<英文>へ
記者会見をなさる天皇陛下
|
この1年も,新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに,家族,友人など大切な方を亡くされた多くの方に,心からお見舞いを申し上げます。感染症の影響により,仕事を失ったり,苦しい生活状況に陥る人,孤立を深める人も多く,心が痛みます。医療従事者の皆さんは,自らの感染の脅威にさらされながら,強い使命感を持って,昼夜を問わず,最前線で患者さんの命を救うための尽力をされています。また,
昨年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大という困難な状況の中での開催となりましたが,大会を無事に終えることを可能にした運営スタッフ,ボランティア,医療従事者,警備担当者など多くの関係者の尽力に敬意を表したいと思います。私たちもそうでしたが,参加した選手一人一人が力を尽くして競技に臨む姿から,新たな希望と勇気を見いだされた方も少なくなかったのではないかと思います。また,参加国の選手同士がお互いの健闘をたたえ合う姿や,例えば,女子バスケットボールの表彰式の後で,日米仏3か国の選手全員が自然に入り交じって記念撮影に臨む姿など,国境を越えた選手同士の交流が各所で見られたことにも感慨を覚えました。この度の北京での冬季オリンピックでも選手同士の心温まる交流を目にしましたが,そのような光景を見ながら,私は,50年前の札幌冬季オリンピックでの,70メートル級スキージャンプで金メダルを取った
昨年も,現在人類が直面する最大の課題の一つとして,気候変動問題に関心が集まりました。その解決に向けては,国・企業・研究機関・一般の人々など幅広い関係者が手を携えて脱炭素社会の実現に取り組まなければなりません。そのことは,時として,乗り越え難い壁のようにも見えますが,近年においても我々はこのような課題に挑戦してきました。例えば,平成初期には,地表に降り注ぐ紫外線を増加させる「オゾン層の破壊」が地球環境問題として真っ先に挙げられる課題でしたが,数十年に及ぶ国際的な連携・協力やその下でのフロン回収技術等の企業の技術革新,消費者の理解と協力などにより,早い地域では2030年代にはオゾン層が1980年の水準にまで回復する,との見通しを国連の専門機関が示すほど状況が改善していると聞きます。このオゾン層の回復は,地球規模で対策に臨んだ環境問題の改善の好事例として,気候変動対策に向けた努力が始まりつつある中で勇気を与えてくれるものです。そのような中で,昨年,
東日本大震災の発生から間もなく11年を迎えます。この震災により,2万人を超える数多くの方が亡くなったり,行方不明になったりしたことは,今思い出しても深く心が痛みます。その後の復興の過程で,人々の生活や産業を支える社会基盤の整備等は進んだものの,精神的なサポートを必要とする人が近年になってむしろ増えていると伺うなど,本当の意味での復興はまだ道半ばにあるものと思います。私は,雅子と共に,引き続き被災地に心を寄せていくつもりです。思い返せば,東日本大震災直後には,現地に駆けつけたボランティアに多くの被災者が勇気付けられたものと思います。海外の多くの国々からも支援物資等が届けられ,ボランティアが被災地に駆けつけてくれました。先月の海底火山の噴火による被害が伝えられるトンガの皆さんからも,その時,様々な支援を頂いたことは記憶に新しいところです。その時の感謝の気持ちは今なお色あせるものではありません。ここに改めて,この度のトンガの噴火により被災された方々に心からのお見舞いをお伝えいたします。東日本大震災の発生と同じ平成23年,トルコで起きた震災に日本から支援活動のために赴いていた
新型コロナウイルス感染症の影響により,国民の皆さんと広く直接触れ合うことが難しくなっていることを,私も雅子も残念に思っています。それでも,オンラインにより昨年3月,4月に東日本大震災被災3県を訪問して行った復興状況の視察を始め,全国各地をオンラインで訪問することにより,現地の方々のお話を伺い,交流することができたことは私たちにとって意義深く有り難いことでした。例えば,5月の「こどもの日」にちなみ,熊本県の阿蘇山の麓にある高森町と,鹿児島県の離島である三島村の学校を半日のうちに続けて訪問し,それぞれ特色のある地域の子供たちと交流できたことや,第5回国連水と災害に関する特別会合に各国の研究者と一緒にオンラインで参加できたことは,オンラインの活用が,感染症対策としての利点だけではなく,例えば複数の場所にいる人々に同時に会うことができたり,離島や中山間地域など,通常では訪問がなかなか容易にできない地域の人々とも比較的容易に,しかも臨場感を持って交流することができるという利点と可能性があることを改めて実感させてくれるものでした。様々な場所を実際に訪れ,現地で多くの人々と直接お話しをしたり,同じ体験を共有したりしながら,その土地,その土地の雰囲気を肌で感じるなど,実際の訪問でなければ成し得ない部分はあるものの,感染が収束しない現状では,オンラインは,国民の皆さんや世界の人々と私たちを結ぶ上で,有効な手段と考えられます。オンラインなりの課題もあるかもしれませんが,状況に応じた形で,引き続き活用することができればと思っています。また,感染収束後も,オンラインを活用することが適当な場合には,その活用も視野に入れていきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響により,現在は様々な形の交流が難しく,
上皇陛下には昨年暮れに米寿を迎えられ,上皇后陛下には今年米寿を迎えられることを喜ばしく思います。昨年12月と今年の元日に,久しぶりに両陛下に私たち二人そろってお会いできたことをうれしく思っております。また,日頃より,私たちや愛子を温かくお見守りいただいておりますことを有り難く思っております。両陛下には,新型コロナウイルス感染症の感染拡大にお心を痛められつつ,日々を送っておられることと拝察いたします。これからも,お
雅子は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大による活動への制約などから,体調を整えにくくなっている面はありますが,種々の工夫や努力を重ねながら,幸いにして,都内での式典やオンラインによる各地への訪問,新年ビデオメッセージなどに一緒に臨むことができました。養蚕については,昨年,より多くの作業に取り組むことができ,楽しみながら作業をしている様子を見て,私もうれしく思いました。また,皇居への移転に伴い,生活環境が大きく変わる中で,自分なりに公務と生活のリズムを整えようと懸命に努力していると思います。しかしながら,いまだ快復の途上で,体調には波があり,大きな行事の後には,疲れがしばらく残る傾向にあります。これからも,無理をせずにできることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしいと思います。雅子は,また,私の日々の活動を支えてくれる大切な存在であるとともに,公私にわたり良き相談相手になってくれています。私も,今後ともできる限り力になり,支えていきたいと思っております。国民の皆さんには,これまで温かく心を寄せていただいていることに,改めて感謝の気持ちをお伝えするとともに,引き続き雅子の快復を温かく見守っていただければ有り難く思います。
愛子は,昨年12月に成年を迎えました。成年に当たっての感想の発表や成年の行事に臨むに当たり,緊張もあったと思いますが,何とか無事に諸行事を終えることができ,私たちも安
眞子内親王は,小さいときから
週刊誌報道やインターネット上の書き込みについては,人々が自分の意見や考えを自由に表現できる権利は,憲法が保障する基本的人権として,誰もが尊重すべきものですし,人々が自由で多様な意見を述べ合える社会をつくっていくことは大切なことと思います。その中にあって,一般論になりますが,他者に対して意見を表明する際には,時に,その人の心や立場を傷つけることもあるということを常に心にとどめておく必要があると思います。他者の置かれた状況にも想像力を働かせ,異なる立場にあったり,異なる考えを持つ人々にも配慮し,尊重し合える寛容な社会が築かれていくことを願っております。
皇室の歴史を
私は,幼少の頃より,沖縄に深い思いを寄せておられる上皇上皇后両陛下より,沖縄についていろいろなことを伺ってまいりました。子供時代の沖縄との関わりについては,毎年夏を過ごした軽井沢での沖縄の豆記者の皆さんとの交流がありました。そうした機会は,幼少の私にとって,沖縄について知るとても良い機会でした。会の途中では,豆記者の生徒さんが,沖縄の空手の形を披露してくれていましたが,昨年夏の東京オリンピックで金メダルを取った沖縄出身の
先の大戦で,悲惨な地上戦の舞台となり,その後,約27年間も日本国の施政下から外れた沖縄は,人々の強い願いの下,50年前日本への復帰を果たしました。この間,今日に至るまで,沖縄の人々は本当に多くの苦難を乗り越えてきたものと思いますし,このことを決して忘れてはならないと思います。本土復帰から50年の節目となる今年,私自身も,今まで沖縄がたどってきた道のりを今一度見つめ直し,沖縄の地と沖縄の皆さんに心を寄せていきたいと思います。そして,これからも,多くの人が沖縄の歴史や文化を学び,沖縄への理解を深めていくことを願っています。
先ほどもお話ししましたけれども,小さかった愛子がもう
そうですね。私の高校時代のことは,はるか昔のことのようには思いますけれども,また,年は
行事時刻 | 出御 | 行事 | 事項 | 場所 |
---|---|---|---|---|
午前 9:00 | 天皇陛下 | 天長祭の儀 | 宮中三殿 | |
同 10:30 | 天皇陛下 | 祝賀の儀 | 皇嗣同妃両殿下 | 松の間 |
同 10:30 | 皇后陛下 | 祝賀 | 皇嗣同妃両殿下 | 梅の間 |
同 10:35 | 両陛下 | 祝賀 | 元皇族(代表)及び御親族(代表) | 竹の間 |
同 11:00 | 両陛下 | 祝賀の儀 | 内閣総理大臣,内閣官房長官,衆議院議長,参議院議長,衆議院副議長,参議院副議長,最高裁判所長官,最高裁判所判事(長官代行)及び外交団長並びに以上の者の配偶者 | 松の間 |
同 11:10 | 両陛下 | 祝賀 | 参与等 | 鳳凰の間 |
同 11:15 | 両陛下 | 祝賀 | 長官,次長(総代)及び皇宮警察本部長(総代) | 鳳凰の間 |
午後 0:15 |
両陛下 愛子内親王殿下 |
祝賀 | 侍従職職員 | 御所 |