今年もアップルには大いに期待なんですが...
いきなり昨年は衝撃のiPadの発表で幕を開け、iPhone 4の大興奮とともに1年が過ぎていったりしたわけですけど、そんなボクらをワクドキさせてくれるアップルのマジックの手の内といたしまして、もしかすると上手に各マスメディアは操られているのではないの? そんな指摘が飛び出しては話題になってるみたいですよ。まぁ、あの発表会でのスティーブ・ジョブズCEOのずば抜けた腕前のプレゼンを見るに、たとえ大手メディアでも巧みに乗せられてしまっているとしても仕方がないのかなって気にもなっちゃいそうですけどね。
ただ、なんとなく過去の事例を見ていきますに、アップルについて饒舌になっているメディアの裏側には何かがあると睨んでもおかしくはないのかもしれませんよ。えぇ、本当に? まずはちょっと疑惑の4大ニュースから徹底検証してみることにいたしましょう。
1. iPadの正式発表前に流されたリークの謎ちょうど1年前のことです。まだアップルからは何の正式な発表もない段階で、突然、天下のウォールストリートジャーナル(WSJ)がiPadの発売価格について大々的に書き始めたんですよね。しかも、その値段は実際の倍となる「1000ドル」になりますって話が、一気にWSJ発で全世界に超高速スピードで広まっていきましたよ。
iPadが1000ドルって高くねぇ?
いや、まぁ、アップルだし仕方がないでしょう。
それにしても、もうちょっと安かったら即買いなんだけどなぁ。
まさかアップルのことだから、激安モデルなんてあり得ないでしょう。
そうだよね。これはやっぱりネットブックで我慢するしかないのかな...
WSJから流れたiPadは1000ドルという事前リーク情報のおかげで、そんな雰囲気が醸し出されていたところへ、ジャジャーンとアップルの正式発表の場にジョブズが登壇して、あの500ドルを切る価格帯からのiPadの発売をアナウンスしちゃったので、これは一気に世論の裏をかく驚きを誘い、安いぞ、万歳! もう速攻で購入決定だぁという流れで、昨年話題になった空前のiPadブームでデビューが演出されたとの指摘が出てきてるみたいですよ。
ちなみにWSJは、あの1000ドルというリークの出所を現在でも明らかにしていません。ただ、やはり上手にアップルのシナリオに乗せられて、iPadは格安だと強く人々に印象づける広報戦略の一環で、まんまとアップルの意のままに事前にニュースを広めさせられたのではないかって、いまでも広く疑われているそうですね~。
2. iPhone 4のアンテナ問題を受けた緊急会見前に流されたリークの謎昨年はiPhone 4の発売に沸いたのと同時に、その直後からハードウェア設計の問題によるアンテナ受信感度の不具合が見られるとのトラブル指摘が相次いで、ついにその対応をめぐって緊急会見が開かれることになりましたよね。さぁて、アップルさん、どうしますかね...と、その対応に注目が集まっていた矢先、いきなりWSJが先にアップルからの事前リーク情報として会見前日にニュースを流し始めましたよ。しかも、その内容は、アップルとしては一切リコールなどに応じる気はないという非常に強気の発言でした!
おいおい、明らかにiPhone 4の本体に問題があってもリコールなどしないってどうなのよ?
これはアップルも強引な対応だなぁ。
いくら人気のiPhoneを売ってるとはいえ、この決定はないだろうよ。
せめてなんとかアップルとしても誠意を見せてほしいところだよな~
そんな世論が固まり始めたところへ、あのジョブズが颯爽と登場して、アップルが無償でバンパーケースを配布する対応のアナウンスが続いたため、先にWSJ発のニュースで不信感を抱いていた人にとっては、おぉ、アップルもいいところがあるよなっていう、その対応を歓迎するムード一色になってしまったのではないでしょうか。
ちなみに今回もWSJは、一体どういう根拠でアップルが一切のリコール対応などの断固拒否を決めたとのニュースを事前に流すに至ったのかを明らかにしていませんね。でも、あの時はかなりアップルにとって厳しい状況に立たされていたのは確かでしたから、先に世間を逆なでするような噂をアップルから上手に流し、実際の発表では、それよりも良い対応を印象づけられるようにリーク情報の操作がなされていたのではって指摘が出たりもしているみたいですよ。もし本当にそうだとすれば、かなり高度なテクニックでもあると思いますけど...
3. iPhone 3GS発売直前に流されたリークの謎毎度毎度の行列までできて盛り上がるiPhoneの新モデルの発売イベントですが、2009年6月のiPhone 3GSの発売前夜に、いきなりWSJなどの大手メディアが、一斉にジョブズが実は休養期間中に肝臓移植を受けていたとのリーク情報を報じ始めたのを覚えておられますでしょうか。いまでこそ臓器提供の登録を呼びかけるジョブズの姿が大きな驚きを誘うこともなく歓迎されたりもしてますが、当時はトップシークレットだったジョブズの健康状態について、アップルがこんな形で明らかにしてきたことに不信感を抱く人も少なくなかったんですよね。
仮にも今後のアップル株価の行く末さえも握っていると言われる企業トップのジョブズの健康状態について、これまでは一切明らかにしようとしなかったばかりか、こんなメディアへのリークという形で知らせてくるだなんてどうよ? そもそも肝臓移植を受けるほどの深刻な病状だったジョブズに、今後どこまで経営などを任せられるのか? もうちょっとアップルは広報を通じて正式に発表を行なっていくべきではないのか?
そんな批判も相次いだようですが、いざ日付が変わるとiPhone 3GSの発売お祭り騒ぎのニュースにかき消されて、ジョブズへの懸念や不安は払しょくされたような形でした。非常に会社としては発表しづらい、でもいつかは公にしないといけない知らせを、絶妙のタイミングでメディア向けにリークしてきたアップル広報の手腕には、まさに舌を巻くしかないなと語っている人も多いみたいですよ~
4. CDMAバージョンのiPhone発売について流されたリークの謎最後に取り上げます事例は、いまだ現時点では真偽のほどが明らかでない噂なんですけど、これまで米国内ではAT&TがiPhoneの独占販売体制を築いてきましたが、いよいよ最大キャリアのベライゾンからもiPhoneが発売されるのではってリーク情報についてですね。同じくWSJ発で流されてきた同ニュースは、そのタイミングが大きなカギを握っているとの指摘が出てきていますよ。
と言いますのも、このリークが広く出回る前くらいから、どうやらiPhoneはAndroidに負けているらしいって報道が伝えられるようになってきていました。このままiPhoneが一国一キャリアの体制でしか提供されないならばマズイのかもしれない...と世間の皆が不安を口にしだした矢先、降って湧いたかのような不安をかき消す内容で、再び大きな期待を起こさせる思わせぶりなニュースが流されるんですよね。えっ、これってアップルの意のままのタイミングで流れてきてない? そんな疑惑の目が向けられたりもしてるみたいです...
いかがでしたでしょうか? もしもこのすべてがアップルによる巧みなメディア操作の例を示しているというのが事実であったとしたならば、アップルの広報戦略のしたたかさは並大抵のものではないのかもしれませんよ。だって、今回はWSJの例ばかりを取り上げてきましたが、他にも上手に思いのままに各大手マスメディアに事前のリークという形で情報を流しつつ、驚きの発表や不利な情勢の打ち消しを演出する世論形成が、ほとんどの人は気づかぬうちに巧みになされているのかもしれないですからね!
このような指摘が本当で、WSJがアップルから提供される一方的なリーク情報を、まるで同社の広報担当でもあるかのように垂れ流ししているというのが事実であるとするならば、これほど滑稽な喜劇あるいは悲劇はないだろう。
一連の疑惑を向けられた当のWSJは、そのすべてを完全に否定するコメントを出してきているみたいですよ。一方、過去にアップルのマーケティングマネージャーを務めたこともあるジョンさんは、事前のリーク情報という手段を駆使して大手メディアをコントロールすることもできないようならば、アップルのような大企業は乗り切れないだなんて意味深なコメントを残したりもしているようですね。
なにはともあれ、2011年もアップルからどんなドカンと驚きの新発表がなされていくのか、やっぱりボクらは期待して心待ちにしてしまいますけどね~
Ryan Tate(米版/湯木進悟)