事件は、1通の間違いメールから始まりました。
そのメールを送った直後、社内各所からのお叱りメールが、私の受信箱を埋め尽くしたのです。送信8分後には、副社長2人、部長3人、直属の上司から返信があり、電話も2本かかってきました。
そのメールのタイトルは、「トレーニングに関する簡単な質問」。何の悪気もなく送ったのに、最悪の事態を招いてしまったようなのです。その職場で働き始めて、1カ月もたたないころのことでした。当時の私は、社内の政治的な関係で、トレーニングという言葉が繊細な話題であることを知りませんでした。
幸い、そのときは私の上司が介入してくれて、事なきを得ました。「ロビーは意図してこのメールを送ったのではない」と、各所に伝えてくれたのです。その魔法のようなひとことで、私が起こしたドラマは、終焉を迎えることができました。
この記事では、経験から学んだ、社内の政治をうまく行き抜く方法をお伝えしたいと思います。
職場でドラマを起こしやすい人物を把握する
論争を起こしやすい同僚を知るためには、次の2つの質問が有用です。
- メールを送る前に、注意した方がいい人はいますか?
- メールの代わりに、電話をするか直接話した方がいい人はいますか?
誰かに連絡する前にあれこれ悩むということは、相手が過去にあまりいい反応をしなかったからなのでしょう。でも、相手に必ずしも悪意があるわけではありません。そのような人に連絡しなければならないときは、相手の反応を想定して、メッセージを推敲する必要があります。
社内政治とは無関係であるフリをしない
社内政治は必然です。たくさんの人が集まって仕事をしている以上、全員が全員とうまくやって行けるはずがないのです。「俺は政治になんて流されない。事実をありのままに話すんだ」と自分に言い聞かせるのは、いい戦術とは言えません。より多くのトラブルを招くのがオチでしょう。
ヘマは、誰もがやらかします。妊婦でない女性に「子どもできたの?」と聞いてしまったというどうしようもない間違いもあれば、人を違う名前で呼んでしまったという、まあ許せるミスもあるでしょう。
どんな内容にせよ、失言をしてしまったからには、謝罪をして、間違いだったことを説明するしかありません。でも、オフィスの政治に無関係であるとは思わないでください。仕事でもプライベートでも、政治の問題は避けて通れないのですから。
人と関わり、質問をする
社内政治に参加するといっても、何らかのゲームに勝たなければならないわけではありません。それよりも、身の回りのこと、同僚、組織の構造などを、よく知っておく必要があるのです。
新しい職場に移ったときに、私が必ず聞く質問があります。
- これについてはまず俺に聞け、というトピックはありますか?
- 組織図を描いてくれませんか?
- このプロジェクトに関して質問がある場合、誰にコンタクトすればいいですか?
- このタスクに関して、従うべき手順はありますか? この人に最初に相談しても構いませんか?
- 誰と関わればいいですか?
その職場の働き方や組織のヒエラルキーを把握しておけば、不必要なドラマを招かずに済むでしょう。
聴きに徹する
私があのメールを送らなければ、あんなドタバタは起こりませんでした。
ただ口を閉ざして、直接上司に聞けばよかったのです。私の経験上、新しい職場に移った直後は、勤務時間の95%を聞きに徹した方がいいと思います。会議中に疑問が生じたら、メモに残しておいて、会議終了後に聞くのがいいでしょう。新しい職に就いたときは、たくさん質問をして、その職場の特徴を理解しておくことが大切です。
繊細な話題を知る
どの職場にも、口にすると不和を招くNGワードがあります。
私の場合、「トレーニング」がそれでした。ちょうどそのころ、社内の組織変更があって、「トレーニング」という言葉は、古いリソースを追い出して新しいリソースを入れるためのトレーニングを意味していたのです。入社したばかりの私が、そんなことを知る由もありません。
私は、意図してあんなメールを送ったわけではないのです。それでも、多くの人の逆鱗に触れてしまった。それからは、トレーニングという言葉を使うときには、気を付けるようになりました。
むやみに「全員に返信」しない
「全員に返信」は、99%の確率で不要です。むしろ、あなたがメールで書いた文章が、ほかの人に見せてはいけない内容ということもあるでしょう。
私なりの経験則はこうです。受信者の100%がその情報を有益と思わないのであれば、送信者に直接返信すべし。
「全員に返信」は、職場にドラマを招く原因になりやすいので、繊細な話題をメールするときには、「全員に返信」を間違えてクリックしないように、必ずチェックするようにしましょう。
ドラマを起こすのであれば金曜は避けて
私のアドバイスを無視してでもドラマを始めたいあなた。これだけは覚えておいてください。
- ドラマの開演に最適な日時:月曜日の午後
- ドラマの開演に最悪な日時:金曜日の午後
金曜日に始まったドラマは、必ず週末をまたぎます。社内でのいざこざについて考えていては、せっかくの週末を無駄にしてしまいます。リラックスをしたいのに、メールのためにコンピュータに向かわなければならないなんてことも。
つまり、自分のためにも、ドラマを始めるのであれば月曜日にしましょう。もちろん、意図的にドラマを起こすことがあってはなりません。でも、思い入れが強い話題であれば、論争の激化を避けられないこともあるでしょう。
自分の正しさと相手の間違いを主張したいあまり、自分でも気づかないうちにアツくなってしまったら、その時点で負けたも同然です。それよりも、相手と協力して、折り合いをつける方法を見つけることで、不要なドラマを避けることができるのです。
How to Win at Office Politics Every. Damn. Time.|LinkedIn
Robbie Abed(原文/訳:堀込泰三)
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