ネガティブな人はどこにでもいます。申し分のない最高な日を、ネガティブな人に台なしにされてしまった経験は誰にでもあるでしょう。ネガティブな人を完全に避けるわけにはなかなかいきませんが、うまく対処すれば、どちらにとっても円満なかたちで会話を終わらせることができます。そのために必要なのは、「この人の話に耳を傾ける価値があるか」を正確に判断することです。
ネガティブな人への最善の対処法を知るために、結婚セラピーや家族セラピーを専門とする精神科臨床医のRoger Gil氏に話を伺いました。Gil氏によれば、ネガティブな人に対処する時の第一の鉄則は、「よく考えてみるべき意見」と「無視すべき意見」とを区別する方法を知ることだそうです。つまり、単にひねくれてメソメソしているだけの悲観主義者なのか、じつは貴重な洞察を語っている現実主義者なのかを見極めるわけです。その人が憂鬱な悲観主義者で、話も有益でないようなら、無視したほうが良いでしょう。
アドバイスや意見を求める際に、「役立たずの悲観主義者」と「有益な現実主義者」を見分ける確実な方法はありません。ですが、あなたの決断に影響を与えるかもしれない第三者から意見をもらう時には、その意見が何から生まれているのかを評価しましょう。それが歪んだ意見なのか、思慮深いものなのかを見極めるのです。
要するに、ネガティブな人に出くわす可能性はいつでもあります。あなたがとれる最良の対応方法は、彼らのアドバイスが、従う価値のあるものかどうかを見極めることです。 ここでは、相手がなぜそういう発言をしたのかを知る方法をお教えしましょう。相手が友人であっても、いつも気難しい顔をしている新しい同僚であっても、原則は同じです。■ 相手を観察して「通常のあり方」を知る
Gil氏がまず勧めているのは、相手をネガティブと見なす前に、その人の「通常のあり方」を観察することです。誰にでも散々な日はあります。その人の普段のようすを知らなければ、単に機嫌が悪いだけなのか、それともいつもそんな調子なのかを判断することはできません。相手をネガティブだと決めつける前に、ちょっと時間をかけて、その人がどんな人なのかを観察してみると良いでしょう。
いつもはネガティブでない人がネガティブな態度をとっており、そのアドバイスがあなたを驚かせるようなものであるなら、その時は真剣に注意を払うべきでしょう。また、ある状況では決まって悲観的になる人であっても、今回は「通常のあり方」ではない、という場合があります。そういう時も、注意すべき何かがあると考えられます。 ■「三人に寄れば文殊の知恵」の原則ある程度の時間を一緒に過ごせば、相手が楽観的なのか、悲観的なのか、現実的なのか、おおまかな感触はつかめます。この知識は役に立ちます。というのも、楽観主義者なら「イエス」、悲観主義者なら「ノー」、現実主義者なら「大局を見てみよう」といった返事をするものと予想できますが、そうした「予想どおりの答え」とは違う反応があった時にこそ、注意を払うべきだからです。相手の「いつもの状態」を知っていれば、批判的なことを発言した人が、単にいつもどおりの態度をとっているだけなのか、それとも注目に値する何かに気づいているのか、その点を見極めることができます。
悲観主義者であったとしても、その人が時々正しいことを言わないとも限りません。Gil氏によれば、相手のアドバイスに耳を傾けるべきかどうかを見極めるためのもっとも簡単な方法は、ほかの人に聞いてまわって、皆の共通の意見がその人の見解と一致しているかどうかを見ることだそうです。
1人か2人が同じ意見を言っている場合は、単にその人たちが同じ信条を持っているだけとも考えられます。互いに関係のない3人以上が同じ意見を言っているなら、その人たちの意見はそれぞれ独自の観点から出ているわけですから、その意見が現状を正確に評価している可能性は高くなります。
ほかの人たちの意見と一致しているなら、その人はあなたの考えるような悲観主義者ではなく、そのアドバイスは ─── どんな内容であれ ─── 考えてみる価値があるかもしれません。もちろん、「三人寄れば文殊の知恵」の原則を法律のように厳守する必要はありませんが、相手の意見が単なる不機嫌から出たものかどうかよくわからない時には、この原則を思い出してみると良いでしょう。
■ 正しい質問をする悲観的な気難し屋かどうかを見極めるためには、質問してみるのが一番です。相手がなぜそんな意見を言っているのか、その大元の理由を知りたいのなら、「ごく単純な質問をすれば良い」とGil氏は言っています。
「どうして?」は、あなたに意見している人に投げかけるべき、もっとも強力な質問です。というのも、こう聞けば、その意見がどんな前提から生まれているかを判断できるからです。返事が思慮深さを欠くものなら(「知らないよ、そういうものだろ」「世の中ってそういうものだって、みんな知っているから」など)、その意見にはネガティブで重い感情が入り込んでいると考えて良いでしょう。一方、合理的で常識的な思索が垣間見える返事なら(「そういう結果になると、データが示しているから」など)、相手の言葉をもう少し信用しても良いかもしれません。
相手のアドバイスの根底にあるものをさらに探り、従うべきかどうかを判断したいのなら、状況にもよりますが、もう1つ簡単な質問をすると良いでしょう。「あなたがしてきた体験を、もう一度、繰り返したいですか?」という質問です。理由はごく単純です。この質問は、少しばかり感情的な反応を引き出せます。それが、相手の意見をさらに見極めるのに役立つのです。
あなたが進もうとしているのと同じ道を歩いてきた人からアドバイスをもらう時に、相手が客観的な判断をしているかどうかを知るための手がかりが得られる方法があります。それは、相手に「もう一度、同じことをしたいか」「違うやり方をしたいのならどんな方法をとるか」と聞くことです。
「もう一度、同じことを繰り返したいですか?」という質問に対する答えが、広い視野を感じさせるものではなく、その人の感情的な重荷を反映しているような内容なら、その人の意見にあまり重きを置く必要はありません。逆に、具体的にどんな違う方法をとりたいのか、あるいはどうして同じことを繰り返したいのかを詳しく説明できるようであれば、単なる習性に従う悲観的主義者の意見ではなく、先のことをよく考える人の意見と判断できるでしょう。
この質問を投げかければ、相手の過去をより深く理解できるようになるはずです。そして、今後そのアドバイスに従うべきか、そうでないかがわかるでしょう。結局のところ、相手の意見が自分にとってどれだけ重要か、その意見を受け入れるべきか、そして自分が行動を起こす際に、相手のアドバイスをどれだけ気にかけるべきかを判断することこそ、ネガティブな人の真意を見極め、うまく対処するための最善の方法なのです。
同僚であれ、上司であれ、友人であれ、家族であれ、ネガティブな人は否応なしにあなたの人生に関わってくるでしょう。彼らの意見に注意を払うべきかどうかを見極めるワザを身につければ、決断を下して行動を起こす時に役立つはずです。
彼らがあまりに悲観的すぎてそれに巻き込まれそうな時には、彼らと対決し、状況を少しばかり改善させましょう。
最後に、本記事の執筆に協力してくださった精神科臨床医・Roger Gil氏に感謝します。Gil氏のTwitterはこちら。ポッドキャストもチェックしてみてください。
Thorin Klosowski(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
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