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「ライフハック」という言葉には、「最小限の労力で最大限の効果を得る」というイメージがあります。愚直にやるのではなく、スマートにやろうよ、という。今回はその逆の話で、「あえてスマートに仕事をしない」というライフハックについて、お話しさせていただきたいと思います。

Photo by Sean MacEntee.

 ■仕事の成果を客観的に判断できる人は少ない

「仕事の成果というものは、労働時間やかけた努力の量に比例するわけではない」という事実は誰でも知っているはずですが、やはり多くの人は、労働時間や努力の量で成果を判断してしまいがちです。なぜなら、成果を計測するのは難しいのに対して、人の労働時間をはかるのは大変簡単だからです

「構想10年、総費用30億円」と宣伝している映画と、「構想1週間、総費用3万円」といっている映画のどちらを見に行きたいか? という話と同じかと思います。成果が完全に「見える化」されている営業の仕事、黄ばんだ壁にひとりひとりの営業成績が貼ってあるといった場合であれば話は別ですが、多くの仕事は、ズバ抜けてスキルの高い人以外は、成果に明らかな差が出るわけではなく、遅くまで仕事しているなどの努力によって、周囲の評価が決まりがちです。ほかで差がつかなかったら、いる時間などのわかりやすい評価軸で見るくらいしか手段がありません。

■リスクヘッジとして「がんばる」

努力していることを知られるのが嫌いなナルシストは昔からいるものです。成績優秀なクラスメイトが、どう考えても勉強漬けの毎日なのに「全然勉強してないよ」と言っていたことを思い出していただければと思います。そのクラスメートはサラリーマンになってから、きっと「全然仕事してないよー」と言いつつ、家に仕事を持って帰っているに違いありません......が、それは大変損です。なぜなら、何か問題を起こしたときに「でもあの人はがんばっているから」、「あの人はいい人だから」という必殺技が使えないからです。政治家が叩かれる理由を思い出してみましょう。

「企業から不正に献金を受けていた」、「国会で居眠り」、「不倫をしていた」、「公約を守らない」などです。仕事ができないとかそういう話ではなくて、倫理的な問題が多いのがわかるかと思います。不真面目であると思われてしまうと世間は冷たいですが、例え仕事ができなくても、がんばっていると非難はされにくいです。がんばっている人の努力を評価しない人はいなくもないですが、その人は「ドライな人」と言われていることでしょう。

もちろん、まったくがんばっていないのにがんばっているように見せたりすると、人格を疑われてしまいますが、いざという時に「あの人はダメなところもあるけど、がんばっているし、いい人だから」という切り札を持っておくと、何かと安心できるかと思います。効率よく仕事をしていたとしても、「手を抜いているわけではなく、ちゃんとがんばっていますよ!」というアピールを欠かさず行うことで、有事の際の備えとなるのです。

ココロ社