毎日会社に出社することに慣れている人が在宅で仕事を始めるとなると、不安な気持ちになることもあるでしょう。しかし、在宅で仕事をするというスタイルは年々増えつつあり、大企業でも推奨しているところがあるくらいです。
私は開発者として長年に渡って在宅で働いてきました。今回は、その経験の中から得た知見紹介したいと思います。
場合によっては、ソフトウェアやハードウェアの開発、もしくは締め切りのある仕事にのみ限定されたアドバイスになるかもしれませんが、必要そうなところだけでも参考にしてみてください。
仕事環境を整える
きちんとした仕事環境を整えることは重要です。例えば、オンラインで通話のためにヘッドセットを用意するなど、小さなことの積み重ねによって、長期間の在宅勤務がより快適になるでしょう。
私が自宅の仕事場に持っている欠かせないツールは次の通りです。
- ヘッドセット
肝心な時にバッテリーが切れたりしないので、有線のヘッドセットが好きです。長時間付ける可能性があるなら、付け心地の良いものを買った方がいいでしょう。私はiMicro社製のヘッドセットを2つ持っていて、1つはデスク用、1つはノートパソコン用にバッグに入れています。
- 考えごとができる静かな場所
ドアが閉められる個室が理想的。一人暮らしではなく、家族と同居している場合は特にです。
- 安定したインターネット環境
バックアップの接続も確保しましょう。例えば、私はDSL接続を使っており、DSLが使えない場合はiPhoneでテザリングできるようにしています。Skypeを使っていて雑音がひどかったり、途切れたりしていると、プロとしての信用を失いかねません。
- Skype
複数人での電話会議、クライアントとのインスタントメッセージ、ちょっとしたチャットルームもあり便利です。
- SkypeOut
Skypeの有料サービスです。Skypeから固定電話に電話をかけることができます。緊急時にかなり便利です。
- 電気ケトル/ポット
ホットコーヒーが飲みたいけど、仕事の流れは止めたくない、というようなときのためです。
- 大量の水
ケトルやポットでお湯を作るとき、単に飲み水としてなど、仕事が会議が長引いた時のためです。
どれも当たり前のように思えるかもしれませんが、ちゃんと全てを揃えている人は意外と少ないものです。リビングのソファの上で仕事をしているだけでは、長期間在宅勤務を続けるのは難しいのではないでしょうか。
ソフトウェア
在宅ワークの強い味方となってくれる優秀なソフトは大量にあります。その中でもお気に入りのものをいくつか紹介しましょう。
- AwayFind
緊急のメール、会議の出席者からの会議数分前のメールなど、緊急のメールだけをフィルタリングして、SMSなどで転送してくれます。 - 時差変換ツール
海外にクライアントや仕事仲間がいるような人は、時差の計算をしてくれる『Time And Date's World Time Clock』、『Every Time Zone』、『Time Buddy』などのアプリが便利です。
- チャット
チームで仕事をしている人には欠かせないでしょう。『Campfire』のようなアプリから、Skypeのチャットなどアプリに付随しているものまで、自分や周りが使いやすいものがいいでしょう。
海外のクライアントや同僚と会議を設定するときは、常に相手と自分の時間を確認しましょう。会議の招待状を受け取った時も、送信相手がどこのタイムゾーンにいるのか、自分のタイムゾーンでは何時になるのかを確認します。複数のタイムゾーンにまたがって会議を設ける場合は、私はUTC(協定世界時)も入れるようにしています。
コミュニケーション
会社やチームと離れて仕事をしている時に、一番怖いのはコミュニケーション不足になることでしょう。会社では、自分のデスクの周りに誰かが来たら挨拶をしたり、ちょっとしたおしゃべりをしたりすると思います。同僚はあなたがそこにいるだけで、仕事をしているというのが分かるのです。
在宅ワークでもそのような状況を作り出すのが大事です。離れて仕事をしていると、自分から「主張」でもしない限り、働いていることは誰にも分かりません。
在宅でも、ワンクリックするだけで気軽に話せる状況を作れば、職場の中を歩き回ったり、エレベーターで下の階に降りたりするような手間なく、コミュニケーションができます。このことは、チームや複数人で仕事をしている在宅ワーカーなら誰にでも当てはまることですし、一人で仕事をしている人にも外部との打ち合わせなどで役に立つかもしれません。
気配を消さず、存在感を示すこと
私は、1日の始まりにはチャットにログインし(チームで共有しているツールなら何でもいいです)、「おはよう」と挨拶して、他のみんなが今日はどんな仕事をするのかなど軽くおしゃべりをします。
仕事の話だけに限らず、子どものこと、週末の予定、スポーツチームの成績など、どんな話題でもいいと思います。このように常日頃からコミュニケーションを取っていれば、仕事が忙しくてなかなか会話ができない時にも存在感が消えません。周囲といい関係を築き、自分がいることを常に回りに知らせるようにしましょう。
これは、Twitterなどで見知らぬ人とコミュニケーションするのとは違います。困った時や助けが必要な時に、手を差し伸べてもらうためにも、チームメンバーや同僚と連絡を取り合いましょう。
「仕事開始」「お昼休憩」「戻りました」など状況を知らせる
存在感を示したら、次は自分の状況、特に働いていない時が周囲に分かるようにしましょう。チームの一員として在宅で働いている場合は、いつ仕事を開始したのか知らせることは大切です。「みんな、おはよう」と挨拶をするだけでも、周りにはあながた仕事が始められる状況にあるということが分かります。
お昼ご飯や休憩に入る時も、「1時間後に戻ります」というメッセージを送ったり、ステイタスを表示した方がいいでしょう。同僚から質問を投げかけられて何の返答もしなかった時など、誤解されたりトラブルになることがあります。
30分席を離れているだけなのか、それともチャットにアクセスできないような状況なのか? 「○○分で戻ります」というメッセージを表示しておくと、誤解をされず、仕事もスムーズに進みます。休憩から戻ったら「今戻りました」と伝えましょう。
この問題を解決してくれるのが、『Sqwiggle』です。数秒毎に自分の画像を更新してくれ、メンバーの画像をクリックするとビデオ/音声/テキストでチャットできます。画像を見れば、今相手がパソコンに向かっているのかどうか一目瞭然なので、ちょっとトイレに行く程度であればステイタスをいちいち表示しなくて済みます。
スタンドアップミーティング
プロジェクトの進捗について、立ち話程度に情報共有をするのが、スタンドアップミーティングです。会社などではよくやっていることですが、在宅ワークのプロジェクトでも導入できない訳ではありません。
スタンドアップミーティングでは、昨日何をしたか、今日何をするのか、何か問題や障害はあるか、というようなことを話します。開発者が1人しかいないようなプロジェクトでは意味がありませんが、開発者が数人いるチームの場合は、クライアントと開発者の2者間でのスタンドアップミーティングが可能でしょう。
チームの規模やカルチャーにもよりますが、私のおすすめのやり方はこのような感じです。
- 1〜3人:週2回スタンドアップスタイルのミーティングをする
- 4人以上:毎日スタンドアップスタイルのミーティングをする
1〜3人の場合は、お互いが何をしているのか把握するのは簡単です。人数が増えたら、互いのやっている仕事がかぶったり、ズレたりしていないかをより頻繁に確認した方がいいでしょう。
How to Work Remotely and Still Be the Best | Toptal
Ryan Wilcox(原文/訳:的野裕子)