ライフハッカー編集部さま

この1週間というもの、カーリー・レイ・ジェプセンの『コール・ミー・メイビー』という曲が頭から離れません。もう気が変になりそうです。なんとかこの曲を頭から叩き出してまともな自分に戻りたいのですが、どうしたら良いのでしょう?

救ってください(Please Deliver)より

「救ってください」さんへ

それはキツい! しかも、あなたの悩みを聞いたおかげで、米Lifehacker編集部もこの曲が頭から離れなくなってしまいました。仕方ないので、一緒に忘れる方法を考えましょう。

まずは、「イヤーワーム」と呼ばれるこの現象がなぜ起こるか調べてみました。いつまでも頭の中で鳴り響く曲を追い払うためにも、実際に何が起きているのかを知ろうというわけです。

そもそも曲が頭にこびりついてしまうのはなぜ?

米シンシナティ大学のJames J Kellaris博士が行った調査によれば、ほぼすべての人(全体の約98%)が、少なくとも一度は曲が頭にこびりついて離れない、という経験をしているそうです。

では、この現象はどうして起きるのでしょう? それにはさまざまな要素が絡んでいます。米科学雑誌「Scientific American」が紹介しているある調査では、あらゆることがこの現象のきっかけになり得ると指摘しています。

ビレッジ・ピープルの「YMCA」を聞くと頭の中のテープレコーダーが回り出すこともあります。また、サマーキャンプを思い出したり、仕事でストレスを感じたり、あるいは職場の会議に退屈しただけでも、脳内に音楽が鳴り始める人がいます。

手短かに言えば、イヤーワーム現象のきっかけは、ある曲を聞いた体験だけでなく、記憶や気分、ストレス、さらには退屈なども原因になるというわけです。とはいえ、頭にこびりつきやすい曲のタイプには、ある共通点があります。CNNの記事に載っていた、心理学者のDavid Levitin氏の説明によれば、どうやらこれは非常に単純な仕組みらしいのです。

カナダのマギル大学で音楽に関する神経科学を研究する心理学者のDavid Levitin氏によれば、頭にこびりついて離れない曲にはメロディーやリズムが単純なものが多いとのことです。また、繰り返されるのは曲のほんの一部であるケースが多く、最初から最後まで1曲丸ごとが流れることはまれです(中略)。「こうした時には、神経回路が繰り返しのループにはまり、同じフレーズを何度も何度も再生し続けるのではないかと我々は考えています」と、Levitin氏は語っています。

神経回路がループにはまる? あまり楽しそうではないですよね。

好きでもない曲を頭から追い払うためにできること

頭のなかをぐるぐるループする曲を追い払う方法は人それぞれ違ってきます。科学的に実証された「イヤーワームを確実に追い払える方法」は存在しません。ただ、この現象を撃退できる方法がまったくないかというと、そんなわけでもないのです。

前置きはここまで。では、こびりついている曲を一掃し、頭をまともに考えられる状態に戻す方法をいくつかご紹介しましょう。

ループしている曲の名前を調べる

メロディーやコーラス部分が頭から離れないのに、その曲の名前すらわからない時もあります。最初から最後まで曲を聞けばきっぱりと縁を切れると主張する人たちもいますが、そのためにも、そもそも曲の名前がわからないと話になりません。

ループしている曲の名前を調べる

こうした場合、『Shazam』や『Soundhound』といったアプリを使えば曲名を突き止められます。アプリを起動して、こびりついているフレーズをハミングや声で歌って聞かせると、運が良ければその曲の名前がすぐに表示されます。イヤーワームの元になった曲がわかったことでひと安心してもいいですし、最後まで聞いて頭から追い払う方法を試すために、YouTubeでその曲を検索してもいいでしょう。

別の曲で置き換える

イヤーワームを解決する方法として、別のキャッチーな曲で置き換えるという手もあります。ありとあらゆることがイヤーワームの原因となるのですから、ほかの曲を聞いてみるというのも、人によってはベストな解決法かもしれません。

なんと、こちらの方法にも、助けになるウェブアプリが存在します。『Earwurm』や『Unhearit』は、人気の曲をランダムに紹介し、今まで頭にこびりついていた曲を一掃してくれるアプリです。ヘビを退治するのにマウンテン・ライオンをけしかける手のような気もしますが、少なくとも最初にハマっていた曲とは縁を切れそうです。

ある研究者が効果があった例として紹介としている方法は、イギリス国歌をできるだけゆっくり歌うというものです。これで、頭の中から完全に前の曲を一掃できるとか。

何か別のことに集中する

頭の中で流れている曲以外のことを考えるという方法も、イヤーワームの解消法として一般的です。ただ、よっぽど意志が強くなければ難しいでしょう。私たちのような普通の人間の場合は、多少の手間がかかります。

例えば、自分自身にちょっとした認知療法を施してみるという方法はどうでしょうか。ここでは医療系メディア「WebMD」が勧めている方法をご紹介します。ひとつは手首に輪ゴムを巻いておき、イヤな思い(この場合は曲ですね)が湧いてきたらこの輪ゴムをパチンと引っ張り、同時に「ストップ!」と自分に暗示をかけてイヤな思いを止めさせる、というものです。あるいは、問題が生じるたびにポジティブなイメージを思い浮かべる方法もあります。例えば、カッコいいプロモーション・ビデオを頭の中で作り上げてみてもよいかもしれません。

注意力の方向を変える別の方法もあります。Facebookをチェックする、散歩をする、クロスワードパズルを解く、携帯電話でゲームをやるなど、曲のことを忘れさせてくれるものなら何でもOKです。

「イヤーワーム撃退プレイリスト」を作る

さきほど、ランダムに選んだ1曲を使ってイヤーワームを撃退する方法を紹介した時には、「ヘビを退治するのにマウンテン・ライオンをけしかけるような手」と言いましたが、これから紹介する方法は、イヤーワームになりがちな曲だけを集めたプレイリストを作る、というものです。いわば、マウンテン・ライオンを退治するために「目からレーザー光線を放つ恐竜のロボット」を送り込む、といった感じでしょうか。

「イヤーワーム撃退プレイリスト」を作る

この方法では、人気の曲を集めて、あなた独自のイヤーワーム専用プレイリストを作ります。人の頭にこびりつきがちな曲はハーモニーやリズムが単純なものが多いので、それを踏まえて、このプレイリストではそうした要素のある曲を集めましょう。

自分でこうしたプレイリストを作る場合、エクササイズ用のプレイリストと同じ基本ルールが使えます。この時、曲をBPMによって分類するとうまくいきます。「iTunes」ライブラリに入っている曲のBPMを自動で判別してくれる、サードパーティーのユーティリティーもあります。オススメは、Windowsなら『Free BPM Detector』、Macなら『Tangerine』です。

ポップスではBPMが120前後のものが多いですから、手始めにこれくらいのテンポの曲を集めてみましょう。さらに、シンプルな曲を重点的に集めてプレイリストを作り、イヤーワームが頭から消えてしまうまで、このリストをかけまくるのです。

「科学的に正しいイヤーワームの撃退法」は存在しません。色々と試して、自分に合うものを探してみましょう

Thorin Klosowski(原文/訳:長谷睦/ガリレオ)

Title image remixed from FuzzBones (Shutterstock).