた。菅内閣の仙谷由人官房長官は「由々しき事件だ。徹底的に調べないといけない」と強調していた。

 ▼菅内閣の「ご意向」に反する公務員はけしからんと説いた新聞が、今では文書を漏らした職員を英雄扱いして持ち上げている。民進党ともども前非を悔いて、一色氏に謝罪して出直したらどうか。

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