2024年も締めくくりのこのタイミングで、感動作に出会ってしまった。
『Pine: 喪失の物語』は、大切な人の喪失をテーマに描く、まるで絵本のようなゲーム作品です。
手に汗握るアクションや、おとぎの世界の大冒険譚はありません。あるのは、妻を失い心を閉ざした男が、悲しみを乗り越え少しずつ前へと進んでいく、静かで美しい、小さな物語です。
木こりの生活に寄り添う、シンプルだけど心揺さぶるゲーム体験
深い森の中、木を切り倒すひとりの男。集めた薪を家へ運びながら、かつて妻と過ごした日々を思い出す。『Pine: 喪失の物語』は、そんなシーンから始まります。
菜園の手入れや、藁の収穫などの日常が淡々と過ぎ去ります。画面に流れる空気はどんよりとし、男の晴れない気持ちが伝わってきます。プレイヤーはタップやスワイプといった操作で、男の仕事を体験します。
時折男は、妻と過ごした日々を思い出します。そんな時だけは、心に感情が戻ってくる。画面も鮮やかになり、プレイヤーが体験するミニゲームも楽しげな雰囲気です。
ある日、男は集めた木材から、彫刻を作り始めます。まるで、妻の面影を追うように。
本作は言葉を使わず、アニメーションとサウンドだけで物語を描きます。プレイヤーはパズルやミニゲームを通して男の人生に関わっていくことで、本を読んだり、映像を見たりするよりも、深く作品に入り込んでいきます。
2時間ほどで遊べるとても短い作品ですが、「喪失と再起」というテーマを、ひとりの木こりの視点を通して、じっくりと体験することができます。
スマホ版では序盤を無料体験できるので、始めてみるのもいいかもしれません。2025年1月1日までの期間、My Nintendo Storeでは割引価格で販売されているので、この機会に遊んでみてください。
冬の寒い日、家でじっくり味わいたい作品です。
Source, Image: Nintendo