ウナギ養殖 移転へ本腰 自治体や大学と協力 シーガーランド
中部ジャワ州ソロでウナギの「ビカラー種」をシラスから成魚まで養殖する日系のシーガーランド・ウナギ・ジャヤ(SUJ)は地元自治体や大学などと協力し、インドネシアへのウナギ養殖技術の本格的な移転に乗り出す。インドネシア側は、資源が豊富だが、養殖が難しくリスクが高いウナギを一大産業に育てたい考えだ。
SUJはこれまでに中部ジャワ州スマラン県と東ジャワ州ブリタル県、スブラス・マレット大学と協力の覚書を結んだ。今後西ジャワ州スカブミ県と国営通信テルコムとも協力する方針。
同社などによると、協力は大規模な養殖池を造ってSUJが技術供与し、地元業者が養殖する形を想定している。最終的に日本へ輸出する。
SUJとしては自治体と協力しながら地域に根ざすことで存在感を高めることができる。インドネシア側は餌(えさ)や管理方法など、養殖の技術供与を受けることでウナギ産業を発展させる。
SUJは日本でビカラー種の養殖をした後、2011年からインドネシアでも養殖している。同社の養殖では、シラスウナギが成魚まで育ち、輸出できるのは半分ほど。インドネシアでは養殖の人材が不足しており、試行錯誤しながら日本並みの80〜85%まで引き上げたい考えだ。
■ウナギシンポ開催 JICAと海洋水産省
国際協力機構(JICA)と海洋水産省は25日、中央ジャカルタで日本に輸出している「ビカラー種」などのインドネシアのウナギ保全や産業発展をテーマにシンポジウムを開いた。日イの学者のほか自治体職員、養殖業者などが参加。26日に提言をまとめる。
インドネシアではジャワやスマトラのインド洋やスラウェシ、パプアなど広域でウナギの生息が確認されている。中国、東アジアに生息するニホンウナギは漁獲量が激減し、新たな調達先としてインドネシアに注目が集まっている。日本の養殖業者も進出している。
シンポジウムでは主に「資源の保全」と「産業化」について議論。インドネシアに漁獲規制はほとんど無い上、輸出が禁止されている150グラム以下のウナギの密輸が横行。産卵場所の生態研究も進んでおらず、漁獲量が増えればニホンウナギのように激減する可能性も指摘された。
ウナギ養殖に関わる日系企業関係者は「環境団体から批判を受けることもある。しっかり規制を作ってもらって、それを守りながらの方が事業がやりやすい」と話した。海洋水産省漁業局の担当者は「規制し違法を取り締まることでウナギ生産地としての潜在力を引き出すことができる」と期待を語った。(堀之内健史、写真も)
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