火星の有人探査が叫ばれてから久しいですけど、やっぱり地球から火星って遠いんですよね。月面着陸くらいだと、地球からも近いんでしょうが、ロケットに乗って火星を目指すには、まぁ片道で半年は余裕でかかっちゃいますから。
これが現時点での一般的な認識なんですけど、この常識を打ち破る大発明が実現しようとしていますよ。2000〜3000発もの原子力爆弾で超巨大な宇宙船を打ち上げる「オリオン計画」は夢幻と消え去ってしまいましたが、今回の火星への超スピード旅行プロジェクトは、かなり本気のようであります。
ではでは、続きにて、夢の火星旅行実現へと大きく近づく新開発ロケットエンジンの詳細をチェックしてみてくださいませ。
元スペースシャトルの乗組員らが中心となって立ち上げたAd Astra Rocketが開発中の「VASIMR」イオン推進エンジンは、これまで6カ月はかかるといわれていた地球から火星に到達するまでの所要日数を、一気に39日以内にまで短縮しちゃうそうです! 打ち上げロケットで地球から宇宙空間に送り出されたところで、原子力爆弾級の推進力による運航へと切り替えることで、大幅に火星までの移動時間がカットされ、かつてなき高速飛行ロケットの誕生が実現するんだとか。
「現在の一般的なロケットエンジンをベースにして、火星の有人探査計画の構想を練り上げようとしますと、長期間に渡って、危険な宇宙放射線などにさらされることになり、人体に及ぶ有害な影響などを考えてみましても、現実的なレベルで実現は望めないでしょう。でも、もし本当にVASIMRのイオン推進エンジンの実用化に成功するならば、話は大きく変わってきます。人類が火星に降り立つ日が、限りなく近づくことになるでしょうね」
そうテネシー大学宇宙科学研究所のジョン・ムラトーレ博士も絶賛している新開発のVASIMRエンジン...。理論的には、かなり実現可能なレベルにまで近づいてるんですけど、現在は、どのように莫大な推進力を誇る核エネルギーを、安全にVASIMRエンジンとしてロケットに搭載するかという難関を突破するべく、日々の研究開発が続いているとのことですよ。
ちょっと長い目のバケーション感覚で地球から火星へと向かうなんて、まだまだ遠い未来の話にしか思えませんけど、意外と想像してたよりも早く実現しちゃったりするのかもしれませんね。まずは今から宇宙旅行への備えなんかも万全にしておきませう...
[New Scientist via io9]
Adam Frucci(原文/湯木進悟)