iPhone 4のRetinaをめぐり百家争鳴! 誇大広告なの?

  • author 福田ミホ
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iPhone 4のRetinaをめぐり百家争鳴! 誇大広告なの?

iPhone 4が人体の限界を超えたと主張するアップル、本当なんでしょうか?

アップルによれば、iPhone 4のRetinaディスプレイは「ピクセル密度がとても高いので、人間の目ではひとつひとつを識別できないほど」なんだそうです。だからRetina(英語で目の「網膜」の意味)っていう名前なんですね!

iPhone 4の3.5インチディスプレイは、携帯電話史上最高の解像度です。78マイクロメートルのピクセルが61万4400個も詰め込まれていて、ピクセル密度は326PPI(Pixels Per Inch)...というのが、アップルによる仕様です。

スティーブ・ジョブズの説明では、「300DPI周辺がマジックナンバーなんだ。目から10~12インチ(25~30cm)くらい離れたところにあるモノを見るとすると、300DPI周辺が人間の目でピクセルを見分けることができる限界」なんだそうです。

が、専門家の間では、iPhone 4のディスプレイは本当に「人間の目ではひとつひとつ(のピクセル)を識別できないほど」なのかどうか、言い過ぎなんじゃないかとして、議論が沸き起こっています。

続きで、専門家のご意見をどうぞ!

スクリーンの研究で知られるDisplayMateの社長、レイモンド・ソネイラ氏が米Gizmodoなどのメディアにメールを送り、その中でRetinaの仕様は誇張されていると主張しています。同氏によれば、目で識別できる限界が何PPIかは、目と対象物の距離によって異なります。そのため、目の解像度を一律にPPIで表すことはできず、角度単位で表すことになります。そして、iPhone 4のピクセル密度326PPIと、目の解像度の限界値の単位を合わせると、iPhone 4が目の解像度を超えているとは必ずしも言えない、というのです。

1.目の解像度は角度の単位で表すことができ、50CPD(Cycles Per Degree、空間周波数の単位)です。これをピクセルあたりに換算すると、目の解像度は1ピクセルあたり0.6分角になります。

2.なので、iPhoneを目から(一般的な距離である)12インチ(約30cm)離した場合を想定すると、目の解像度は477PPIになります。目からの距離が8インチ(約20cm)だと、716PPIです。18インチ(約46cm)離して、やっと318PPIになります。

つまり、iPhoneは目よりもずっと解像度が低いと言えます。目で見て完ぺきに見える画像を表示させるには、実際はもっとずっと高い解像度が必要です。

さらに、氏はこう付け加えます。

目とiPhoneの距離が12インチ(約30cm)の場合、iPhoneと目の解像度を一次元的な比で表すと326PPI対477PPI、つまりiPhoneの解像度は目の68パーセントに過ぎません。さらに、一次元から二次元に変換するために68パーセント(0.68)を二乗すると0.47になります。つまりiPhone 4の解像度は、目から12インチ(約30cm)の距離では、目の解像度の半分以下でしかないことになります。言い換えると、iPhoneのディスプレイが目の解像度を超えるには、現在の仕様である0.6メガピクセルではなく、1.3メガピクセルが必要になります。

ちょっと専門的ですが、要はソネイラ氏の計算では、iPhone 4の解像度は、目の解像度の半分程度でしかない、ということです。

一方、KyberVisionの社長、ウィリアム・H・A・ボード氏は、Loopでソネイラ氏に反論し、「アップルの主張は単なるマーケティング的な誇張ではなく、視力1.0での解像度に基づいており、正確だとしています。こちらがその発言です。

視力1.0の場合、通常は1分角(60分の1度)離れた二つの点を識別できます。1分角の視角は1フィート(12インチ、約30cm)の距離からだと、89マイクロメートルの点または286.5DPIのピクセル密度に対応します。「Retina」ディスプレイのピクセル密度はは326DPI(286.5DPIより14パーセント高い値)なので、アップルの主張に異議を唱えるのは正しくないし、間違いだと言えるでしょう。

このディスプレイは、18インチ(約46cm)の距離から見た場合に網膜に対し最高50CPDの空間周波数で入力できるので、ナイキスト-シャノンのサンプリング定理に従えば、網膜の解像度とほぼ合致します。

また、Popular Mechanicsではロチェスター大学Center for Visual Scienceのイーサン・ロッシ氏の主張を掲載しています。氏は、iPhone 4は、目からの距離が16インチ(約41cm)または12インチ(約30cm)の場合は、「視力1.0の解像度を超えている」としています。が、距離が3インチ(約7.6cm)になれば、ピクセルが識別できてしまうといいます。ロッシ氏は「25cm(10インチ)で、1ピクセルが1分角、つまり視力1.0の人が見分けられる大きさに達します」と述べています。

うーん。全員の意見が一致するのは、Phone 4が、アップルの主張通りなのかどうかは、どれくらい離して見るかによって違うということです。離す距離がどれくらいだと識別できないか、ってことでそれぞれ見解が違いますが、46cm以上ではピクセル識別できないってことで一致しましたね。

目から46cm以上離す...って、あと一歩で老眼のお父さんって感じもしますが、細かいことはとにかく、皆さんの心地良い距離で、スマートフォン史上最高の解像度を楽しめればいいんじゃないでしょうか。

[The Loop, Gadget Lab, Popular Mechanics]

matt buchanan(原文/miho)