インターネットのエキスパートで作家のクレイ・シャーキー氏が出した新刊『Cognitive Surplus: Creativity and Generosity in a Connected Age』は、脳に残っている「Cognitive Surplus(思考の余剰)」の使い道と、社会的な意義を書いた本です。クレイ・シャーキー氏によると、今までテレビに使っていた思考の余剰を、インターネットに使うことで、ウィキペディアなどの媒体を作るのに貢献できる、とのこと。

上の図は、Information is Beautifulのサイトが、本に書いてあったテレビに費やしている時間(左)と、ウィキペディアを作るために使った時間(右)を図にしたもの。アメリカ人の大人全体が、年間2000億時間を、テレビを見るのに使っているのに対し、ウィキペディアを作るのにかかった時間は、1億時間です。図にすると、その差は歴然ですね。

 この本について、米Lifehacker編集部の友人であるマット・ホーヒー氏も「素晴しい本だ」とコメントしています。

この本では、ここ50年間、私たちがどのようにテレビに釘付けになっていったかを明らかにし、そのテレビに無駄遣いした時間を、ほんの少しでもインターネットで有効に使えば、ウィキペディアのような知識の蓄積ができあがる、と指摘しています。他にも、たくさんオンラインのコラボレーションによる事例が、紹介されています。この本のすごい点は、多くの事例を用いて、しっかりと論理を積み上げ、なぜそうなったのか納得できる作りになっている点です。

インターネット創世記の頃は、プログラマーやコンピュータの技術に少しは理解のある人でなければ、ブログを書くことさえ大変でしたが、今はTwitter、Tumblr、Posterousなど、使いやすいシンプルなツールができたから、みんながネットに投稿しやすくなりました。これからは、誰かが投稿した内容が世界的なニュースになる、なんてことも起こってくるはず。クレイ氏の次の著書では、そのあたりを掘り下げてくれると思います。

テレビを見る時間を、インターネットで発信する時間にして、なんらかのかたちで社会に貢献する。ライフハッカー読者のみなさんは、日常的にやっていることかもしれませんが、あらためてこの意義を考え、ネットで社会貢献、してみませんか?

Cognitive Surplus visualized [Information is Beautiful]

Clay Shirky's Cognitive Surplus [A Whole Lotta Nothing]

Adam Pash(原文/訳:阿久津美穂)