公共図書館は、万人に開かれた知の集積地。にもかかわらず、実際は、多くの人々にとって、それほど身近な存在ではないかもしれません。筆者のグレン・スタンスベリー氏(Glen Stansberry)も、かつてはそのひとりでした。

しかし彼も、今ではすっかり「読書の虫」。可能な限りなんでも図書館で借りるようになったそうです(詳細については、ZenHabitsの寄稿記事・英文もご参照ください)。この習慣を通じて体感したのは、「何を読むにせよ、毎日の読書は人生のあらゆる側面に役立つ」ということだそうです。では、読書は、私たちの生活の質を、そして私たち自身をいかに向上させてくれるのでしょうか。スタンベリー氏は、以下の8つのポイントを指摘しています。

1.より賢くなれる

あらゆる分野において、読書は役立ちます。読書をしている人のほうが、そうでない人に比べて知力が高く、一般知識も豊富です。米カリフォルニア大学バークレー校の教育学教授であるアニー・カニングハム氏(Anne E. Cunningham)の『What Reading Does for the Mind(意識のために読書がすること・英文PDF)』によると、読書は人をより賢くし、歳をとっても鋭敏な完成を保ってくれるのだといいます。

やりたいことがあるにせよ、なりたいものがあるにせよ、知識がなければ達成できないことも多くあります。読書は、自分が望むところへたどり着くための素晴らしい手段なのです。

2.ストレスを軽減できる

本を読んでいて、意識がギアチェンジされる間隔を覚えたことはありませんか? イライラする日でも、本があれば簡単に気が紛れる人は多くいると思います。特に気分転換に適しているのは、フィクション。寝る前に名作フィクションを読めばさらに完璧です。本当にいい本だと本を閉じずに読み進めてしまいますが、いずれにしろリラックスできます。

3.心をより穏やかにしてくれる

読書は人を落ち着かせます。毎日の読書によって、日々、平穏に過ごすことができ、心配事や心が浮つくことが驚くほどなくなるはずです。

4.論理的思考を高めてくれる

カニングハム氏の研究では、読書によって分析的思考が高まることが明らかになっています。一般知識が向上するのみならず、より重要なのは、パターンを把握するスピードが高まること。パターンをより素早く捉えられれば、分析スキルも高まります。

5.語彙が増える

読書によって語彙は増え、スペリングの能力も向上します。口に出して話したり直接習ったりするよりも、文章を読む方が、語彙を増やすには向いているようです。たとえば日常生活ではあまり見聞きしない言葉も、読むことを通じて、目に入ってきます。ちなみに、子ども向け書籍で用いられている言葉は、大人の平均的な会話よりも洗練されていることも分かっているとのことです。

ライターでもブロガーでも、およそ物書きにとって語彙を増やすのは大切なことです。成功している作家は、口を揃えて「ライターは文章をうまく書くために、読む必要がある」と指摘しています。大事なのは毎日続けること。そうすれば自然と、自分の書く文章に言葉が組み込まれていくでしょう。

語彙を増やすメリットは、ライターだけが享受するものではありません。相手のいわんとしていることを表現するためにより適切な言葉を使う方法や話す術を知ることは、人間にとって大切な要素のひとつ。よりよき聞き手になることは、よりよい人生につながります。

6.記憶力が向上する

朝食に何を食べたかすら思い出せず、名前や住所もうろ覚えの筆者ですが、読書を続けるようになってから、もの覚えが良くなったとか。このことを証明する科学的なデータはありませんが、記憶力を向上させる秘策として試す価値がある話です。

7.書くスキルが向上する

読書によって5.のとおり語彙が増え、4.のように論理的思考が高まるならば、それに伴って書くスキルも向上するのは、不思議ではありません。高校の授業で古典を読まされるのも、こうした狙いからでしょう。芸術専攻の学生が名作の模写を習うのも、「卓越したものを創る」ことの本質を知るためといえます。つまり、読めば読むほど、いい書き手になることができるというわけです。

8.目標の優先づけに役立つ

誰しも、自分が人生において何を求めているのか、自身できちんと理解していると信じ込んでいるものです。しかし読書は、それまで自分が知らなかった自分を知るきっかけを与えてくれます。読書をしている間に、自分の頭の中で、本当にやりたいことがグルグルと巡り始め、次第にそれが見えるようになるのです。

たとえば、今の仕事から離れたくなって本当にやりたいことが何か探し出した経験はありませんか。そんなとき、読書は意識を自由に解放し、様々なことに思いをめぐらす機会を与えてくれるでしょう。

このように、仕事にも人生にもいいことづくめの読書ですが、お金や時間の制約を言い訳に、読書をなかなか始められない人々も少なからずいます。

とはいえ、時間は、自分にとって重要なもののためにつくり出すもの。読書をする時間がなければ、つくればいいのです。テレビやネットサーフィンの時間を読書に充てれば簡単です。

また、本を買うお金が不安ならば、地元の図書館で借りましょう。時間もお金も、その気になれば、なんとかなります。読書を続けるには、経済的・時間的なコストがかかりますが、補って余りあるメリットを享受できるはずです。

8 Benefits of Reading (or Ways Reading Makes You Better at Life) [LifeDev]

Glen Stansberry (原文/訳: 松岡由希子)

Photo by CollegeDegrees360.