■おいしい料理をまた食べたい
そうです。
おいしいご飯は生きる糧です。料理についてはとんと疎くて、せいぜい麺程度の男の料理派の美崎です。
写真があればおいしい料理を再現できると思っているあたりが、いかに料理に疎いかを示しているのだと、きっと料理人の方は、頷いてくださるのかなと思います。
料理についてできることといえば、食べた料理を記録するくらいです。これも、たしかこのジャンルでイグノーベル賞を受賞したドクター中松と比較するとささやかなもので、おおむね記録できているが、まあ抜けてもこだわらない--記録のための記録はしない--程度でやってます。
それでもずいぶんな蓄積はあり、主としてカレンダーで整理していましたが、最近はローカルだけでなく、『Flickr』や『FoodLog』なども活用しています。
それで、料理の素人の話です。
■テラインコグニタ
料理の素人暦は長く、写真があればおなじ料理を再現できると、けっこう長いこと思っていたのです。
いや~、ほんとに無知ですね。
フランス料理や会席料理の煮凝りのように、素材の元がわからないように作った料理では、再現するのはむずかしいと思いますが、一般的な家庭料理であれば、肉は肉だろうし、ニンジンはニンジンなんだから、見ればわかるだろうと思っていたんです。
ところが、写真を共有し始めたら、料理人から「写真だけでは再現できない」とクレームがつくのです。
特に、ケーキ類などでは、素材の分量のちょっとしたグラム数の違いで、膨らんだり膨らまなかったりするらしい。
そ、そうなんですか。
知らなかった。
世界はほんとうに未知にあふれています。
■楽譜とレシピ
基本的な技術やセンスや、ある種のていねいさを別とすれば、料理を再現するのには、レシピが必要です。
なるほどいわれてみれば、音楽が楽譜と演奏で成り立っているように、そして音楽を演奏しない人が、楽譜には関心がなく演奏だけに興味をもつように、料理もレシピと料理があるわけです。料理をしない美崎がレシピの価値を知らなかっただけです。
ふつうは楽譜なしに演奏はできませんし、レシピなしに料理は作れません。
それが作る側の論理ですね。
演奏を聴き、料理を食べるのは、ほんとうにお手軽でお気軽です。いや、それだってもちろん、おいしい店を探したり、おいしい食材を見つけたりという、料理以外の努力はしているとしても、いまは料理の話であります。
さて、それではいかんということで、いかんというのは、つまり、座して待ってもおいしい料理は出てこない、ということで、より積極的においしい料理を再現する方策を検討し始めました。
■レシピのログをとる
まず、ログをとることを考えました。
料理のレシピといえば、つい先ごろ、2010年の6月18日でしたか、世界のGoogleが、レシピ検索を開始したのは記憶に新しいところです。
しかし、レシピといえばなんといっても、『COOKPAD』です。料理人にいわせると、ここのレシピにはおいしいものがそろっているらしい。
ただし問題もあって、『COOKPAD』のレシピは、もう一度探すのがひどくむずかしいらしいのです。
たとえば、ある料理(チョコレートケーキ)をするときに、30ページ分くらいのレシピを見るらしいのです。そのうち「これだ」というめぼしいのを見つけて、それにそって作るわけなのですが、その「これ」をもう一度見つけるのがむずかしいと。
写真だけでもだめですが、一度見たレシピが出てこないのでは、なかなかどうしたものかという気がします。
■じっくり見たページだけに絞る
そこで、どうやってレシピのログをとるか、ということを考えました。
簡単にいうと、一度に比較してみるのは多数のページかもしれないが、じっさいに作るのは、そのページをじっくりみているページだろう、と考え、Webブラウザで表示している時間が5分を超えた場合だけを記録するようにしました。
5分を超えたら、そのページのURLと料理名をセットにして記録し、まとめて自分宛にメール送信します。
URLと料理名は、タブ区切りにしているので、あとで検索したり、再利用したりするのもたやすいと思います。これでじっさいにログをとってみると、約1カ月半ほど運用して、70レシピほどになりました。
これが多いのか少ないのかはよくわかりませんが、70という数は、単にブラウザのブックマークなどで管理するのには、やや多めで、なるほど、「一度見たレシピを再度見つけるのがむずかしい」というのはこういうことかとわかります。
ログを見ていたら、一度見たレシピを見つけるのがむずかしい理由がもうひとつわかりました。それは、おなじジャンルのレシピを比較してみていることが多く、かつおなじジャンルのレシピには、おなじキーワードを使っているので、検索がきわめて困難なのです。
じっさいのログで見ると、「シュークリーム」とか、「ノンオイル」とか「チョコレート」とか「オレンジムース」とか、「キャベツ」とかで検索していることがわかるのですが、これらのキーワードで検索しても、同じページを見つけるのは、たしかによほど困難だろうな、という気がします。
■ログつき検索機能もある
『cookpadloger』には、もうひとつ、検索機能もあります。
Googleエンジンをつかってレシピを検索でき、検索ログは、プログラムとおなじフォルダにlist.txtとして記録し、再利用も可能です。
これはこれでなにか使えるんじゃないかと思います。
■制限とか今後の展開とか
例によって、シンプルに出すために、いくつかの制限があります。
最小化してタスクトレイに入れたつもりが入ってないです。なんかタイトルバーだけのウィンドウが端っこにあって、ひじょ~にみっともない気がします。
Windows XP/7で動作テストしています。動作には、.NET Framework2.0が必要です。
アイコンは『iconspedia』のCemagraphicsさんによるMini Breakfast iconを使用しました。背景にもイメージを入れてみました。すっごくクールに見えたとしたら、Cemagraphicsさんのおかげです。
今後の展開ですが、デジタルを取り込んだときに、その写真とレシピをマッチングさせる方法を検討しています。どうやるか、についての方向性はすでに検討ずみですが、それを書く紙の余白が(とかいってみる)。
その方法がうまくいけば、写真を取り込んだときに、自動的にレシピにリンクして、Flickrにアップロードしてくれるようになります。っていうか、Flickrのタグを自動生成するといったほうがわかりやすいですかね。画像を解析せずに、最小の手間で写真にタグづけを行うことができ、それで料理までおいしくなるって、最高じゃないでしょうか。
ま、そんなわけで、単独のソフトとしてシンプルに出しました。ほかと連携するいろいろも作っているので、それもまたいずれ別の機会に。
(美崎薫)