3月20日は月がこの18年で最も地球に接近する日(近地点・遠地点計算機によれば地球から35万6577kmの地点を通る)―しかも満月なので、きっと波は逆巻き天は風巻き地は揺れ人類滅亡でしょう。
...と予言してる人もいるので、ここではちょっと詳しく見てみましょう。
月による滅亡論
今回のように月の近地点通過と満月・新月が重なることを「スーパームーン(SuperMoon)」と呼び、一部予言者の間では「その前後には地球に大災害が起こる」と信じられているのです。
以下は、月の近地点通過で起こったと彼らが言ってる過去の主な災害です。
1938年 ニューイングランド・ハリケーン
1955年 ハンターヴァレーの洪水
1974年 豪ダーウィンのサイクロン・トレイシー
2005年 ハリケーン・カトリーナ
あと2005年にはインドネシアの津波もありました。と言っても近地点通過の2週間前ですが...まあ、充分近いですよね。
月が近地点でない時も災害は起こっている
でも、月が近地点に全然近くないときにも災害は沢山起こってます。スーパームーン専門家の記憶からはゴッソリ抜け落ちてますが...。
1992年 フロリダのハリケーン・アンドリュー
2010年 ハイチ大地震
1960年 マグニチュード9.5を記録したヴァルディヴィア近海を震源とするチリ地震
...とまあ、災害は月の位置にお構いなし。
くる年もくる年も年がら年中起こっているのですね。
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従って3月20日(米時間19日)前後に仮に災害が起こったとしても、それは月(実言うと地球から年38mmのペースで遠ざかっている)が原因ではなく、起こるべくして起こったものだと考えるのが現実的ですよ。
「どっちみち起こるんでもない限り、地震・火山爆発は起こりません。 [...] その前後に普段より高い波、低い波になるぐらいで、そんな興奮するほどのものはないでしょう」と、国際電波天文学センターの天文学者Pete Wheelerさんも言ってることですし、ね。
何か起こったら「ホレ見たことか!」と言うアホは必ずいるでしょうけどね...。人間は森羅万象なんにでも説明をつけたがる生き物なので...自分の頭の中でだけ筋が通る話でも、科学的根拠のない話でも。
月の引力で地震が起こると見る科学者もいますけど、満月・新月&地球から月までの距離と自然災害の因果関係はまだ証明されていないので。地球滅亡の心配はまずないでしょう。
(どうせオカルト解釈やるからにはこれぐらい飛躍してくれないと!)
[News.com.au, Daily Mail]関連:宏観亭見聞録: エクストリーム・スーパームーン
Jesus Diaz(原文/satomi)