お金が貯まるのは、どっち!?』(菅井敏之著、アスコム)の著者は、25年間におよぶメガバンク勤務経験を持つ人物。本書ではそんな立場をもとに「お金を増やすための25の法則」を説いているわけですが、「プロローグ」の時点でこう断言しています。

成功者たちの共通点はただひとつ。

銀行からお金を借りて、それを上手に活用したことです。

こうすれば、たとえ今の年収が低くても、きちっとお金を増やすことはできるのです。(14ページより)

では、そのためにはどんなポイントを押さえておけばいいのでしょうか? Part 1「お金が増える『銀行&保険』の活用法は、どっち?」から、いくつかをピックアップしてみます。

クレジットカードを持つなら、2枚? 4枚?

クレジットカードの「与信枠」とは、そのクレジットカードで買い物できる利用限度額のこと。しかし重要なのは、「何枚クレジットカードを持っていたとしても借りられる金額が大きくなることはない」という点だそうです。

たとえば自分の与信枠が100万円だった場合、カードを1枚持てば、そのカードの与信枠は100万円になります。ところが4枚持ったとしてもすべてのカードの合計与信枠は100万円のまま。

つまりカードの枚数が多ければ多いほど、1枚の限度額は少なくなるということ。カード会社からすれば信用度が低いということになるため、クレジットカードは4枚より2枚の方がいいわけです。ちなみに1枚ではなく2枚なのは、なくしてしまったときの保険だとか。(30ページより)

天引きで貯金する? 余ったお金を貯金する?

天引きで貯金する人と、余ったお金を貯金する人、どちらの方がお金が貯まるかといえば、それは天引きで貯金する人。理由は、お金が貯まる人の絶対条件は「計画性があるかどうか」だから。ただし天引き額を大きく設定しすぎると、かえってお金が貯まらなくなるので注意が必要。無理なく貯金するためには、手取り収入の15~20%くらいが妥当だといいます。

最大のポイントは、将来、自分がお金を借りる予定の銀行で積み立てること。銀行はお金を預けたりおろしたりするだけの場所ではなく、「お金を借りる場所」だと意識しておいてほしいと著者は言います。そしてそのためには、銀行から信用される人になることが大切。たとえば10年間にわたって毎月4万円をコツコツ貯めてきた実積は、ものすごい信用になるそうです。(38ページより)

口座を開くなら、メガバンク? 信用金庫?

独立、マンション購入、子どもの教育、高級車購入など、可能性としての人生の選択肢は多く残しておきたいもの。しかし、望んだ選択をするためにはお金が必要です。そこで大切になるのが、どの銀行に口座をつくるのかということだとか。とはいえ残念ながら、よほどのことがない限り、メガバンクは相手にしてくれないもの。メガバンクは大企業の会社員や公務員にはやさしく、中小企業の会社員はフリーランスには大変厳しいからです。

でも信用金庫なら「コツコツ戦法」が効果を発揮するそうです。なぜなら信用金庫は、メガバンクが相手にしないようなお客様を相手にすることで食べているから。つまり人生の選択肢を残しておくためには、信用金庫をメインバンクにして、給与振込口座(きゅうふり口座)をつくり、同時に積み立ても行なうのがいいそうです。信用金庫にとって、500万円の預金があれば得意客。1000万円の預金になれば、担当者がつくような扱いになるそうです。

ただし信用金庫にも「店舗が少なく、やや不便」などのデメリットはあるため、きゅうふり口座を信用金庫につくり、緊急でお金の引き出しが必要なときのため"補完口座"としてメガバンクを利用するのがいいと著者は勧めています。

「二者択一」を前提としたひとつひとつの話がとてもわかりやすいので、お金を有効に貯めるためのコツを容易に理解できるはず。なにより著者自身が三井銀行(現・三井住友銀行)で数々の実積を積み上げてきた人ですから、とても説得力があります。

また意外性に富んだトピックも多いので、読みものとしての魅力も。ぜひ一度、手にとってみてください。

(印南敦史)