慶応義塾大学 「超ぬるま湯」の教授天国―研究せず、論文書かず、65歳まで永久パスポート
Baa優良企業予備軍 (仕事5.0、生活4.7、対価1.8) |
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- 外で稼げないとツラい
- 増える非正規雇用者
- 20代は奨学金で借金生活
- ポスドク~30代前半が勝負どころ
- 経歴詐称生む甘い人事
- 55歳で打ち止め
- 国公立大はさらに安い
- 学内業務に追われ研究ができない
- 高額の研究費をとってくる研究室が「名門」に
- 論文本数の目安
- 「過去の栄光にすがれる」教授の既得権
- 離職する理由がない
- 週3~4でキャンパスに
外で稼げないとツラい
この勤続20年超の教授に「一般に私大教授は年収1200万円ほどと言われていますが、慶應もそのくらいですか?」と尋ねると、こう答えた。
「いやいや、とんでもない。今でもそんなに貰ってないよ。大学側から言われたのは、ウチは慶応というブランドを与えるから、外でどんどん稼いでいい、と。だから大学からの給料は低いんだ、って言うんですね」
確かに、お金を払ってでも慶応大教授の肩書が欲しい人はたくさんいる。社会的地位が高いからだ。黙っていても人が集まるから、買い叩ける。全く同じ力学が、外資金融業界でのゴールドマン、コンサル業界のマッキンゼーにも言えて、両社ともブランドはトップだが、実は給料はトップではない。高い給料を出さなくてもトップの人材を採用できてしまうから、カネで釣る必要はないのだ。
だから、外で稼げないとツラい。楽天の社外取締役を務めるなど複数の役職を持つ村井純氏(環境情報学部長)の一派をはじめ、IT系の教授は稼ぎがよく、学内では「慶応から貰ってる給料なんて小遣い程度じゃないか」などと言われているという。
人材派遣会社パソナの会長職など複数の内外の役職を兼務する竹中平蔵教授も、稼ぎ頭の1人。民間企業の会長職を兼務する例は、そもそも大企業のトップを務めつつ専任の教授職に時間を割けるのかという問題から極めて稀であるが、竹中氏にしてみれば、大臣までやった自分が安月給で慶応の専任で働く理由はない。
そもそも日本の大学教授の給料は、グローバルトップクラスの6割ほど。『THE CHRONICLE』誌の「Average Faculty Salaries, 2011–12」によれば、ハーバード大のフルプロフェッサーの年俸は平均19万8400ドル(約1600万円)、イェール大で同18万400ドル(約1440万円)。トップ10はいずれも17~19万ドル台である。
つまり、商売として慶應教授を見た場合、「外で稼げるか」が最大のポイントとなる。プロフェッショナルな世界だけに、実力(外の世界での稼ぎ)による収入格差は大きい。また、分野による有利・不利もある。「歴史、哲学、文学の人たちは、外で稼げないので、かわいそうです。福田和也や江藤淳クラスにならないといけないんだから…」(特任准教授)
現実に外で稼げている教授というのは、一握りだ。慶応の教授は全体で852人もいる(2012年5月現在)が、マスコミにも登場し、本がそこそこ売れて講演に呼ばれ、世間一般に知られている者となると、ほんの数パーセントに過ぎない。ほとんどの教授は、学内からの報酬だけである。職業としての慶応教授は、それほど楽な世界ではない。
筆者の友人が、たまたま父親が慶応の教授だったので、以上の話をぶつけると、「取材は正確だね。金払ってでも慶應教授になりたい人は沢山いるから。我が家も母方の援助なければ大変でした。ただ、学費は子弟割引があったけれど」とのことだった。この友人は幼稚舎から慶應とはいえ、一人っ子である。(※子弟割引は、現在はなくなったらしい)
増える非正規雇用者
慶應は2000年代半ば、安西祐一郎塾長の時代(2001〜2009年)に、教員の給料を約1割カットした。加えて、有期雇用者、つまり非正規の教員を以前よりも増やし、総人件費を抑制した。非正規の教員は「年収が正規の8掛け」(准教授)で、いわゆる年金の3階部分もなければ退職金もないため、一気にコストダウンできるわけだ。
講師と助教の雇用形態 |
アカデミックなキャリアパスを内部昇格で駆け上がる場合、博士課程→助教(または研究員)→講師→准教授→教授となるが、特に非正規雇用者が多いのが、講師以下。人数で言うと、助教・研究員で84%、講師で91%が非正規となっている。
准教授、教授になると、
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准教授・教授の雇用形態
慶應大学教員のキャリアパスと報酬水準
逆三角形の正規教員
匿名を条件に実態を話してくれた30代のインタビュイー(357人いる准教授クラスのうちの1人)
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慶応大学は肩書つかったバイトに熱心な先生にしか旨味がないわけだ。
“安西祐一郎塾長の時代(2001〜2009年)に、教員の給料を約1割カットした。加えて、有期雇用者、つまり非正規の教員を以前よりも増やし”
タイトル間違ってないか。日本のファカルティの給料が安いって話。これはホントにそうで日本の教官に紹介してくれと言われた時に、給料すくなすぎるんでこれ無理です、という話になる。
産経文化人や自衛隊、日本会議辺りの天下り先として有名な拓殖大学てのもどうなんだろうねぇ。故・腐れチ○ポ氏なども、講義でたわごとを開陳した以外は研究したり論文を書いていたようには見えなかったが。
理系はともかく文系の教授は誰が授業しているとか重視するとか大切にする学生は少ないだろうしなぁ。予備校のほうがよっぽど誰が教えるかを重視するw
天の社外取締役を務めるなど複数の役職を持つ村井純氏(環境情報学部長)の一派をはじめ、IT系の教授は稼ぎがよく、学内では「慶応から貰ってる給料なんて小遣い程度じゃないか」などと言われているという。
"人材派遣会社パソナの会長職など複数の内外の役職を兼務する竹中平蔵教授も、稼ぎ頭の1人"ああ、貧乏人は金持ちの足を引っ張らないでくださいって言った人か。
慶応義塾大学 「超ぬるま湯」の教授天国―研究せず、論文書かず、65歳まで永久パスポート
以前からここの有料会員になってもいいかな?と考えているが、あともうちょっと背中を押してくれる記事が欲しかった。この記事はちょっと続きを読みたいかも…(とか言いながらまだ有料登録するかどうか迷い中…)
わが母校もだいぶ堕落している
チェーホフのワーニャ伯父さんを思い出したw「退職し田舎の地所に戻ってきたセレブリャコーフは、わがままでもったいぶっただけの無能な老人だった。彼はありふれた俗物学者の一人にすぎなかった」つまり金の無駄と
慶応義塾大学 「超ぬるま湯」の教授天国―研究せず、論文書かず、65歳まで永久パスポート:MyNewsJapan
ある意味正しい市場原理。人気が有るなら賃金下げる。逆に、人気は無いが社会的に不可欠な職業の賃金を上げるべき。だが、政治は人気と対価を比例させ、辛い仕事は生存権を脅かして追い込むばかりの保守・階級社会。
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読者コメント
九州大学は2023年2月27日、世界トップレベルの研究者の獲得、育成を目指し、将来活躍が見込まれる35歳前後の若手研究者を、年俸1000~1200万円で准教授として迎える、と発表した。同大の准教授の平均給与880万円を上回る。「破格の好待遇で迎え、研究面で世界的プレゼンスを高めたい」としている。https://www.sankei.com/article/20230227-MQGMNVDN6VLYDH6VEAQNLX43WE/
公開情報によると講師で平均37.5歳、平均年収729万円。https://twitter.com/takekan/status/1626274626836766720
日本の大学はなぜ評価が低いのか
https://youtu.be/qMdch1yRS_Y?t=407
「いきなり安定した終身雇用で、早稲田大学って、入って一番最初にびっくりしたのが、年齢で給料決まってるんですよ」入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)
https://youtu.be/0bTgpWl89Cg?t=1904
経済学部専任教員の待遇
http://www.mynewsjapan.com/static/extrapictures/kangaku.jpg
・給与:
30歳専任講師 366,000円
40歳准教授 517,200円
50歳教授 660,100円
・賞与:年6.3か月
2017年、47歳北大教授の年収は、9,736,254円。手取りは約700万円。
https://twitter.com/takabee1970/status/953805256747507712?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=http%3A%2F%2Fnews.livedoor.com%2Farticle%2Fdetail%2F14199765%2F
大学院法学研究科教授。
2005年東大教養学部卒、2015年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス経済学部博士課程修了の一橋大学経済学研究科応用経済専攻講師の年収は634万円(2016年)。
https://twitter.com/mixingale/status/852098215935524864
45歳940万円、京都大学の教授が給与明細を公開
http://netgeek.biz/archives/69157
文系の大学学部、文系大学院の全てが無駄であるとは思わない。しかし教えるカリキュラムや中身とその高学費と比較しても全く吊り合わない。ボッタクリとしか言いようが無い。日本企業も新卒採用の枠から大卒を外し高卒以上とするべきであろう。
こういう情報を学生の顧客満足度として指数化したら、新たな受験指標、いや大学ランキングができて、受験地図がガラッと変わって面白いかも。
SFCか。著名で有能な方も教授の中にはいるけど、それに人間性が伴う方はあまりいませんでしたね。ここで挙げられている教授にしても、どうかと問われると?です。構造的に、権力のあるボスに取り巻きが何人か准教授クラスでいて、さらにその弟子というピラミッド型。教授の中には院生を奴隷のごとく、授業のレジュメの作成も全てやらせる有力教授もいました。手伝うくらいならマシですが、就活の時期に大学でレジュメ作成のために修士2年生を春学期に頻繁に徹夜させ、自分はメディア関係の副業に勤しみ、秋学期はサバティカルなんていう酷いのもいました。私は教授には恵まれましたが、その方は、その分野では著名な方ですが、ここの教授は授業料が高いSFCなのに学生達にサービスしようという気持ちがない連中が多過ぎる、と仰っていました。ご自分でレジュメを作成されていましたが、偉い先生だ、と思ってしまう自分の感覚はかなり麻痺していました。
大学教員に免許が不要なことは驚きである。
社会的地位を担保する資格制度を設けるべきではないだろうか。
地方の小さな私大の職員ですが、本学教員の方が給与水準が高い事に驚きました。もっとも、同じ給与水準なら誰だって迷わず慶應を選ぶでしょうが。
専任になると、超ぬるま湯体質なのはどこも同じようで・・・
ブランド力の力で給与安めの大学は他にどこなのだろう?この企画も面白そうですね。
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