最近寒いですね。季節上、当たり前のことなんですが、こう寒いと外出もおっくうです。しかし、さむーい季節にもスケート、氷に穴を空けて魚釣り(地域限定ですが)などのアウトドアな楽しみがあります。寒い地域に住む人々にとって、氷の上へ遊びに行くのは毎年のお楽しみです。しかし氷の世界ではたった一歩の間違いが、死を招くようなこととなりかねません。氷を突き破って、凍える水の中へ落ちてしまうこともあります。それは実に悲惨な体験で、溺死や低体温症に容易に至ります。レアなケースかもしれませんが、備えあれば憂いなし。ここでは、氷の割れ目に落ちた際に生きのびる方法を、11のステップにまとめて紹介します。
以下が11のステップです。
- しっかりと準備をする
多くの人々は救助が得られやすい都市部の近くにいますが、人里から離れた場所へ行くような場合(バックパックを背負って旅に出るとか、スノーモービルで出かけるとか)、孤立するかもしれないという事態に備えなければいけません。ジャガイモ掘りのスティック、長い鉄製の棒あるいは先端が鉄でできた木製スティックを持って出かけましょう。それで氷の厚さがはっきりしない位置を叩いて、確認してから渡るようにします。また、滑りやすい場所では杖として利用することもできます。この他にも数多くのタイプの安全のためのスパイク用品があるので、氷の多い地域を探検の際には、用意しておくと便利です。最も安全なスパイクは、木製のダボと釘で作れます。手にあうように釘を1インチ直径の木製ダボを打ち込めば、救命道具ともなり得る、浮きになります。二つの木製合わせ釘をアイフックで繋ぎ、丈夫なコードで自分の首にかけておけばOKです。
氷のような冷たい水の下に浸かってしまった後には、すぐに体を温めることが何より重要です。そして人里離れた場所では、火を起こすより他に方法がないかもしれません。確実に火をおこするものが必須です。例えばキャンプやアウトドアショップで購入できるものや、最低限でも防水マッチぐらいは持っていきましょう。火を起こす道具が、必ずしも防水仕様になっているとは限りません。ですからそれらの道具は、きっちり封を閉じることのできるプラスチックの入れ物や、防水の容器に入れておきましょう。そういった火を起こすための道具は、失くさないようにジャケットについている、ジッパーで閉じることのできるポケットに入れておくと良いです。氷の中に分け入っていく場合、徒歩であれ、スノーモービルであれ、自分の身に着けていないものは全て失くしてしまう可能性があります。
小さなバックパックを持って行きましょう。中には必要な品々、具体的には水、食べ物、緊急用毛布、そして可能であれば着替えを入れておきます。その際、必ず防水仕様のバックパックを選んでください。さらに、中に入っているものをぴっちりとプラスチック製品で封をして防水になるようにしておきます。中にモノを詰め込みすぎないようにし、必要なものだけを入れるようにしましょう。もし既に重たいバックパックを背負っているようであれば、次のことをよく肝に銘じておいてください。もし水に落ちたら、重たいバックパックを捨てて這い上がらなければならない可能性がある、ということを。ですから緊急品は、胴回りに巻きつけるタイプのバッグ、もしくは衣服のポケットに入れておくと良いです。
スノーモービルで行く場合には救命胴衣のような浮く衣類を身に着けましょう。通常のスノーモービル・スーツはかなり重たいため、体が沈んでしまい、水中から逃げ出すのがとても困難になります。浮くスノーウェアは値段は高いですが、言うまでもなく命はお金よりも大切なので用意しておきましょう。
- 気を引き締める
氷の中へ落ちる!と感じたら、すぐに息をとめましょう。そうすれば頭まで水につかってしまったとしても、水を飲み込んでしまうことはありません。多少余裕があり、意識がはっきりしていたら、頭が水浸しになるのことも防げます。とはいえ、事故は突然起きます。全てはあっという間の出来事です。頭が水に浸ってしまったら、とにかく水上へ頭を出すようにしましょう。
- 冷静に
文字通り「冷たい」頭で、などと言っている場合ではないのですが、落ち着くことは絶対に必要です。水に落ちたら、急激な「寒冷ショック」に、身体が即座に反応します。過呼吸に特徴的な症状、不随意な過呼吸、そして高血圧や心拍数変化を含む、内科的反応が引き起こされます。こういった状況下では容易にパニックに陥ります。しかし実際は、たとえほとんど凍りかけているような水中であっても、自分の身体を水から引き上げるために必要な、総合的肉体バランスや力を失うまでには、健康な人間であれば、通常2~5分間あります。場合によっては、それ以上の時間持ちこたえることもできます。時間との戦いですが、その戦いはほとんどの人が考えているよりもずっと長いものです。パニックに陥らず、落ち着いて行動しましょう。
- 浮かぶように心がける
体温の高い、頭は絶対に水の上に出してください。水をかき、ほんの少しだけ後ろに身体を傾ければ、比較的容易に浮いていることができます。水から直ちに脱出しなければと過度に心配する必要はありません。最初の1分間はまず身体を浮かせておき、沈まないようにすることに神経を集中するべきです。もし重たいバックパックが身体を下へ沈ませるようであれば、捨ててしまいましょう。
- 呼吸をコントロール
寒冷ショックによる過呼吸と動揺は、水に落ちた瞬間から始まり、4分間ほど続きます。水から自分自身を引き上げるのに十分な力と意識を温存し、心臓停止の危険を最小にするために、できる限りすばやく呼吸を通常状態に戻す努力をしなければなりません(健康な人であれば、寒冷ショックによる心停止は稀です、しかし心臓の既往症がある人や高齢の人にとっては、即座に心停止に至る場合があります)。ゆっくり呼吸をすることに神経を集中してください。そして深呼吸するように努力します(この方法は周囲の気候が非常に悪い場合は現実的でないこともあります)。もし呼吸が急速な場合には、息を浅くします。そして口をすぼめて息をするようにしましょう。
- 氷の分厚い場所を目指す
氷の中へ落ちてしまったので、周辺の氷もまた非常に脆弱であるということが既にわかっていますね。乗っても大丈夫な氷は、自分が落ちてしまったその場所のすぐ前の部分にあります。要するに、落ちるほんの少に自分を支えていた場所です。ある場合には、しかし、自分がやって来た方向の端への到達が非常に難しい、あるいは既に氷の断片になってしまっていることもあります。その場合は、とにかく分厚くてしっかりしているように見え、しかも到達可能な氷端まで、どうにかたどり着くことです。
- 身体をできる限り水から引き上げる
氷のへりを掴み、ひじと腕をつかって自分の身体を引き上げておきます。それでも自分の身体を完全に水に浸らないようにはできないかもしれませんが、これで自己救出劇を良好に始めることができます。水がひいていけば、荷物も軽くなります。
- 自分の足を蹴って、体を引き上げる
自分の体を完全に水面の上へ上げておくことができない場合、自身の体を出来る限り水平に水から出しておきます。氷に対して前傾姿勢を保ち、足をキックして泳いでいるようにします。そうして、腕とひじをつかって穴から這い上がります。
- 背泳の要領で水に浮いて穴から這い上がる
自分の強いほうの腕を氷にかけて足を同じ側の氷の端にもっていきます。反対側の脚から這い上がっている間に、反対側の腕を這い上がる方向へもっていきます。氷の上に自分の身体が出てくるまでこれを繰り返します。
- あきらめない
5-10分以内に水から脱出できなかった場合には、もう水から出てこられないということがわかっていると思います。あなたの身体は弱って統合することができなくなり、ついには意識を失うでしょう。でも諦めてはいけません。戦略を変えるのです。氷に落ちた後、意識不明に陥った多くの人たちは、それでも救出されています。というのも彼らは意識を失った後であっても自分の頭を水の上に出しておくようにしていたからです。
自分の身体をできる限り氷の上に出しておきます。当たり前ですが、身体は水の中でのほうがはるかに急速に体温を失っていきます。だから水の中から出しておく必要があるのです。
腕を氷に対して水平に伸ばします。滑り出さない限りは動かしてはいけません。もし氷に対面するポジションに手と腕を保っておけば、手も腕も凍ってしまいます。しかしそれでも、こうしていれば意識がなくなっても、水の中に沈み込んでしまうことはありません。救助されるまでの時間稼ぎになるのです。
- 穴から脱出。
すぐに立ち上がってはいけません。穴の周りの氷は脆弱かもしれないので、自分の体重を出来る限り、氷の面に対して分散させる必要があります。穴から転がるようにして、あるいはお腹を下にして這うよう、穴から数メートル離れたところまで行きます。その後、もう危険は去ったと確信できる場所まで、手と足を使って這って行きます。そして初めて立ち上がることができます。
脱出した後は、自分がつけた足跡や自分が来た道を辿って帰ります。少なくとも可能な限りは、自分がやって来た道を通って戻るようにします。以前に自分が歩いてきた氷は、自分の体重を支えることができたのですから。
激しい低体温症から脱出するのにはかなり時間がかかります。しかし出来るだけ早く暖まらなければなりません。たとえ自分が大して寒いと感じていなくても(それは無感覚になっているだけです)です。もし人里離れた荒野にいる場合、火を起こします。さもなければ出来るだけ早く屋内または温かい自動車の中に入ります。素早く適切な医療措置をうけてください、たとえ自分はそれが必要ないと感じていても、です。
九死に一生の体験はしたくないものですが、いつ自分の身に降りかかってくるかはわかりません。生き延びる、生き残るためにも正しい知識を持って対応できるようにしておくのは、決して時間の無駄ではないと思います。
Survive a Fall Through Ice [wikiHow]
Jason Fitzpatrick (原文/訳:粟野雅子)