「はやぶさ」──小天体からのサンプル回収技術に挑む
小惑星からサンプルを回収して地球へ帰還するための技術を確立することを目標として、2003年5月9日に、内之浦からM-Vロケット5号機で打ち上げられた工学実験探査機MUSES-Cは、打上げ後に「はやぶさ」と命名された。2005年暮れに小惑星イトカワに接近・着陸・離陸した後、2007年11月現在、満身創痍の状態で地球への帰還の途上にある。
「はやぶさ」は、月以外の天体において着陸と離陸に成功した世界初の探査機となった。また試料採取に成功したと推定される。特に、無人のロボティクス探査という点において、自律的な光学航法誘導による画期的に新しい惑星探査を遂行し、わが国独自の手法を確立・実証することができた。日本は、「はやぶさ」とともに、深宇宙探査技術面で世界の第一線に立ったのである。