2024年12月17日
一般社団法人 日本経済団体連合会
一般社団法人 日本経済団体連合会
【概要】
(PDF形式)
要旨
- 日本経済は、デフレからの完全脱却の正念場にあり、成長と分配の好循環が継続すれば、その先には、適度な物価上昇を伴う本格的な「金利のある世界」の到来が見込まれる。
- 経団連の調査によれば、多くの企業は、「金利のある世界」をポジティブに捉えている。また、今後3~5年程度の望ましい経済環境を、短期金利1.0%程度、物価上昇率2%程度、為替相場120~140円/ドル程度と考えている。
- 「金利のある世界」では、付加価値に応じた価格付けが可能な「健全な価格メカニズム」が回復し、「時間の価格」の上昇(割引現在価値の低下)に伴って資金調達コストが上昇する。これは、企業は、現状維持では今後の成長が難しく、「投資」を通じて、金利や物価上昇率を超える付加価値の創出を競い合うことを意味する。
- まさに「金利のある世界」は「価値“競創”」経済と言える。
- 金利が引き上げられる環境が整った状態である「金利のある世界」では、経済全体として、企業や個人による「1%超の生産性向上」、政府・日銀による「2%程度の適度な物価上昇」の実現を通じて、企業の「3%超の付加価値創出」が実現する姿が望ましい。
- 「生産性向上」に向けて、企業には、人的資本投資、物的資本投資の両面の拡充が求められる。特に、人的資本投資では、「グローバル志向、 デジタル志向、 チャレンジ志向」、物的資本投資では、「DX投資、GX投資、国内投資」が鍵となる。
- また「付加価値創出」に向けて、企業には「生産性向上」に加え、取引先への価格転嫁や従業員の賃上げなど、各ステークホルダーに対する適切な取組みも求められる。
- 加えて、ヒト・モノ・カネが成長領域へと“円滑”に移動する事が重要となる。ヒトの面では採用方法の多様化、学び・学び直しの促進、モノ・カネの面では事業再生・承継の推進などが求められる。
- 政府には、財政規律の確保を前提に、「経済あっての財政」の考え方に基づく必要に応じた消費喚起・内需下支えを図りつつ、規制緩和による競争の促進、歳出入改革の徹底を通じた財政の強靭化が求められる。
【本文】
(PDF形式/本文の目次は以下のとおり)
目次
要旨
はじめに
Ⅰ.「金利のある世界」の絵姿
- (1) 企業の認識
- (2) 「金利のある世界」の特徴
- (3) 「金利のある世界」で企業に求められる方向性
Ⅱ.「金利のある世界」で求められる企業の取組みと環境整備
- (1) 「生産性向上」に資する「投資」の拡大
- (2) 「付加価値創出」に資する、ステークホルダーに対する取組み
- (3) 「金利のある世界」への移行に向けた、ヒト、モノ・カネの“円滑”な移動
Ⅲ.「金利のある世界」で期待される個人、政府の取組み
- (1) 個人への期待
- (2) 政府への期待