一部では「新3K(きつい・帰れない・給料が安い)」と呼ばれるほどに過酷だというのが、エステ業界だ。大手エステティックサロン『たかの友梨ビューティクリニック』では、マタハラやサービス残業の不払いが表面化、運営会社が従業員から提訴される事態に発展している。
労働時間や環境の問題もあるが、店によっては従業員に厳しい営業ノルマが課せられる。かつて大手エステサロンに6年間勤務し、現在は地方のエステ店で働く女性Yさん(40才・仮名)の話。
「私の場合、月90万円。大手エステ時代は新人でも月30万円、チーフだった私は月300万円でした。ノルマを達成できないと翌月は休みがなくなります。“業務を怠っていた”として、休日に研修や営業活動という名目で出勤させられるんです。もう、みんなノルマ達成に必死になっていました」
ノルマ達成のためには、1人でも多くの客により高額な契約を組ませたり、高価な商品を買わせるしかない。
「私は主に痩身を担当していました。最初は『体験コース1000円』で売り込んで、体験を終えると同時に営業をかけます。効果的な言葉として、『私、昔は100㎏近くあったんですけど、エステで痩せたんです』と言わされていました。もちろんウソ。フェイシャル担当の子は『ニキビ跡がひどくて肌がボコボコだったんですが、ここのエステでスベスベになったんです』が常套句でした」(Yさん)
従業員がノルマのために“身を切らされる”のも日常茶飯事だ。元エステティシャンのMさん(32才・仮名)が言う。
「店の商品を自腹で買うなんてことはみんなやってます。それも決して安くはない。1万~2万円する洗顔フォームから保湿クリームまで揃えると月5万円はかかる。生活していけないので、ローンを組んだこともありました」
たかの友梨ビューティクリニックに勤務していた元従業員のなかには、自社ブランドで販売しているアクセサリーや美顔器などの美容グッズを自腹で購入していた女性もいるという。また、自らエステコースを契約する従業員も少なくない。以前、大手エステサロンに務めていたSさん(29才・仮名)もそのひとりだ。
「入社した時に、何かしらのコースに入るように言われ、みんな入っていました。私はローンを組んで30万円の痩身コース。本当はエステの他に厳しい食事制限や運動をして痩せたんですけど、その写真をお客さんに見せて『痩せますよ』と宣伝に使っていました」
※女性セブン2015年1月8・15日号