芸能

薬師丸ひろ子の歌手としての実力と小泉今日子との違いを分析

 NHK連続テレビ小説『あまちゃん』では、ずっと音痴といわれていた鈴鹿ひろ美が見事な歌声を披露して視聴者を驚かせた。ネット上には、絶賛の声があふれている。そんななか、鈴鹿ひろ美役の薬師丸ひろ子(49才)が女優としてだけではなく、歌手としても注目が集まっている。10月には芸能生活35周年を記念した、23年ぶりの単独コンサートを開催。12月にはニューアルバムを出すことも発表している。歌手・薬師丸ひろ子の魅力を、音楽評論家の富澤一誠さんに聞いた。

 * * *
 薬師丸ひろ子は、デビュー曲の『セーラー服と機関銃』から始まって、『探偵物語』、『Woman “Wの悲劇”より』など、当時、主演映画の主題歌のほとんどを歌っていました。そのときから、歌唱力は抜群でした
 
 歌い方は、正統派と言えると思います。決してアイドル然とした歌い方はしません。聖歌隊や合唱団のように基本に忠実な歌い方で、声も透き通る伸びやかな高音が魅力です。崩したり、アレンジしたりして歌わないところも特徴です。基本に忠実だから、カラオケで歌ったときに高得点が出る、そんな歌い方とも言えるかもしれません。
 
 今回の『あまちゃん』で歌った『潮騒のメモリー』は、その歌唱力で存分に魅せたと思います。さらに、49才になりこれまでの人生経験で培われた彼女の人間としての魅力や女優としての経験が加わって、歌の表現がより豊かになっていると思いました。だから、1回の歌唱だけで多くの視聴者を感動させたのでしょう。今まで音痴と思われていた鈴鹿ひろ美の役だったこともあり、より大きな印象を残したと言えます。

 一方、『潮騒のメモリー』は、小泉今日子も歌いましたが、薬師丸の歌声とは対照的です。キョンキョンは、聞く人に“親しみ”を感じさせる歌い方ですね。それこそがアイドル・キョンキョンの真骨頂で、薬師丸とのいちばんの違いだと思います。

 アイドルは、美人すぎたり、歌がうますぎるとあまり売れない傾向にあります。それは親近感がなくなってしまうからです。1970年代、1980年代に活躍したアイドルは、歌唱力はそれほどなくても、その人自身がもつ親しみやすいキャラクターというのが重要な要素でした。それは、歌においても同様です。キョンキョンはそういった意味では、当時のアイドルの“らしさ”を見事に発揮した歌い方でした。曲の印象も彼女によく合っていましたし、これ以上ない表現力をもって歌っていたと思います。
 
『潮騒のメモリー』の歌唱力だけで言えば、薬師丸に軍配が上がるかもしれませんが、ふたりの歌声はそれぞれのキャラクターを反映した魅力にあふれていると思います。

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン