Windows 7は10月22日に正式リリースされますが、PC WorldではWindows 7とVistaの比較テストを既に行っており、結論から言うとWindows 7はVistaよりも「やや速い」程度であるとの結果が出ました。
テストの結果についての彼らの見解は「スピードの向上は認められるものの、全体的なパフォーマンス性の向上はVistaと比較した場合、それほど特筆するほどではない」というもの。いくつかのテストではWindows 7のパフォーマンスはVistaを大幅に上回ったものの、Vistaの方が上回った部分もあり、多くの部分ではOSによる変化はそれほど見られなかったそうです。
記事の概要は下記の通り:
PC worldが行ったテストでは5台のパソコン(デスクトップ2台、ノートパソコン2台、ネットブック1台)にWindows 7をインストールし、WorldBench 6によるテスト(様々なアプリを使用し、機器のパフォーマンスを測定するテスト)を実行。また起動/終了にかかる時間、ノートパソコンのバッテリーライフ、一般的なアプリの起動時間などを測定(テスト方法の原文詳細はこちらから)。
■WorldBench 6 テスト
E&C Black MambaでのテストでのWorldBenchスコアを比較してみると
- Windows 7 Ultimate 64-bit =144
- Vista Ultimate 64-bit = 139
ここではWindows 7が3.6%ほどVistaを上回りました。
HP Pavilion a6710tデスクトップでのテストでは、32-bitと64-bitをそれぞれで比較。Vista Ultimateの32-bit:64-bitの比較結果は...
- 32-bit = 104
- 64-bit = 106
とその差はわずかなもの。一方、Windows 7での比較では
- 32-bit = 96
- 64-bit = 103
と、64-bitによる明らかなパフォーマンス向上が認められました。
Gateway T-6815によるテストでは
- Vista Home Premium 32-bit = 58
- Windows 7 Home Premium 32-bit = 64
と、Windows 7の方が明らかに優れていたのに対して、Lenovo IdeaPad Y530のノートPCでは32-bitの場合、
- Vista Ultimate 32-bit = 83
- Windows 7 Ultimate 32-bit = 84
とほとんど差は見られませんでしたが、64-bitでのテストでは、
- Vista = 79
- Windows 7 = 83
となり、スコアが向上しているのが分かります。
オプティカルディスクイメージを大量に作成し、それを保存する、というテストを行うWorldBench 6 Neroテストの結果ではWindows 7のパフォーマンスはVistaの約2倍のスコアとなっており、ハードディスクパフォーマンスに関してはWindows 7の方がかなり優れていることが分かります。64-bitバージョンを搭載したVistaとWindows 7を比較したところ、IdeaPad Y530のパフォーマンスはWindows 7でおよそ2倍、Gateway T-6815では2.5倍(Vista:1648秒に対してWindows 7:667秒)という結果(ただしVistaの64-bitは32-bitよりもパフォーマンスが悪く、それに対してWindows 7では64-bitの方がパフォーマンスが良くなる傾向があるので、数値だけ見るのはフェアでない部分もあります)。
■起動/終了時間Microsoftによると、Windows 7ではOSの起動プロセス自体に変更が施されおり、「トリガー起動サービス」、というスキームが使用されています。これは簡単に言うと、Vistaでは起動の際に必ず立ち上げていたシステムサービスやプロセスを、必要に応じて起動する、という方法。例えば、Bluetoothの場合、Windows 7ではシステム起動の時には立ち上がらず、Bluetoothデバイスを使用した際に起動するようになっています。起動するサービス数を減らすことによって起動時間を短縮出来る、という言ってみればシンプルな発想。
起動テストでの結果はまちまち。
Gateway T-6815のノートPCで起動時間は
- Windows Vista Home Premium (32-bit):39.6秒
- Windows 7 Home Premium:43.6秒
一方、HP Pavilion a6710tでの起動時間は、
- Vista Ultimate Edition:55.2秒
- Windows 7 Ultimate Edition:48.3秒
と、この結果は真逆になっていました。色々とテストしてみた結果、どうやらこれはハードに依存する要素が強いようです。
また終了時間のテストではWindows 7とVistaのスコアはほぼ同じでした。つまり、起動時間も終了時間もOSによってもたらされる変化、というのはそれほどない、というのがPC Worldの出した結論。
■バッテリーライフテストWindows 7のもう一つの売りは消費電力の減少。つまりバッテリーの持続時間の向上。テストしてみた結果、Gateway T-6815のノートPCでは確かに14分ほど電池の持ちは良くなっていましたが、Lenovo Y530での差はわずかに1分。これもハードに依存する要素が強いようですが、運が良ければ15分程度、最悪でも同じくらい、というテスト結果でした。
■アプリ起動時間テストの結果、Windows 7はVistaよりもややパフォーマンス性の高いOSだと言えるかと思いますが、アプリ起動に関してはVistaの方が明らかにスピーディーである、という結果も明らかに。プログラム起動にかかる時間はWindows 7の方が0.7秒から7秒ほど余分にかかります。Windows 7での起動時間が最もかかったのがPhotoshop CS4。Vistaでは2.7秒(平均)で起動出来ましたが、Windows 7では平均9.6秒。その他のアプリでは3.7秒以上の差が出ることはありませんでしたが、全てのアプリでVistaの方が反応がいい、という結果に。とは言え、実際のその差は数秒なのですが。
■結論テストの結果をここまで読んで、Windows 7って大したことないの? と思った方もいらっしゃるかと思いますが、この新しいOSは昔のものよりもスピーディーなOSである、ということは言えると思います。
テストに使用したのはわずか5台のパソコンなので、その他の数千台+無限の設定での状態がどうなるのかの断定は出来ませんが、アップグレードと謳いながらも、実はパフォーマンス性が低下していることもざらにあるパソコンの世界で、確実に前進している、というのは評価に値する功績です。
読者の皆さんはアップグレードしますか? もう少し待ちますか? コメントで教えて下さい!
Windows 7 Performance Tests [PC World]
(原文/訳:まいるす・ゑびす)