Amazonクラウド、VMwareのイメージファイルをクラウドへインポートできる新機能

2010年12月20日

Amazonクラウドは、VMwareのVMDKイメージファイルをクラウドへインポート可能な機能「VM Import」を発表しました

この機能により企業は、仮想化したサーバ上で動作するアプリケーションを必要に応じてまるごとAmazonクラウドへ移動することが容易になるため、例えばオンプレミスのワークロードがいっぱいになりそうなときだけ一時的にAmazonクラウドを利用する、といったことが以前よりやりやすくなります。

【AWS発表】 VMwareイメージをAmazon EC2上へ持ち込めるVM Importの発表 - Amazon Web Services ブログ

オンプレミスとクラウドの相互運用性が向上

Amazonクラウドの解説によると、今回対応したのはWindows Server 2008 SP2の32/64ビット版のイメージですが、今後CentOSやRed Hat、SUSEなどのLinux、Windows Server 2003やWindows Server 2008 R2などへの対応も進めていくとのこと。

いまのところインポートを行うにはコマンドラインなどからの操作が必要なようですが、数カ月以内にはVMwareの「vSphere管理コンソール」に対応するプラグインも予定されていると報道されており、VMwareユーザーにとってAmazonクラウドとの相互運用性が高まることになります。今後はHyper-VやXenといったハイパーバイザへの対応も進んでいくことでしょう。

もちろん、オンプレミスからクラウドへのイメージ転送と変換には時間がかかるため、ワークロードに応じて柔軟にシステムイメージを転送してロードバランスするということは簡単ではありません(10GBのイメージ転送に約2時間かかるという指摘もあります)。しかし、あらかじめシステムイメージを転送しておいて、データだけは動的に転送する、あるいはデータはオンプレミスに置いておき、クラウドからリモートアクセスで処理をさせる、といった選択肢もあるかもしれません。今後、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドなシステムが登場してくるときには、こうした課題を乗り越えるためのさまざまなソリューションが提供されるのではないでしょうか。

ただしAmazonクラウドへ移動したイメージをオンプレミスのVMwareに戻す点については説明されていない(おそらくできない)ので、Amazonクラウドにロックインされる可能性については気をつける必要があります。

追記 12/20:AmazonクラウドからVMwareへイメージをエクスポートができる旨、Amazonクラウド エバンジェリストの玉川さんから次の情報をいただきました。「Converting Amazon EC2 Windows Instances to VMware Workstation or VMware vSphere Virtual Machines」。

いずれにせよ、企業にとって課題であるオンプレミスとクラウドの相互運用性に新しいソリューションが1つ提供されました。オンプレミスとクラウドの境界線は、徐々にお互いに入り組んだものへと進化していくことになるのでしょう。

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