アクセスFSA 第255号
Contents
加藤内閣府特命担当大臣(金融)就任インタビュー
石破内閣発足に伴い、本年10月1日に就任した加藤勝信内閣府特命担当大臣(金融)に、意気込みや日頃の活動等について伺いました。
―はじめに、金融担当大臣に就任され、その意気込みについてお聞かせください。
国民生活を支える大事な柱の一つが金融システムであり、その金融システムの安定・信頼の確保が大変重要であると思っています。そのため、まず第一に、金融機関における財務の健全性や、適切な業務運営がなされているか、また第二に、社会が変化する中で、多様なニーズに応えるべく質の高い金融機能の提供がなされているか、さらに第三として、現代のICTやネット社会におけるサイバーリスクや金融犯罪といった問題への対応、こうしたことにしっかりと対応していきたいと考えています。
また、石破内閣が岸田内閣から継承している「資産運用立国」の政策をしっかりと進め、さらにこれを発展させてまいります。さらに「投資立国」の実現という課題も掲げられ、地方への投資を含め、内外からの投資を引き出し、産業に思い切った投資が行われることで国の経済成長をより引き起こしていく、そうした役割も求められています。このように幅広い金融の分野を、行政の面から支えているのがまさに金融庁の仕事であり、そうした任務、責任をそれぞれ職員の皆さんがしっかりと自覚をしながら、誇りをもって働けるように、私自身もしっかりと取り組ませていただきたいと思います。
―国会議員を目指すこととなったきっかけや、政治家として目指すものについてお聞かせください。
原点は、次の時代を見据えながらどのような社会、日本を作っていくか、積極的に活動していきたいという思い
私は大学卒業後、当時の大蔵省、今の財務省に入省しました。国家公務員を志望したのは、国のために直接仕事をしていきたいと思ったからです。もちろん、民間企業で活躍することも、国家や社会のためになることは当然ですが、国家公務員としてストレートに国に関わる仕事をしていきたいと考えておりました。
大蔵省で働いていく中で、国の運営そのものに何らかの形で関わり、また責任を持つ仕事をしていきたいと考えるようになり、入省17年目で辞職し、国会議員の道を目指しました。特にこの間は、高度経済成長時代から低成長、さらにゼロ成長に近いデフレ局面と、時代が大きく変わり、そうした社会変革の中で、次の時代を見据えながらどのような社会、日本を作っていくか、積極的に活動していきたい。そうした思いが、政治家になった私の原点であります。
次の時代を作る「きっかけ」「流れ」を起動させる政治家でありたい
政治家として目指すものについてですが、次の時代を作る「流れ」を起動するような仕事をしていきたいと考えています。政治家が次の時代そのものを作れる訳ではなく、そうしたきっかけや環境を作っていくのが、我々政治家の仕事だと思っています。
―国会議員としてこれまで取り組んでこられた中で、印象深い出来事は何でしょうか
厚生労働大臣時代のコロナ対応、前代未聞の状況下で難しい決断を迫られる日々
一番印象深いのは、やはり厚生労働大臣時代の新型コロナ感染症への対応です。厚生労働大臣は3回務めさせていただきましたが、ちょうど2回目の折り返し地点で、令和2年が明けたところでコロナの感染が日本国内でも拡がり始めました。未知のウイルスに対し、我々はどう対応していけばいいのか。感染拡大を抑えることも必要な一方で、社会活動を止めてしまっては私たちは生活していくことができません。日本には、そうした緊急時の対応、例えばその当時の海外のように、制度として外に出ることを禁じてしまうといった強制的な手段がありませんでしたので、そういった中で、どのように国民の皆さんの理解を得ながら、感染拡大防止等を進めていくのか、大変悩ましい決断を迫られました。それがどうあるべきなのかというのは、今でも自問しているところです。
また、ワクチン接種についても、短期間にどれだけ多くの国民の皆さんに接種いただくか、また接種できる体制を作っていくのかといった課題も抱えました。前代未聞の状況下におけるこうした任務で、これまでにない経験をさせていただいたなというように思っております。
写真:インタビューの様子 |
―効果的な情報発信、日頃の活動について、留意されている点や工夫されている点があればお聞かせください。
動画の閲覧者が名付け、その後広まっていった「#かつのぶフレーム」
政治家として、色々な発信をしていく必要があるわけですが、当時Twitterがスタートした最初の頃は、テキストによる投稿が主でした。ところが動画が効果的ということを聞き、さらに娘から自分で撮るのが良いとの示唆を受けまして、自分なりに撮影し投稿していました。するとその画角が決して一般的ではなかったようで、動画を見ていた方が「#かつのぶフレーム」と名前を付けてくれたんです。最初からこちらで「#かつのぶフレーム」と銘打った訳ではないのですが、その後色々な形で取り上げていただき、予期せぬ形で広まっていきました。
動画では、自撮り以外にも、普段の様子や、一般の方からいただいた様々な質問に答えるといった企画など、色々なことをさせていただいています。おかげさまで結構沢山の方に見ていただいているようで、「見ています」といった声も耳にし、大変ありがたく思っています。
娘のアドバイスを取り入れ、若い世代からもよく見られるようになったSNS
動画を投稿するようになり、年配の方の他にも、若い世代の方々によく見ていただけるようになりました。動画中、撮影する娘から指摘を受けながら進めるといったシーンもよくありますが、その世代の感覚に合わせた方が良いだろうということで、娘のアドバイスにはいつも従っています。
ちなみに「#かつのぶフレーム」は、これを撮ってと指示されている訳ではなく、私自身が今日はこれを撮ろうと決めて撮っています。ただ、時々娘からダメ出しを受けたり、ボツになることもありますが(笑)。
以前の投稿で、国会議事堂の敷地内で自撮りの動画を撮ったところ、後ろに木があり、私の髪と木が重なってアフロヘアのようになったものがありました。それが注目されるなど、意図していない形でも取り上げていただくこともあり、なかなか興味深いです。
|
|
(出典)加藤大臣公式Xアカウント(@KatsunobuKato1)
―休日の過ごし方やリフレッシュの方法があれば教えてください。
議員会館11階の部屋まで、階段で上り運動不足を解消
あまり休日というものはありませんが、土日は地元に行ったり、色々なところからお誘いがあり赴いたりしています。運動不足になりがちなので、少し時間があれば、散歩をしたりしています。日頃もエレベーター、エスカレーターは使わず、歩くことを心がけており、議員会館の部屋が11階なのですが、そこまで階段を使って上ることもあります。最近少し疎かになっていますが、結構いい運動になります。
また普段生活していてそれほどストレスを感じるということもないので、意識的に休む、リフレッシュをするということはあまりないかもしれませんが、時々、家で簡単な食事を作ったりしています。難しいものは作れませんが、この前は野菜炒めを作りました。ちゃんと皿洗いまでしますよ。洗う手順も考えて、乾きやすいようきっちりと並べるのが拘りです(笑)。アイロンがけも出張先では自分でしていますが、折り目をピシっとするのは精神統一にもなって気持ちいいですね。
動画:NISAについて加藤大臣からのメッセージ
※アクセスFSA HTML版のみ掲載
(出典)加藤大臣公式Instagram(@katsunobu_kato)
(インタビュアー:広報室長 本田 幸一)
新副大臣・新政務官の就任について
本年11月11日、第2次石破内閣が発足し、金融担当大臣として加藤 勝信大臣が再任となりました。また、11月13日の臨時閣議において、副大臣及び大臣政務官が決定し、金融担当として瀬戸 隆一(せと たかかず)内閣府副大臣、西野 太亮(にしの だいすけ)内閣府大臣政務官が就任しました。
11月14日、瀬戸内閣府副大臣及び西野内閣府大臣政務官は、金融庁に初登庁し、金融庁職員に対し訓示行いました。また、井林 辰憲前内閣府副大臣、神田 潤一前内閣府大臣政務官が署名した引継ぎ書に、それぞれ引継ぎの署名を行いました。
写真:瀬戸副大臣の訓示の模様 |
写真:西野政務官の訓示の模様 |
写真:瀬戸副大臣初登庁の模様 |
写真:西野政務官初登庁の模様 |
財務局長会議
~神田前内閣府大臣政務官の挨拶~
本年11月6日、今事務年度2回目の財務局長会議 において、神田前内閣府大臣政務官(金融担当)は、参加者に向け挨拶をいたしました。
写真:挨拶する神田前内閣府大臣政務官 |
神田前内閣府大臣政務官 挨拶概要
各地で発生した台風や大雨による一連の災害で被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、その対応に従事される財務局の皆様に改めて敬意を表したい。
事業者に対する支援と事業性融資について、厳しい経営環境に直面する中、地域金融機関においては、本年6月の事業性融資推進法の成立を契機に、融資のあり方について一層の検討を行い、事業者の持続的な成長を促すとともに、自らの収益基盤を強化していくことが望まれる。財務局においても、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対し、金融仲介機能の十二分な発揮を促していただきたい。
サステナブルファイナンスの推進について、新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な経済・社会を実現するための資金等を提供するサステナブルファイナンスの重要性が高まっている。金融庁では、「サステナブルファイナンス有識者会議」が中心となって議論を行っており、本年7月に公表した報告書では、一定の投資収益の確保を図りながら、社会的、環境的な効果の実現を目指す、「インパクト投資」を中核的な論点の一つとして取り上げている。同手法の確立・浸透を図るため、官民の幅広い関係者が参画する「インパクトコンソーシアム」を立ち上げ、機運醸成・裾野拡大に向けた議論を進めており、地域金融機関における積極的な関与も期待される。また、本年8月には、「気候関連リスクモニタリング室」を新設し、金融機関における気候関連リスク管理への取組状況や、顧客企業の気候関連リスク対応支援の状況等を、より体系的に把握するための体制を整備した。サステナブルファイナンスに関する地域金融機関等の取組推進に向けた深度ある対話を進める上で、財務局にも協力をお願いしたい。
サイバーセキュリティについて、サイバーリスクは、技術の発展や地政学リスクの高まりなどとともに日々高まってきており、金融機関においてはサイバーセキュリティを不断に改善していく必要がある。金融庁では本年10月、各金融業態向けの監督指針などを改正するとともに、新たに「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」を策定し、金融機関に求められる対応を明確化した。また、同月には金融機関170先が参加する形で、Delta Wall Ⅸを実施し、システム停止時等の対応を確認した。
写真:財務局長会議の模様 |
財務局長会議では、政務官からの挨拶のほか、財務局長と金融庁幹部が、金融行政の当面の課題や金融庁の取組み等について意見交換を行いました。こうした課題等について、財務局長と認識を共有するとともに、引き続き金融庁・財務局が一体となって取り組んでいくことを確認しました。
写真:財務局長会議の模様 |
グローバル金融連携センター(GLOPAC)第24期研究員の研修実施について
グローバル金融連携センター(GLOPAC)は、前身であるアジア金融連携センター(AFPAC)の設立以来、今年で10周年を迎えました。この間、金融インフラ整備等支援及び海外金融当局との協力関係強化を目的として、新興国等の金融当局職員を研究員として日本に招聘し※1、研修プログラムの提供を行ってきましたが、この10周年の節目を機に、従来型の講義提供に加え、政策対話プラットフォームへの転換を構想しています。
今般、その初めての試みとして、本年11月6日から同月19日の日程で、第24期研究員としてASEAN銀行・証券当局のミドルクラス担当者13名を招聘し※2、ASEAN金融当局が参画する「アジアGXコンソーシアム」での連携の促進も念頭に、トランジション・ファイナンスに係る政策アプローチについて、政策対話を意識したプログラムを実施しました。
外部施設訪問や日本文化体験のプログラムなどもあり、研究員はいずれも積極的に取り組んでいました。
金融庁としては、このような取組みを通じて、今後もアジア諸国等の金融当局との政策対話の活発化・連携強化に努めていきます。
写真:第24期研究員(前列6名及び後列中央7名)と井藤金融庁長官(前列中央) 及び当庁スタッフとの記念撮影 |
写真:当庁職員による講義の模様 |
写真:JPXへのスタディ・ビジットの模様 |
写真:日本文化を通じ交流を図る模様 |
- GLOPAC特設ウェブサイト:
https://www.fsa.go.jp/en/glopac/index.html
- 研修アーカイブはこちら:
https://www.fsa.go.jp/en/glopac/news/index.html
※1 GLOPACでは、アジア金融連携センター(AFPAC:平成26年4月設立、平成28年4月にGLOPACに改組)時の取組も含めて、第1期から第24期までの24回の研修プログラム等を海外金融当局職員向けに実施し、研究員等としてこれまで合計220名を受け入れています。
※2 今回の招聘先:マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボシア、ラオス
金融庁ウェブサイトの偽サイトにご注意!
金融庁公式ウェブサイトや、つみたてNISA特設ウェブサイトになりすました、偽サイトの存在が確認されています。
実際のウェブサイトと同じ内容を、偽URL上に表示し、アクセスした先で個人情報を窃取するなど、悪質なケースも見られます。
偽サイトにアクセスすることで、コンピューターウイルスに感染する等の被害にあうおそれもありますので、くれぐれもご注意ください。
金融庁ウェブサイトの正しいURLは「https://www.fsa.go.jp/」です。アクセスする前に、表示されるリンクにポインタを置く、アドレス欄をよく見るなど、URLのドメイン名を必ず確認ください。
- SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口の設置(10月1日)
- 第2回アジア・ハイレベル金融規制当局者フォーラムの開催(10月2日)
- 「アジアGXコンソーシアム」の設立(10月2日)
- 高速取引行為の動向(令和6年1月~6月)の公表(10月2日)
- カンボジア ノンバンク金融サービス庁との協力枠組みに係る書簡交換(EOL)(10月3日)
- 金融機関等のAIの活用実態等に関するアンケート調査の実施(10月3日)
- 日米金融サービスラウンドテーブルの開催(10月4日)
- 「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)及び「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表(10月4日)
- 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習 (Delta Wall Ⅸ)」の実施(10月9~21日)
- 多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会(第22回)の開催(10月9日)
- 金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第4回)の開催(10月10日)
- 第21回「金融庁・日本銀行連絡会」の開催(10月11日)
- 金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の開催(第2回:10月16日、 第3回:10月30日)
- 金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」の開催(第2回:10月17日、第3回:10月24日)
- 「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」に対するパブリックコメントの結果等の公表(10月17日)
- 免許を有しない外国保険業者の保険契約勧誘についての注意喚起(10月17日)
- 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第25回)の開催(10月18日)
- 「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会」(第3回)の開催(10月18日)
- 「スチュワードシップ・コードに関する有識者会議」(令和6年度第1回)の開催(10月18日)
- 「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」の改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表(10月25日)
- 「暗号資産交換業者に関する内閣府令第二十五条第七項の規定に基づき、金融庁長官の指定する規則を定める件」等の一部改正の公表(10月25日)
- 認定資金決済事業者協会の認定(10月25日)
- 令和5年情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部改正に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等の公表(10月30日)
- 令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等の公表(10月30日)
- 「日EU合同金融規制フォーラム」第5回会合の開催(10月30日、31日)
金融庁では、当庁施策の紹介や説明を含め、その活動状況等について、各種刊行物等への執筆を行っており、金融研究センターのウェブサイト上で公表しています。本稿でもその一部について掲載いたします。
~最近掲載された寄稿等のご紹介~
(季刊事業再生と債権管理 秋号・No.186)
金融庁総合政策局総務課国際室 課長補佐 川橋 天地
(週刊金融財政事情 10月15日号掲載)
(週刊金融財政事情 10月29日号掲載)
金融庁総合政策局総務課国際室 課長補佐 冨田 絢子
(週刊金融財政事情 11月5日号掲載)
今月は、加藤大臣へのインタビューをはじめ、新政務三役のご紹介を掲載しました。インタビューでは、本編でもご紹介した「#かつのぶフレーム」での写真や動画の撮影をお願いし、快く応じていただきました。「#かつのぶフレーム」は、自分で真似てみようとしてもうまくいかず、手首の角度なのか、目線なのか、今も謎のままになっています。また、普段の生活では、皿洗いでも洗う手順から並べるところまできっちりとされ、アイロンがけも折り目をきれいにピシっとされると伺い、とても几帳面な方という印象を受けました。 今後も、アクセスFSAでは、政務三役の公務の模様などを積極的に取り上げてまいります。 |
写真:加藤大臣と広報室員 |
話題は変わりますが、最近、金融庁のウェブサイト(https://www.fsa.go.jp/index.html)を全体的に見るようにしています。広報室の業務を通じて記者の方々と会話をする機会が増えましたが、その中で、ウェブサイトについても話題にし、ちょっとしたことでもいいのでと言いつつ、ご意見を伺いました。 すると、あるページから、それに関連するページの情報にたどり着きづらいというコメントを頂きました。左の写真はそれを受けた一例ですが、今どのページにいるかを示すナビの機能(パンくずと言うそうです)が、スマホでは表示されていないことに気づき、表示するように設定を変更しました。①利用する方にとって使いやすく、たどり着きたい情報にたどり着きやすくする、②表記も含めて正確なものとする、ことを基本に、今後も継続的に取り組みたいと思います。 金融庁広報室長 本田 幸一 編集・発行:金融庁広報室 |