地球より800年ほど進化が遅れている別の惑星に、学者30人が派遣された。その惑星にはルネッサンス初期を思わせたが、何かが起こることを怖れるかのように反動化が進んでいた。王国の首都アルカナルではまず大学が破壊され、知識人狩りがおこなわれた。彼らの処刑にあたったのは王権守護大臣ドン・レバの分隊で、灰色の服を着た家畜商人や小売商人からなっていたこの集団は“灰色隊”と呼ばれ、王の護衛隊は押しのけるほど勢力を担っていた。
地球から派遣された学者の一人に第17代貴族ドン・ルマータと名乗る男(レオニド・ヤルモルニク)がいた。ルマータは、地域の異教神ゴランの非嫡出子であるとされていた。誰もがこの話を信じたわけではないが、皆ルマータのことを警戒した。
知識人たちの一部は隣国イルカンへ逃亡した。そのなかには農民一揆の頭目である「背曲がりアラタ」や、錫鉱山で使役される奴隷たちもいた。ルマータはアルカナルに潜入し、知識人たちを匿うべく努めていた。
ある日、ルマータは皇太子のいる寝室で当直の任務に就く。だがその直後に、彼は寝室に押しかけた“灰色隊”に取り囲まれ、逮捕を告げられる。ルマータは抵抗するが、結局捕まって連行される。“灰色隊”の隊長クシス大佐がルマータに絞首刑を宣するが、その直後にドン・レバ率いる“神聖軍団”の修道僧たちが大佐を撲殺する。やがて街に“神聖軍団”が集結する。ドン・レバは彼らに“灰色隊”を殲滅させ、自らの主導による新たな政権を確立しようとしていた……。