吾輩は外航船の船長である。
東京の山奥で生まれ育ち、外国と船と海にあこがれて、船員になったのである。
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- 第22回 ダンダン
- 「だんだん」は島根地方の方言で「ありがとう」という意味である…
- 第21回 大いなる勘違いで危険回避の出来事
- 吾輩が指揮する船は、18万重量トンの鉄鉱石運搬船だ。全長約300m、幅約50mもある…
- 第20回 再度の食料危機転じ福?来たりめでたし
- 再度の食糧危機は突然にやって来た。それは中国の最初の港で、鉄鉱石の揚げ荷役の最中…
- 第19回 裏小路に現実を見る 中国ドック街ぶらり
- 「ジーマ船長、一人で行くんですかー?」。心配顔のフィルクルーを尻目に…
- 第18回 アンビュランス!!
- ここは中国のドックである。吾輩の船は船殻大工事(せんかくだいこうじ)のため、もう1カ月も…
- 第17回 七の七十倍まで
- 聖書「マタイ福音書」に次のくだりがある。マタイ18章22節、「そのときペトロがイエスの…
- 第16回 メスマンが笑った
- 話は25年前に遡(さかのぼ)る。まだ吾輩が駆け出しの二等航海士だった頃のことだ…
- 第15回 船上のいやし
- 船内はいつも、とんだハプニングが続いているというわけではない。そこで今回は…
- 第14回 賊泥棒かっぱらい 忘れた頃にやってくる
- 世界中を回っている船舶では時としてこれらに出くわすことがある。その実態を紹介しよう…
- 第13回 船内トラブル 3兄弟
- フィリピンクルーの船内トラブル三兄弟は、「ケンカ」「チャブチャブ」「ちょい待ち」である…
- 第12回 豪州昆虫軍 恐怖の特攻隊
- 何年か前のことである。二十数年ぶりにオーストラリア(豪州)のヘッドランドに入港した…
- 第11回 スペシャルリミッタンス
- ブイ(浮標)とブイの間、わずか2ケーブル(約370m)。錨地への狭い水路を慎重に通過…
- 第10回 頼むぜい!! 自衛艦乗りたちよ もっとシャキッとせんかい
- 5月31日付共同通信社の海員水産ニュース(次ページに抜粋)にこんな記事が載っていた…
- 第08回 鉄のおきて
- 吾輩とて一夜にして船長になったわけではない。22歳で某社の外航船に四航士…
- 第07回 メキシコ沖の三角波
- 今回は一昨年(2006年)10月、吾輩率いるコンテナ船がホンコンを出港し…
- 第06回 コックローチ奮戦記
- コックローチは、誰もが嫌うゴキブリの英語名である…
- 第05回 ひみつのアッコちゃんは今
- 読者はその昔「ひみつのアッコちゃん」というアニメがあったのをご存じだろうか?…
- 第04回 クルーと一緒楽しいお正月
- 陸(おか)の人に良く聞かれることの一つに船のお正月がある。大洋航海中に迎える元旦は…
- 第03回 にっこにこ給料タイム!!
- 吾輩の同胞、フィリピン人クルーにとっての一番の楽しみは、「自らが働いた1カ月間の労働…
- 第02回 食糧危機、来る!!
- 事の発端は3日前であった。 現代の外航船の船長は、月末になると船で処理するお金…
- 第01回 ジーマ船長 外科医に変身!!
- 事の発端は3日前であった。 現代の外航船の船長は、月末になると船で処理するお金…
ジーマ船長とは?
吾輩は外航船の船長である。
東京の山奥で生まれ育ち、外国と船と海にあこがれて、船員になったのである。
船長を拝命してから早6年目。幸いにも社内陸勤の経験はなく、船長として大過なく6隻の指揮を執ってきたのである。連載名はなんだか物騒な感じがしないでもなく、読者にいらぬ期待を抱かせそうだが、現実の船内にそうそうハプニングはない。
とはいえ6年間も外国人と生活を共にしていると、時として思わぬ事態にも出くすのである。そんなアンビリーバブルな出来事を織り交ぜながら、いまやすべてといっていいほど外国人船員との混乗になった外航船の「今」を楽しく、そして時にシリアスに語ろうではないか。
吾輩が船乗りになった30年前と比較すると、ハード面のみならずソフト面でも相当大きな変革があった。そうした変革期にたまさか船乗りになったのもこれまた宜(よら)し。これから船長を志す若人たちを思い、過去をあまり振り返らず、船乗りの「今」を語れたらと筆を取った。
海に陸に活躍する「海技者」指向の現在、外航日本人船員で「艦隊勤務」(おっと!! こりゃ古い)に徹する船乗りはそういないであろう。そんな類(たぐい)稀(まれ)なる吾輩であるからこそ語れることもあるだろう。これから外航船船長を目指す若人たちに、幾らかでも役立てたらと思う。では、時に「時化模様」となる外航混乗船の船内を特とご覧あれ!!