ゆるキャラ風な顔をしている割には、意外と手強い相手ですからね...。
今年もやって参りました。そう、確定申告のシーズンが。2011年の3月15日は、来週の火曜日。一応、3月16日以降でも還付申告は可能ですが、青色申告の特典など、3月15日までが期限となっているものもありますので、なるべく15日までに済ませておきたいですね。
昨年に引き続き、今年も過去の作業メモをバージョンアップして、2011年版e-Taxの手引きとしてご紹介します。主にフリーランスの方向けですが、給与所得者の方に、e-Taxソフトの操作解説としてご参照ください。
■事前の準備
今年の「確定申告特集」では、e-Taxをはじめるための段取りが、かなり見やすくなりました。整理すると、下記の3つになります。
■「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」の提出
この提出はオンラインでも可能です。オンラインなら即日で利用者番号が発行されるので便利です。オンラインでの提出方法は、下記の手順になります。
- こちらのページから「ルート証明書インストーラ(exe形式/約2.2MB)」をクリック。
- ダウンロードして、ルート証明書をインストール。
- 続いて、「4 信頼済みサイトの登録」の「信頼済みサイト登録ツール(exe形式/約2.2MB)」をクリック。
- ダウンロードしてダブルクリック。ウィザードに従って「登録する」→「完了」をクリック。次は「届出書の選択」へ
- こちらのページから「個人の方」をクリック。
- 遷移した画面で「次へ」をクリック。入力フォームが表示されるので、各項目を入力。
- 暗証番号(半角英数8桁以上)と納税用暗証番号(半角数字6桁)を登録する欄もあるので、2種類の暗証番号をあらかじめ作っておきましょう。
- 送信すると「即時通知(開始届出書)」画面が表示されるので、印刷するか保存しておく。
- 「即時通知(開始届出書)」画面で、「次へ」ボタンをクリックして、「利用者識別番号照会」画面に進む。
- 利用者識別番号と暗証番号が表示されるので、印刷または保存。
これで利用開始の申請は完了です。 ■住民基本台帳カードの発行&電子証明書の発行
管轄の役所にて「住民基本台帳カード」と「電子証明書」の発行申請を行います。すでに住基カードを持っていれば、電子証明書のみの発行で済みます。両方とも持っていなければ、電子証明書の発行に住基カードが必要となるので、同時に発行手続きしてしまいましょう。
住基カードには写真付き・写真無しの2種類がありますが、e-Taxに使うだけであれば写真は不要です。写真を持って行く手間が省けます。手数料は住基カードの発行に500円程度(一部の自治体では無料のところも)、電子証明書の発行に500円、合計約1000円が必要です。
住基カードの発行時にカード用暗証番号と、電子証明書用の暗証番号を設定します。所要時間は約30~40分くらいでした。会社勤めの方にもっともハードルが高いのが、この住基カードと電子証明書の発行。必要書類等を自分の自治体のWEBサイトから確認して、無駄足にならないようにしましょう。自治体によっては、書類申請を郵送で受け付けているところもあります。ただし、受取は本人確認書類を持った上で、本人が受け付け窓口に出向く必要があります。
※ 私の場合、今回のe-Taxが3回目で、3年で期限が切れる電子証明書の期限を更新する必要がありました。更新の手続きは、発行と同様に本人が役所に出向かなくてはなりません。ここで注意したいのが、「更新」なので「期限が3年間延長される」とばかり思っていたところ、「更新手続きを行った日から3年の期限になる」ので、ご注意ください。なるべく、電子証明書の期限ぎりぎりに更新したほうがいいですよ。
■ICカードリーダの購入いまの時期なら、量販店では特設コーナーがあります。「公的個人認証サービス対応」と書いてあるものを選びます。私が住基カードを発行したときは、役所で住基カードと一緒に、公的個人認証サービス対応機種の一覧表をくれました。それで確認してもいいでしょう。ちなみにAmazonでは最安で1,890円。購入したら、最新版のドライバをインストールします。
ここまでの作業をまとめた「電子申告事前準備ツール」が、NTTデータのサイトから無料でダウンロードできます(『確定申告の達人』を購入しなくても使えます)。こちらを使うのもいいでしょう。
■必要(あると便利な)ソフトの準備お次は、確定申告に必要な書類を作るソフトの準備です。「あると便利」としてあるのは、「確定申告書等作成コーナー」のサイトで、すべての書類が作成できるからです。
ただし、下記のソフトを使った方が、簡単に作業できるかと思います。「確定申告書等作成コーナー」での作成は、こちらのサイトから、Windowsなら「平成22年分事前準備セットアップ」のインストールを、Macなら「ルート証明書」のインストールが必要です。
準備すべきソフトは下記の3つ。
それでは解説は以下にて。
■e-Taxに対応した会計ソフト私は毎年「やよいの青色申告」を使っています。ほとんどの個人用確定申告ソフトは、体験版を提供していますから、使いやすそうなものを選んで使うといいでしょう。「やよいの青色申告」はユーザー数が多く、情報が探しやすいのがメリットです。
やよいユーザーでの、e-Taxへの道筋は、
- 「やよいの青色申告」で所得税確定申告書B(1・2表)・青色申告決算書・収支内訳書を作成して、e-Taxデータに書き出し。
- e-Taxソフトに、やよいで書き出したデータを取り込み&所得の内訳書(紙での申告時に、支払調書を記載するもの)や、社会保険料の支払明細書(紙での申告時に、保険会社からの控除証明書を貼り付けるものの代わり)、医療費の明細書(紙での申告時に、医療費の明細を入れる紙袋の代わり)など、申告必要な書類を「e-Taxソフト」で作成。株取引があったときの、分離課税用申告書や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」、特定口座年間取引報告書も、e-Taxソフトで作成できます。
- 「e-Taxソフト」で電子署名&送信
という段取りになります。 ■e-Taxソフト e-Taxソフトとは、国税庁が開発した無料の電子申告用ソフト。確定申告に必要な各種書類や、添付書類を作れ、また、電子署名を付けて税務署に送信できます。
各種書類の作成については、前述の会計ソフトや、「確定申告書等作成コーナー」と機能が一部重複します。e-Taxソフトは、国税庁公式ソフトで、すべての帳票を作成できるので、会計ソフトで作れない帳票をe-Taxソフトで作るわけです。
ちなみに、e-Taxシステムを開発したNTTデータから『電子申告の達人 2011』というソフトも出ています。個人用青色申告ソフトには、この『電子申告の達人 2011』がバンドルされているものもあります。こちらは、個人用の確定申告によく使われる書類の作成と送信(申告)が行えるソフトです。自分の確定申告に必要な書類が、すべて『確定申告の達人』で作成できるなら、e-Taxソフトの代わりに、こちらを使ってもいいでしょう。『確定申告の達人』で作れない書類があれば、全部e-Taxソフトで作成&送信した方が、面倒くさくないと思います。
e-Taxソフトのダウンロードは、こちらから。インストールウィザードの最後の画面で、「e-Taxソフトを起動します」にチェック入れたまま「完了」を押すと、すぐ初期設定画面に移ってしまうので、ここではチェックを外しておきましょう。
■公的個人認証サービスソフトダウンロードはこちらから。住基カード発行時に、役所で渡されるCD-ROMと一緒のソフトです。
インストール後、Windowsのスタートボタンから、「すべてのプログラム→公的個人認証サービス→ユーティリティ→ICカードリーダライタ設定 で、「PC/SC対応」を選択し、接続しているリーダの名称を選択」という作業が必要です。でないと、ICカードを認識してくれません。
※ 今年の申告ではPCを新しくしたため、初めからセットアップし直したのですが、どうしてもICカードをe-Taxソフトが認識してくれない、という症状に見舞われました。試行錯誤の末に見つけた解決策は「利用者クライアントソフトVer 2」ではなく、「利用者クライアントソフトVer 1」を使うこと。
OSやブラウザの要件を満たしているはずなのに、なぜかe-Taxソフトで認識しない! とお悩みでしたら、Ver.1を試すことをオススメします。 ■帳票データの作成&送信まず整理しておきたいのが、提出書類の数です。これは、「紙での申告と同じ」と考えればOK。税務署で配布しているパンフレット「所得税の確定申告の手引き(PDF)」や、昨年度に提出した書類の控えなどを参照して、書き出しておくとスムーズにいきます。
一例として、私がe-Taxで申告(65万円所得控除の青色申告)したときは
2. 確定申告書Bの第2表
3. 所得税青色申告決算書
4. 貸借対照表
上記の4つは「やよいの青色申告」で作成可能。1. と2. は『電子申告の達人2011』でも作成可能。
こちらも「e-Taxソフト」で作成可能。紙で出す代わりに「e-Taxソフト」で作るというわけです。
7:平成22年分 社会保険料等に係る控除証明書等の記載事項
この2つは、紙での申告の場合、控除証明書や領収証を添付する(確定申告書Bの第2表の裏に貼る)が、e-Taxの場合、その代わりに上記の2書類をeTaxソフトで作って申告します。つまり、控除証明書や領収証を見ながら、e-Taxソフトにちまちま入力するのです。この2つも『電子申告の達人2011』で作成可能です。
毎年医療費の明細を入力するときに、e-Taxの帳票のリストにある
・平成○○年分医療費の明細書
という、まったく同じ項目の書類のどちらを選べばいいのか、と悩んでいましたが、日本税理士会連合会の電子申告向けQ&A によると、
4-2-6 電子申告の場合、医療費領収書に関しては「平成○○年分医療費に係る領収書等の記載事項」という帳票と「平成○○年分医療費の明細書」という帳票があり、両帳票とも同じ内容となっています。電子申告の場合は両帳票とも作成して送信しなければなりませんか。
A 「医療費に係る領収書等の記載事項」については、医療費の領収書等を税務署へ提出または提示に代えてその記載内容を入力するための帳票となっています。
「医療費の明細書」については、第三者作成添付書類を税務署へ提出、または提示する際に合わせて作成して提出するものです。
したがって、添付省略か提出かの目的に応じて何れかの帳票のみ作成すればよく、両方について同じデータを入力して送信する必要はありません。
なお、医療費の内訳の内容については、記載、入力の方法は、何れの場合も当該入力画面のところで入力可能です。
という記載があり、e-Taxの際には「平成○○年分 医療費に係る領収書等の記載事項」を使えばいいようです。ちなみに、個人的経験では、どちらを使っても、無事に還付されました。
これは、e-Taxのみで必要になる添付書類。送付した書類の一覧表です。『電子申告の達人2011』でも作成できます。
株取引があれば、
・特定口座年間取引報告書
が必要になります。
フリーランスの場合、上記の8種類の書類を送ることになる方が多いかと思います。住宅ローン控除を受けたり、寄付金控除を受けたりするときには、追加で書類が必要になりますので、税務署の窓口やタックスアンサーなどで確認しておきましょう。
申告すべき書類が整理できたら、作成&送信の準備へ。ここまで来ればもう一息です。
■書類の作成と送信2. 確定申告書Bの第2表
3. 所得税青色申告決算書
4. 貸借対照表
「やよいの青色申告」で経費や売り上げなどを入力。
↓
e-Taxデータの書き出し
(「決算・申告」メニュー→「e-taxデータの書き出し」:画面の指示に従って入力→データ書き出し)
↓
任意の場所に保存
※「やよいの青色申告」がない場合やe-Tax未対応ソフトの場合、確定申告書作成コーナーで作成して、データ書き出し(保存)↓
保存したデータを、e-Taxソフトで作成する書類ができた後で、e-Taxソフトに取り込みます。
※ 今年の申告で難儀だったのが、「やよいの青色申告」で作成した確定申告書Bを、e-Taxソフトに取り込んだ後、電子署名をするときにエラーになってしまうことでした。「スキーマチェックエラー」と表示され、署名が行えませんでした。こちらも試行錯誤した結果、「やよいの青色申告」で、還付振り込み先の銀行支店名を入力する欄を空白にしてしまったのが原因でした(振り込み先が「本店」だったため、右端の「本店」を丸で囲っただけだと、電子署名時エラーになるようです)。
電子署名のところでトラブったときには、こちらのチェックをしてみましょう。
6. 平成22年分 医療費に係る領収書等の記載事項
7. 平成22年分 社会保険料等に係る控除証明書等の記載事項
8. 平成22年分申告書等送信票(兼送付書)
電子署名・送信の手順は、こちらの作り方と毎年一緒なので、2010年版の手引きをご覧ください。解説の末尾にある「次のページ」をクリックすると、進みます
これでe-Taxでの申告は完了になります。
最後に忘れないでいただきたいのが、還付があるケースでは「e-Taxの場合、約3週間で還付金が振り込まれる」という点。申告完了から3週間経っても還付金が来ないときには、先方での受信チェック漏れというケースもありますので、申告した税務署へ連絡しましょう。
また、電子申告の場合、医療費の領収証や支払い通知を手元に残しておけますが、ランダムに電子申告後に書類提出を求められることもあります(この通知が来た際に、税務署の方に伺ったところ、約3割の人に送っているとのことでした)。
長くなりましたが、一度e-Taxにしてしまえば、翌年からはかなり楽になります。今年も、電子申告による5000円の税額控除があるので、チャレンジしてみるといいですよ。もし、今回の電子申告が間に合わないようであれば、申告時に電子申告の申請と青色申告の申請を行っておけば、次回の申告に間に合います。
(常山剛)