遊民経済学を語っていくと、どこかで大真面目にこの問題と向き合わなければならない。ギャンブルのことである。
「ギャンブルは遊びの一種か」
「ギャンブルは経済行為の一部か否か」
「紳士の嗜みか、公序良俗を害するものか」
社会学の領域において、「遊び」をテーマにした古典的名著が2つある。ヨハン・ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』と、ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』である。前者はギャンブルをほとんど無視し、後者は遊戯の1分野として分析した。
すなわち、オランダの歴史学者たるホイジンガは、「文明とは遊ぶこと也」と喝破したのであるが、遊戯というものは本来、物質的な利益を求めるのものではない。従ってギャンブルは偽りの遊戯であり、文化の発展には貢献しないと切り捨てた。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン