FBI摘発から1年―50GBのモンスターとなって蘇った「MEGA」が「初日登録100万人を達成」(キム・ドットコム談)しました。
アップロード殺到でサイトは遅くなり、今は一生懸命バグ直してるとこみたいですね。
1年前のちょうど今、#Megauploadがアメリカ政府に潰された。Welcome to Mega.co.nz―Kim Dotcom (@KimDotcom) January 19, 2013
ワオ。こんなの見たことねえ。使用バンド幅が10分で0から10GBになった。―Kim Dotcom (@KimDotcom) January 19, 2013
米ギズモードは公開前に使わせてもらったので、その印象をまとめておきますね。会員プランだけ見ると、その辺のDropboxとかGoogle Driveみたいなオンラインストレージと全く違いませんが、こいつはまったく別物ですぜ。
著作権者直撃の兵器。史上最もプライベートかつ無敵のファイル共有サービスです。
MEGAハンズオン
ログインすると最初に目に飛び込んでくるのはドラッグ&ドロップで簡単に使えるMegaアップロード用ツール。これだけ。
使おうとすると利用規約にサインが求められます。うちの会社の法律顧問に見てもらったら、あんまりうまい文章じゃないけど、要は「あんたがこのサービス使ってどんな悪さしてもMegaには責任ないからね」という趣旨のことが書いてあるそうですよ。学習したんだね、キム。
同意すると、自分の持ち物が全部一元管理できるファイルマネジャー「Cloud Drive」が開くので、そこでアップロードしたいファイルやフォルダーを選ぶと...ひゃーアップロード速っ...! メタリカのアルバム「Kill Em All」もものの数分でアップロード完了です。
あとは右クリック1回すると、アルバムのダウンロード用リンクが生成されるので、それを聴かせてあげたい相手に誰にでも送れるんです。いわば前のMegauploadにファイルマネジャーが付いた感じ。
「じゃあ、またMegauploadみたいな末路になるんじゃないの?」って思っちゃいますけど、そこはそれ。Megaではプライバシーをかなり強化したんです。これは目のつけどころが天才的ですね。
ファイルはすべてアップロードする前にローカルで暗号化処理されるので、Megaにはユーザーが何をアップロードしたか知る由もない、というわけ。家族写真かもしれないし仕事で使う文書かもしれない、好きなバンドの全楽曲かもしれない、中身はわかんないけど、Megaはそれをオンラインに保管して簡単に共有できるようにしただけのサービスだ、ということですね。しかも、ここが重要なのですが、Megaには暗号化を解く鍵がないのでコンテンツの中まで入って見れないんです。
この点を明確にするため、Megaでは「あなた個人用の暗号解読キーがない限り、誰もあなたの持ち物にはアクセスできない。Megaにもその解読キーはない。持ってるのはあなただけだ」という趣旨のことを利用規約に明記しています。一応、捜査当局に協力する場合もあるとプライバシー方針の中で断ってますが、TwitterもFacebookも外から見れないユーザーのデータにアクセスできるから警察に見せろやって捜査協力を要請されるわけでして...。Megaが持ってるのは暗号化ファイルだけ。何も引き渡すものがない...まさに究極のプライバシー保護。
これがなぜ著作権キラーなのか? という本題ですが、これは著作権キラーという枠にとどまらず、オンラインで最もプライベートな物のやり取りを実現したサービスと言えます。
オンラインのサービスはどこも、プライバシーがひとつの大きな課題ですからね。例えばグーグルでも、自分がプライバシーだと思っていた情報が捜査当局に引き渡されることがあります。グーグルが引き渡しに応じるのは強制されたからというのもあるけど、中身が見れるから、でもあります。
その点、キム・ドットコムの会社なら警察に「ユーザーの情報引き渡せ」って言われても、見れないので渡しようがありません。他の情報(例えば暗号キーのしくみの技術的詳細)の提示を求めるのは法的に問題を孕んでいます。ひとつハッキリしているのは、Megaがユーザーから自らの身を護る手段としてこれ以上スマートな手はない、ということです。
となると残る大きな疑問は2つ。こればかりはサイトをちょこっといじったぐらいではお答えできないのですが...
1)Megaはどれぐらいセキュアなのか? ハッカーは侵入できる? FBIは?
2)キム・ドットコムは将来このサービスをどうする計画なのか?
キム・ドットコムはアバウトなロードマップは提示してますが、はっきりしたところはギズにもわからないのです。ローンチ記者会見では「個人のプライバシーは基本的人権」だと語ったキム・ドットコム。行方に注目ですね。
取材協力:Melissa Ulto(MIP Journal記者)