第9回 リブロecute日暮里店+Carlova360 NAGOYA(カルロバ名古屋)「パーマネント」
エリアやチェーンを横断した複数の店舗で発行されているフリペについては、第6回の「晴れ読」、第8回の「ブックトラック」などで紹介済みですが、今回取り上げる「パーマネント」は、同じチェーンの複数店舗で発行されているもの。
店名だけではわからないかもしれませんが、Carlova360(カルロバ)はリブロのショップブランドの1つで、現在はパルコ名古屋内の店舗だけで使われています。「パーマネント」はカルロバとecute日暮里店、2店の担当者が共同でつくっているもので、リブロと系列のお店全店で発行されているものではなく、担当者のお店、2店のみで配布されているようです。
サイズはA4の用紙を四つ折りにした文庫判で、クラフト紙のような色味と質感のある紙に刷られています。紙名は内容から読み取るに、担当者二人の天然パーマ(?)からとられたものなんでしょうか。
2016年10月に発行された創刊号、12月に発行された第2号を見ると、両面にぎっしりと情報が詰まっていて、その分、やや文字は小さめ。当方のような老眼に悩まされている身にはいささか小さすぎる感じもしますが(苦笑)、そこは伝えたいこと、書きたいことがたくさんあるということなのでしょう。
創刊号の表紙に「本屋「パーマネント」開店。」とあるように、2016年11月に刊行されたばかりの『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』(朝日出版社)に登場する書店同様、フリペ自体が架空の本屋さんに見立てたものになっているようです。中身のほうも、棚やフェアを意識したものになっています。本の紹介が中心ですが、新刊に偏ることなく、既刊もとりまぜて新旧もジャンルもばらばらの本がたくさん紹介されています。担当のお二人が音楽好きなのか、音楽ネタが多いのも特徴で、読んでいて印象に残ります。
フリペのつくり手が楽しんでつくっていることが、全体から伝わってくる内容になっています。リブロecute日暮里店、Carlova360 NAGOYA(カルロバ名古屋)の店頭で、実物をチェックしてみてください。
リブロは、こうしたフリペの扱いなども各店の裁量にまかされている部分が大きいのか、これまでも店舗独自のフリペが発行されていた例がありましたね。たとえば、池袋本店で数年前に発行されていた「池店別冊」。編集人には、当時はリブロに在籍、現在は東京・荻窪の本屋Titleの店主となっている、辻山良雄さんの名前がありました。
第4回の児童書関連フリペをまとめて取り上げた際に紹介した「わむぱむ通信」も、元は池袋本店の児童書売り場「わむぱむ」発のフリペで、後に別の店舗から発行されたものです。
「パーマネント」を見ていると、リブロに流れるフリペ文化のようなものは、店や担当者は違っても、実は脈々と継承されているのかもしれないなあ、などと、そんなふうにも思えてきます。
発行店:リブロecute日暮里店、Carlova360 NAGOYA(カルロバ名古屋)
発行頻度:隔月刊
●Googleマップ 「本屋フリペの楽しみ方」掲載書店
編集者・ライター。主に新刊書店をテーマにしたブログ「空犬通信」やトークイベントを主催。著書に『ぼくのミステリ・クロニクル』(国書刊行会)、『本屋図鑑』『本屋会議』(共著、夏葉社)、『本屋はおもしろい!!』『子どもと読みたい絵本200』『本屋へ行こう!!』(共著、洋泉社)がある。