アップルCEOティム・クックはもっとお洒落になるべき? NYタイムズの提言

  • author 福田ミホ
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アップルCEOティム・クックはもっとお洒落になるべき? NYタイムズの提言

ウェアラブルはファッションなんだから、と。

Apple Watchグーグルグラスなど、ウェアラブル・テクノロジーが「Next Bit Thing」と言われて久しいです。ウェアラブル・テクノロジーは腕時計やメガネ、サングラスの代わりに身につけることになるので、ファッション性も重要…とも言われています。

特にアップルでは、バーバリーやイヴ・サンローランといったブランドから役員を引き抜いたり、伝説的デザイナー、マーク・ニューソン氏を雇い入れたりと、ファッション界のスキルを取り入れることに熱心です。Apple Watchのデザインもガジェットというよりは従来の腕時計を強く意識したものになっていて、いかにもガジェットらしいGalaxy Gearなどとは一線を画しています。ファッションショーの時期にぶつけてApple Watchイべントを組んだり、中国版「VOGUE」の表紙にApple Watchを登場させたりと、アップルはファッション界に急接近しています。

そんな今ニューヨーク・タイムズが、「会社の顔であるティム・クックCEOはもっとファッショナブルになるべきでは?」と問題提起しています。

たしかにクック氏は、公に姿をあらわすときはほぼ必ずジーンズと黒のモックタートルネックを着ていたスティーヴ・ジョブズ氏のように、彼なりの定番スタイルを作り出してきた。大きめの、ややしわの付いた、タックインしないボタンダウンシャツ。色は変わることもあるが(これまで、黒や青などいくつかの色で登場しており、ラヴェンダーのときもあった)、形は同じだ。

だが、その服装で特定のデザイン言語(イッセイミヤケ・クール)を参照していたジョブズ氏と違い、クック氏のスタイルはジョージ・W・S・トロウ(訳注:「Context of No context」というエッセイを著した)のアイデアを借りて言えば、「ノーファッションのファッション」に近い。ファッションに影響力を持とうとしている企業としては、わかりにくいメッセージだ。

ニューヨーク・タイムズはまた、他のテック企業のCEOを引き合いに出して「シリコンヴァレーの会社だからって服装にかまわないのは古い考え」としています。たとえば米国Yahoo!のマリッサ・メイヤーCEOはアルマーニやオスカー・デ・ラ・レンタなどのブランドが好きだと公言していたり、マイクロソフトのサトヤ・ナデラCEOが(特に前任のスティーヴ・バルマー氏やビル・ゲイツ氏と比べると)スタイリッシュなスーツやシャツをとっかえひっかえしたりしています。だからクック氏もどうにかすべきではないか、と。

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ただ、どうなんでしょうね。まずジョブズ氏のモックタートルネックに力があったのは、イッセイミヤケだからというよりは、何より着る人にカリスマ性があったから、そして「同じ服を着続けることで自分だけのスタイルを人に伝えたい」という本人の思いがあったからではないでしょうか。なのでクック氏のスタイルがジョブズ氏ほど強烈でないというのは理解できますが、かといって、いきなりお洒落っぽく変貌すればいいというものでもない気がします。

アップルという会社やその製品は、ジョブズ氏があのスタイルになるずっと前から、デザイナーなどスタイルに敏感な人たちに支持されてきました。時代とともに、アップルの主軸は家や会社に置いておくコンピューターからiPodやiPhoneといった身に着けて持ち歩く製品へと広がっていきましたが、つねに他の製品とは別格のカッコよさを維持してきました。スターバックスに行くとMacBook Airが目について仕方がないように、ウェアラブルと言われる前から、身に着けて見せびらかしたい存在だったんです。そう振り返ると、大事なのはCEOがお洒落だと思われることよりも、アップルらしい一貫性を引き継いでいくことなんじゃないでしょうか。

Apple Watchという製品を売るためにCEOが服装を変えるとしたら、それはアップルらしいのかなあ…と考えてしまうのですが、みなさんどう思われますか?

source: New York Times

(miho)