ダメなプレゼンは、プレゼンター、聴衆の双方にとって苦痛以外のなにものでもありません。ダメなプレゼンをしたくないなら、次にあげる「プレゼン5つの落とし穴」とその対策を参考にしてみてください。きっといいプレゼンができますよ!

 ■ダメなプレゼンって?

プレゼンが失敗するサインってありますよね。長いなーと感じたり、時間を浪費していると感じたり(プレゼンターも聴衆も)...。ダメなプレゼンは聴衆の心に響かず、その使命であるはずの、説得したり教えたりすることができずに終わります。

■誰でも良いプレゼンの作り方を学べます

ツールのせいにしてはいけません。クリップアートやブーメランアニメーションは助けてくれるわけではないのです。どうせ私はプレゼンに向いてないんだ...といじけることも簡単ですが、昇給を望んでいたり、顧客へ提案する場合など、多かれ少なかれプレゼンをしなければならない機会はあるものです。ところが、ほとんどの人はプレゼンの作り方や、効果的にコミュニケーションする方法を学んできていません。

Nancy Duarte氏と彼女の会社「Duarte」は23年間で25万件を超えるプレゼンを手がけてきました(アル・ゴアの「不都合な真実」や「TED」、「PopTech」といったカンファレンスも手がけています)。 Duarte氏は、プレゼンの作り方はここ数年で転換期を迎えていると言います。聴衆はプレゼンターにより多くを期待するようになっているそうです。でも大丈夫。プレゼンの基本原則を学ぶことはそれほど難しくありません。

Duarteのワークショップでは、PowerPointを使わずにスライドを再スケッチすることで、グリッドで要素を配置することや、コントラスト、強調をつくることを学びます。ここでは、「やってはいけない」サンプルを交えて解説していきましょう。

1. 1枚のスライドにアイデアを詰め込み過ぎる

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プレゼンで話す内容を忘れないために、スライドにすべてを書き込んでしまうプレゼンターがいます。スライドノートを使いましょう。まるで文書のように密度が濃いスライドは、後で参加者にメールで送るような配布用資料には向いていますが、聴衆の前でプレゼンするには向いていません。

解決策

簡潔にする。1ページにつき1つのアイデアに絞り、1つ1つのコンセプトを聴衆の頭にしっかりと焼き付けること。聴衆がスライドを目で追いかけるのではなく、あなたの声や話すことばに集中するようにしましょう。下の画像は、Duarteが作成した使用前、使用後のサンプルです。

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簡潔なスライドは、スライドへの依存度の低さを意味します。最初は怖いかもしれませんが、これはいいことです。準備は入念にすべきですが、PowerPointになんでも詰め込めということではありません。大規模なビジネスイベントのプレゼン用のPowerPointを手がけているAvi Fryman氏はこう言います。

一般的なルールとして、PowerPointをプロンプターとして使うべきではありません。もし1枚の画像が千の言葉に値するなら、聴衆には1枚の画像を見せ、必要であれば千の言葉は口頭で述べるようにしてください。千の言葉をスライドで見せて、千の言葉をそのまま話すようなことはしないでください。


2. ありきたりな表現とクリップアート

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ありきたりなイメージやコンセプト(地球を背景に握手とか)に陥ってしまったり、安易なクリップアートに頼ってしまうことはよくあります。とくに時間がないときはそうなりがちですね。しかし、質の高いプレゼンはありきたりな表現を使わないものです。最初に頭に浮かんだことは、競争相手も思いついてる可能性が高いでしょう。

解決策

ありきたりな表現をなくす。ブレーンストーミングして、あなたのアイデアをよりよく表現する方法を模索しましょう。3〜4つの選択肢を検討して、最適なニュアンスを探してみてください。


3. 重点が欠落している

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理解するのに10秒以上かかるスライドは複雑すぎ、とDuarte氏は言います。スライドに余計なノイズを加えず、言いたいことをズバリ伝えるようにすべきです。

解決策

情報には重点が必要。スライドは3秒で理解できるものであるべきです。複雑なアイデアは、要約するか複数のスライドに分割しましょう。スライドを増やすことを恐れないでください。何枚になろうと自由なのです。1枚のスライドに長くとどまるよりも、スライドを流していった方が頭に入りやすいものです

聴衆はカフェインを飲んでいて落ち着きがなく、すでに情報の海で飽和状態になっているかもしれません。スピーチの間、こっそりスマートフォンでemailを返信したりしている人も少なくないでしょう。しかし、スクリーンに映しだされたイメージ(もしくは簡潔な引用)が真にインパクトがあるものであったなら、聴衆は注意を向け、あなたの話に耳を傾けるはずです。


4. デザインに統一感がない

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Duarte氏は、ビジネスパーソンとデザイナーの違いは、デザイナーがベストな印象を与えるために、要素を適切な大きさで適切に配置する方法を学んでいることだと言います。無関係なウサギやホットドッグの写真などはスライドに入れてはいけない! ということです。突拍子も無いアニメーションも入れないようにしましょう。

解決策

要素は意図的に使用する。ただ飾るためだけにスライドを装飾しないでください。Duarteでは、有益なチェックリスト(英文・PDF)を公開しています。Garr Reynoldの「Graphic Design Fundamentals」(英文)も参考にして、統一性や空白、色などのデザインの基礎を学びましょう。


5. 聴衆との関係をつくれない

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最後に、もしあなたのプレゼンに聴衆とつながるメッセージがないのだとしたら、どんなにデザインがきれいでも意味はありません。よく緊張からかスライドに向かって話しているプレゼンターがいますが、目指すべきゴールは、あなたの伝えたいメッセージと聴衆との間に橋をかけることです(それから聴衆の貴重な時間を浪費しないこと)。

解決策

聴衆に共感をもつこと。Maine Community Collegeで演説法とコミュニケーションを教える非常勤講師John Brubaker氏は、聴衆の視点に立つことからプレゼンのアウトラインを作りはじめると良いと書いています。聴衆の視点とは、「W.I.I.F.M.」すなわち「what's in it for me?」(私にどんな得があるの?)です。


■ポイントを「SLIDE」で覚える

Duarteが上記の解決策にこっそり仕込んだ「SLIDE」に気づきましたか? ぜひ今後のプレゼンに活用してください。

Simplify(簡潔にする)

Lose the cliches(ありきたりな表現をなくす)

Information needs emphasis(情報には重点が必要)

Designate elements(要素は意図的に使う)

Empathy for the audience(聴衆に共感をもつ)


■プレゼンにストーリーテリングの構造を取り込んで、ドラマと効果を加える

最高のプレゼンやスピーチは「物語」と多くの共通点があります。物語は、現在の地点から未知の世界へ連れていきながら、ドラマと緊張感をはらんで人の心を動かします。あなたのアイデアは至福のうちに理解されるのです。

DuarteのTEDxでのスピーチ(英語)を見れば、物語の効果がわかるでしょう。ストーリーテリングのフレームワークを使えば、プレゼンをもっと人を引き付けるものにできます。映画のようにさえできるかもしれません。現在の地点(例えば他社のなんの魅力もない携帯電話)と、未知の可能性(例えばiPhone)とのギャップを増幅させるのです。「スティーブ・ジョブズのプレゼンスタイル」については以前ご紹介しました。ジョブズのテクニックは、他のストーリーテラーやスピーチメーカーと同じパターンに従っています。

人の心を動かすプレゼンの作り方について、もっとアドバイスのほしい方は、「良いプレゼンのコツは『3つのQ』」も参照してみてください。

Melanie Pinola(原文/訳:伊藤貴之)

 

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