「うーんと、アレ...何だっけ?」と思い出せそうで思い出せないとき、どうしますか?
おぼろげに頭に残っているワードを頼りに、とりあえずググってみるというのが、現代の記憶の蘇らせ方かもしれません。では、インターネットの普及によって、私たちの記憶にはどのような変化が起きているのでしょう? これに関する興味深い実験結果が明らかになりました。
Photo by lyrandian.科学誌『Science』の最近の心理学研究によると、ヒトの記憶の保存方法が変化してきているとか。事実や情報そのものではなく、その情報がオンラインで見つけられる場所を覚えるようになっているそうです。
この研究を行った研究者は、「インターネットが交換記憶(transactive memory)として働いている」と指摘。つまり、私たちはインターネットを外部記憶ソースと捉えているわけです。もちろん、これ自体はそれほど新しいことではありません。たとえば、「パソコンに困ったら、あの人に聞いてみよう」とか「このへんの美味しいお店の情報は、あの人が知っていそうだな」など、他の人の専門性やスキル、記憶を利用することはありますね。インターネットもこれらと同じように扱い、利用しているのです。
また、この傾向は実験からもわかっています。被験者を2つのグループに分け、いくつかの豆知識を覚えるように指示。一方のグループには、このデータはコンピュータ内のフォルダに保存されると伝え、他方には、データが消去されると伝えました。その後、全員に記憶テストを実施したところ、データが消去されると伝えられた被験者のほうが、保存されると伝えられた被験者よりも成績がよかったそうです。データが保存されるという前提があると、情報そのものよりも、情報の場所を記憶するようになるゆえだろう、と考察されています。
インターネットという技術を日常的に使うようになるにつれ、脳の使い方もこれに順応するように変化していく...というのは、なんだか面白いですね。
Google Effects on Memory: Cognitive Consequences of Having Information at Our Fingertips | Science via BBC News
THORIN KLOSOWSKI(原文/訳:松岡由希子)