アクネ菌は人間の皮膚にいつも住んでいる菌。皮膚を弱酸性に保ち、他の病原菌の進入や繁殖を抑制する働きをしています。しかし一方で、増殖し過ぎるとニキビの原因となってしまうことが有名なため、一般的にはあまり良いイメージがありませんね。
新手法は、そんな「悪そうな奴」アクネ菌を癌細胞の退治に利用。アクネ菌を呼び水に、患部へ白血球を集めて癌細胞の増殖を抑えます。白血球とは、体内をパトロールし、外部から侵入した細菌やウイルスをやっつけたり、腫瘍細胞や役目を終えた細胞を排除する、体内で警官のような役割をする細胞です。
白血球にとってはアクネ菌も癌細胞も敵です。でも癌細胞は一般人に紛れたテロリストみたいなもんなので、白血球は気づきにくい。そこで、あえて不審者(アクネ菌)をテロリスト(癌細胞)の近くに注入して、不審者をやっつけに来た機動隊(白血球部隊)にテロリストの存在を気づかせ、やっつけさせるみたいな感じです。
今回の実験では、マウスに、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)細胞を入れ、アクネ菌を投与しました。すると、2度投与しただけで、投与から28日目にはほぼすべての癌細胞が消滅し、アクネ菌も消えたそうです。
あまり良いイメージのないアクネ菌で癌を撃退できるとか面白いですね。
うーん、こういった画期的な技術が、はやく実際の現場で活かされるようになると良いなぁ。
ニキビの原因・アクネ菌で皮膚がん撃退に成功 三重大 [asahi.com(朝日新聞社)]
アクネ菌とは [ にきび治療web 思春期~大人のニキビ 原因と治し方]
(西條鉄太郎)