職場の雰囲気が良くなると生産性が上がり、会社にとって満足のいく仕事をしようとがんばるようになります。しかし、職種や能力、強味や弱味は人によって違うので、すべての人に同じやり方でうまくいくとは限りません。

それでも、会社やチーム全体が最高のパフォーマンスをするために、助けとなる決まりや方針というのはあり、そのすべてがルールとして明文化されている訳ではありません。実際、多くの会社に暗黙のルールややり方があります。今回は、社員が能力を最大限発揮できる環境にするために、どのような暗黙のルールがあるのかをご紹介しましょう。

1. あらゆる社員の意見を大事にする

全社員にどんなことでも自分の意見を言うようにと、わざわざルール化する必要はありません。そんなことをすると、自分の要望を満たしてもらうために、あらゆることをでっち上げる人が出現するかもしれません。そうではなく、社員ひとり一人の意見が大事だということを伝え、定期的に声に出して意見を言ってもらうようにしましょう。

そうすると、自分の思っていることを言ってもいいという空気になり、ほとんどの社員が会社を居心地良く感じ、感謝するようになります。社内の士気も上がるので、社員が会社のために喜んで一生懸命働くようになります。また、社員から寄せられた意見は、社内のインフラの問題をいち早く発見し解消するのに、驚くほど役に立ちます。

公共の場で、仕事の負荷や責任、職場環境に関して、社員に率直な質問をします。社員を気にかけているということを示すと、意見を言わなければならないという気になります。決して個人的な意見を疑ってかかったりしないこと。

2. インターネットの利用は大目に見る

10年前は、インターネットを仕事以外の目的で利用するのは重大な問題行為でもあり、勤務時間の無駄遣いでもありました。今や、インターネットやSNSは私たちの生活に深く根付いており、完全に切り離すことはできません。だからと言って「インターネットで遊んでもいい」というルールを作るのは、間違いなくダメです。ただ、ほんの数分仕事以外のことでFacebookをチェックしたところで、咎めはしないということです。社員は目的に関係なくネットを使っているので、個人的な理由で数分使っているのを見つけても、目くじらを立てるのはやめましょう。

社員にインターネットを個人の目的で使ってもいいと思わせつつ、悪用や乱用はさせないことです。SNSのニュースフィードをチェックするのと、1時間オンラインショッピングするのは大きく違います。

3. 時間に自由度がある

これは混乱を起こさずにうまくやる方法でもあります。ほとんどの会社は、社員は朝9時には自分の机につき、5時までは勝手にどこかに行ってはいけない、というように勤務時間が厳密に決まっています。9時15分に来てもよい、というルールを作るのではなく、社員が時間きっかりに会社に来るのは、就労時間(何時間働くか)を守ることほど重要なことではないという雰囲気を作るのです。

場合によっては、仕事の質や量ほど就労時間は重要ではないこともあります(例:生産性の高い社員の場合など)。社員にこのシステムを悪用させないようにしなければなりませんが、時間に自由度があることはかなりいい影響を与えます。1日のうちの何時に調子が上がるかなどは、人によって違います。時間に自由度のある環境を作ることで、仕事の成果がより上がります。

4. しっかりと休憩を取るように勧める

お昼休憩やそれ以外の休憩時間を、積極的に取るように推奨している会社はあまりありません。30分外出する社員は、お昼休憩の間も働いたり、机でお昼ごはんを食べている社員よりも、生産性が低いと思われています。しかし、仕事の合間の休憩はとても重要です。仕事を続けるために最低限の栄養を補給するように食事をするのではなく、本当にしっかりと休むことができたら、実際は生産性は上がります。

経営者や上司は社員の見本となるように、まずは自分がしっかりと休憩を取り、あまり休憩を取っていないように見える社員は、休憩を取るように勧めましょう。休憩を取らない社員には、休憩を取らない理由を聞き、休憩時間というのは認められたものであり、社内でもきちんと休憩を取るように奨励していきましょう。そうすることで会社全体の士気も上がり、たとえ会社全体の労働時間が数時間減ったとしても、生産性がかなり上がっているので、仕事の成果は保っているはずです。

5. チームワークが生まれるようにする

チームワークは強要できるものではありません。基本的に自然と生まれるものです。しかし、自然とチームワークが生まれたり、社員同士の仲間意識を育んだりするような環境を作ることはできます。チームで一緒にやるエクササイズやゲームをしたり、社員が互いのことを知ることができるようなイベントを開催したり、そういう時に1人ぼっちになっている人がいたら、一緒に会話に入るように促しましょう。社員ひとり一人の結びつきを強くすれば、共通の目的に向かって、より協力しながら働くようになります。

また、職場の壁や個室を無くしたり、社員同士が話しやすくなるようにレイアウトを変えるなど、物理的な変更も、自然とチームワークを生むのに効果があります。孤立している社員は生産性が落ちますが、自分もチームの一員だと心から感じることができれば、最高のパフォーマンスを出せるようになります。

6. 快適でいるための変更を認める

社員には、各自が一番快適な状態になるように、身の回りの物を動かしたり変更することを認めましょう。可能な範囲でインテリアの配置を動かしたり、写真を貼ったり、自分のスペースに個人的な物を置いたり、といったことです。古くなった設備を新しくするのもいいです。大体の人は、自分がどういう環境だと働きやすいか分かっているので、自分で作った環境だとよく働きます。

さらに、自分の好きな音楽を聞くのを認めたり、快適でリラックスできるような格好ができるようにドレスコードをゆるくするのもいいでしょう。社員に快適さを認めると、多少管理がしにくくなるのは致し方ありません。生産性を最大にするには、社員にある程度自由を与えましょう。

7. 大事なことを明確にする

大事なのは、決められた日までにある一定量の仕事を終わらせることだと、社員に理解してもらうには時間がかかります。四角い箱みたいな仕事場に、スーツとネクタイに身を包んで、お昼ごはんも食べず、9時~5時まで働く社員が、9時半に出社して、1日に何度か休憩を取って、カジュアルな格好で、他の社員とよくおしゃべりをしている社員よりも、仕事ができていないこともあります。

生産性というのは、ルールに厳密に従うことではありません。自分がベストを尽くすことができる環境をいかに作り出せるかです。ルールを明文化するのもいいですが、会社の決まり事というのはほとんどが暗黙の了解のようなもので、変わっていくものです。社員に権限をもっと与え、どのように働いたかよりも、どんな仕事をしたかの方が、はるかに重要だということを伝えましょう。

このような明文化されない暗黙のルールが、すべての会社やビジネスで認められたり、功を奏するとは限りません。ただ、筆者の経験から言うと、このようなルールを取り入れている会社は、不思議なことに生産性も社員の士気も高いです。会社は、軍隊のように厳密な規律や階級が必要なものでもなければ、無法地帯のようにすべてが自由で許される場所でもありません。確固とした決まりがあるものの、社員に自由度を与えるために暗黙のルールの力を利用し、社員が最大限力を発揮できるようにしましょう。

7 Unwritten Rules of Productive Office Environments|Inc.

Jayson DeMers(訳:的野裕子)

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