「ムカつくー」と、思わず口に出して言いたくなる時ってありますよね。本書はそんなときにピッタリのまさにタイトルどおり『ムカつく相手を一発で黙らせるオトナの対話術』です。

本書の著者は、合気道などの日本の武道をヒントに、「自分の身を守るために、お互いを傷つけることなくやり込める術」を考案しました。この術に関して、10年以上のキャリアがあり、シリーズ累計では120万部のベストセラーになっています。

その秘伝の技は「やまびこトーク」「にぎやかな沈黙」「ひとことコメント」「褒め言葉」「迂回トーク」「場違いなことわざ」など10種類。

その技のいくつかを以下に紹介すると...

 ●不愉快だと思った言葉を繰り返す「やまびこトーク」

・「あなたの報告書、ちょっと雑だったね」

→「どういうところが雑だったのでしょうか?」

・「ずいぶん馬鹿げたことを言いますねえ」

→「あのう、どういうところが馬鹿げているのでしょうか?」

礼節を忘れずに「やまびこトーク」をすると、とりあえず「売り言葉に買い言葉」のような事態は防ぐことができそうです。

●相手の不愉快な言葉を受け流す「にぎやかな沈黙」

・不愉快な言葉を言われてたら

→「びっくりしたような顔をする」

→「会釈するように相手に対してうなづく」

→「悲しそうな顔をして首を振る」

→「表情を変えず、相手をじっと見つめる」

→「鉛筆を取り出して、相手の言ったことを書きつける」

余計なことを言って、火に油を注ぐよりは、黙っていた方がましですね。

●横柄で知ったかぶりのムカつく相手には「褒め言葉」

→「素晴らしい。本当によくわかってらっしゃる」

→「お話を聞くのが楽しいですね。とっても専門的な話が聞けますから」

→「これだけの専門的な知識のあるお客さんははじめてです」

→「お客様のようになりたいものです」

→「説明の仕方がお上手ですね」

→「こういう仕事をしているとお客様から教えていただくことも多いんですよ」

これは、「抱きしめられれば、敵は動けなくなる」という理論からきてるみたいです。横柄な人でもここまで褒められると気勢がそがれそうです。

●高等テクニックなのが「場違いなことわざ」

・「どうして、いつも遅れるんだ!このうすのろ!」

→「頭寒足熱医者いらず」

・「この臆病者め!チキン野郎!」

→「早起きは三文の得」

その場に全然関係ないことを言うというのは、実は結構難しいような気もするのですが、言う方も言われた方も、いったん落ち着いて冷静にならねばなりませんから、案外効果があるかもですね。

本書では、このようにムカつく相手への対応が10種類も載っています。そして、一番大切なのは、真の意味で主体的になること。相手の言葉に反応的になっていけません。相手の言う言葉を、こちらでコントロールすることはできません。コントロールできるのは自分の反応だけなのです。刺激を受けたら「こう反応しなければならない」という決まりは人間関係においてはありません。

自分自身を主体的にコントロールして、よりよい人間関係を築いていきたいものですね。

(聖幸)