原文著者は最近、1日に100回の腕立て伏せを始めたそうです。運動をする時間はあまりありませんし、正直に言って、腕立て伏せをしたとしても、中年になるにつれてどんどん悪化する二の腕のたるみを短期間で追い払えるわけではありません。ところが実は、筋肉量が増えると、たくさんの付随的なメリットが生まれることがわかっているのです。そうしたメリットはきっと、みなさんの人生を大きく改善してくれるはずです。
ストレスから身を守る
筋力が強いと、ストレスによる気分低下に伴って生じる有害なタンパク質を体から追い出しやすくなります。これは、ストックホルムのカロリンスカ研究所が最近実施した、マウスを使った研究で明らかになった事実です。この研究から、運動に適応して鍛えられた筋肉では、ストレスと炎症から生じる副産物であるキヌレニンという物質を解毒する酵素が発現することがわかりました。
1. 老化プロセスを遅らせる
「Prevention」のGinny Graves氏は最近、老化に関する楽観的な記事を書いています。それによれば、代謝活性の高い筋肉(細胞内に代謝を高めるミトコンドリアがたっぷりある、引き締まったタイプの筋肉)は、体重からエネルギー、病気にかかるリスクにいたるまで、あらゆることに影響を与えるのだとか。
1日中コンピューターの前に座り、ジムにも行かず、毎晩テレビを見る生活を送っていると、筋肉中のミトコンドリア数が減ってしまいます。でも、有酸素運動をすれば、ミトコンドリアを増やすことができるのです。「筋肉がエネルギーを必要とすると、ミトコンドリアが組織内にある酵素と協力して、ミトコンドリアDNA転写の引き金になる遺伝子を活性化させます」と、Graves氏は説明しています。「その状況が長く続き、ミトコンドリアがたくさんつくられるほど、筋肉が効率的に脂肪を燃やし、エネルギーを生み出せるようになるのです」
2. 代謝を高める
年をとると、たとえ食事と運動の量が若い時と同じあっても、消費カロリーは少なくなります。ですが、活発さを保って筋肉量を維持すれば、消費カロリーの減少を遅らせることができます。「筋肉は活性の高い組織です。アイドリング時には、8気筒の車のほうが、4気筒の車よりも多くのガソリンを燃やすのと同じように、たとえじっとしている時でも、筋肉量が多いほど燃焼するカロリーは多くなります」と、Ed Blonz氏は「San Jose Mercury News」の記事で説明しています。そしてもちろん、代謝が高くなれば体重も減らせます。
3. 姿勢を良くする
座っている時や立っている時の姿勢が良い人は、自信たっぷりに見えます。そして、みなさんもお気づきのように、自信のある人のほうが、自信のなさそうな人よりも成功した人生を送っています。体幹(腹部、背中、腰など)の筋肉を鍛えれば、背骨が安定するので、正しい姿勢を保ちやすくなります。健康志向のスパ・リゾートで知られる「Canyon Ranch」によれば、体幹の筋力が弱いと、猫背になるだけでなく、首や肩のこりや腰痛、消化や呼吸の問題、疲労感、頭痛など、さまざまな健康上の問題が生じるおそれもあるそうです。
4. チャンスが増える
力強く引き締まった人ほど、魅力的に見えるものです。そして、好むと好まざるとにかかわらず、現代の社会では、見た目の良い人ほど多くのチャンスを手にします。それを良く表しているのが、ダスティン・ホフマン氏の言葉です。ホフマン氏は、映画『トッツィー』で女装した自分の姿を見て、ある悟りを得たと言います。女性役の自分をもっときれいにしてほしい、とメイクアップ担当者に頼んだら、「あなたの顔でできるだけのことはしました」と言われたのだとか。
「スクリーンに映る自分の姿を見ると、興味を引かれる女性だとは思います。けれど、もし自分がパーティーで、(女装した)自分自身と出会ったとしても、絶対に声をかけたりはしないでしょう。なぜなら、デートに誘われる女性が持っているべきだと思われている条件を、彼女は肉体的に満たしていないからです。(中略)この世の中には、魅力のある女性があまりにもたくさんいます...私が洗脳されていたせいで、この人生で知るチャンスを得られなかった女性たちが。そしてそれは、私にとってはまったくコメディではないのです」ホフマン氏はYouTubeの動画のなかで、涙ながらにそう語っています。この動画は、これまでに550万回以上も再生されています。
5. ジムは必要ない
「筋肉を鍛えたいなら、しょっちゅうジムに通わなければいけない」と思っている人はたくさんいますが、それは正しくありません。お気に入りの運動をいくつか見つけ、それを1日の日課に組みこむだけで良いのです。たとえば、腕を鍛えたいなら腕立て伏せ、体幹ならプランク、脚やお尻ならスクワットがおすすめ。それに、忙しいからできないなんてことはありません。
コンサルタントで著述家、さらには講演活動もこなし、たびたび旅行もするPeter Shankman氏は、予定でぎゅうぎゅうになったカレンダーのせいで疲れ切っている時でも、1時間のあいだに数分の休みをとって、20回の腕立て伏せを3セットこなすそうです。「1日の終わりにバランスがとれていないといけません」とShankman氏は語っています。「本当に何かを望んでいるのなら、きちんと取り組めるはずですよ」。
5 Ways Putting on More Muscle Can Help You in Business and Life|Inc.
CHRISTINA DESMARAIS(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
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