ちょっと小腹が空いたとき、木枯らしで気が滅入りそうな帰り道、朝まで飲んだ日のモーニング(?)に……。あらゆるシチュエーションで人々の願望を満たしてくれるのが「立ち食いそば屋」だ。
街頭で目にする「名代 富士そば」や「吉そば」、駅そばチェーンの「相州そば」「箱根そば」「住よし」「田舎そば」、そして地域密着型の店舗まで、立ち食いそば屋と一口に言っても、その業態や味はさまざまだ。
しかしお恥ずかしながら、人生で数回しか立ち食いそば屋を利用したことがない筆者は未だ立ち食いそばの魅力を掴みきれていない。これは関東人として、いや日本人して許されざる事実なのではないか……? 食べログ高ポイントの洒落たそば屋に出向いたり、「蕎麦は“たぐる”って言うんだよ〜」とドヤったりする暇があるのなら、まずは立ち食いそばがなんたるかを知るべきではないのか!?
そう思い立ったが吉日、2015年最初の初体験として「“立ち食いそば通”っぽいメニュー」を食べてみることを心に決めた次第だ。
そこで今回は、立ち食いそばに魅了された男達、自称「立ち食いそば上級者」の3名を召喚し、ありがたいお話を伺うことに。彼らは全国の立ち食いそばを食べ歩き、立ち食いそば屋を見つけると体が店に吸い込まれていくという猛者だが、普段、一体どんなメニューを注文するのだろうか。
驚くべきことに、皆口を揃えてあるメニューを挙げている。それが「コロッケそば」。「コロッケそば」……? 食べたことがない。ということでこの際、筆者も「コロッケそば」デビューしてみようではないか! 胸を躍らせ、なぜこうも皆がコロッケそばへの愛を語るのか? その魅力について語ってもらうことに。
■「コロッケそば」ってなに?
立ち食いそばに造詣が深い人々には、今さら語るまでもないかもしれないが「コロッケそば」とは、その名のとおり通常のかけそばの上にコロッケをトッピングした(だけ)、という至ってシンプルな代物だ!
その発祥には諸説あるようだが、明治時代に銀座の「そば所 よし田」の初代女将が考案したという説が有力の模様。「よし田」の「コロッケ」は、鶏肉・卵・山芋を揚げたものだったというから、現在のコロッケそばとは別ものと言えそうだ。でも、これはこれで絶対美味しいわ……。
さて、その後昭和50年代以降、小田急沿線にある「箱根そば」のメニューとして話題をよび、現在のコロッケそばが東日本に広がったという(出典:駅そばWiki)。そんな「箱根そば」のコロッケは、カレー風味の味付けが特徴だ。
■ネット上でも愛されているコロッケそば
「立ち食いそば上級者」の1人目、コロッケそばを愛する竹岡さん(33歳男性/SE)によれば、「ネットではすでに数年前からコロッケそばに関するさまざまな議論が飛び交い、ファンたちがその魅力について語り合ってきたという経緯があるんですよ。例えばコロッケそば賛成論と反対論、どこのそば屋のコロッケそばが一番サクサクか、その起源は? など、いろいろな角度から愛が語られていますね」とのこと。
たしかに調べてみると、ネット上ではすでに多くの「コロッケそば」論争が行われているようだ。「駅そばWiki」なども存在し、そば好きのバイブルとなっている(のかもしれない)。とくに賛成派と反対派の対立では、「立ち食いそば」への熱い思いゆえに、両者の意見がぶつかり合い火花を散らしている模様。
■意外とそばに合う! コロッケの魅力
コロッケそばを愛する「立ち食いそば上級者」2人目は、毎日仕事の隙間時間に立ち食いそば屋で小腹を満たしているという市原さん(33歳男性/美容師)だ。市原さんいわく「コロッケそば反対派は、まだ立ち食いそばの頂(いただき)に到達していないと思います。初心者はすぐ“天ぷらそば”とかを食べるんですよね(笑)。すべてのメニューを食べつくしたら、必ずそば好きはB級代表のコロッケそばに回帰しますよ」とのこと。
市原さんと同じ意見だという坂本さん(41歳男性/IT系)は、そばとコロッケという異色のコラボレーションの魅力を熱弁してくれた。
また、立ち食いそば・うどんの店「車」(山手線・目白駅)さんによれば、コロッケはキャンペーンのトッピングの中でも一番人気だそうだ。「肉(うどん・そば)にプラス1の週替わりでトッピングをつけるキャンペーンをやっています。卵、たぬき、きつね、ワカメ、コロッケというラインナップですが、一番人気は肉とコロッケの組み合わせ。多分ボリューム感があるから人気なのでしょう」
ということで、立ち食いそば屋に向かいコロッケそばを食べてみることに。今回いただいたのは、お話をうかがった「車」さん(目白駅)のコロッケそば、そしてコロッケそばのおいしい店としてネットで話題の「箱根そば」(田町駅)のコロッケそばだ。
■コロッケそば350円@車
まずは「車」さんのコロッケそば。人生初の記念すべきコロッケそばは、予想以上にさっぱりとした印象。
■コロッケそば390円@箱根そば田町店
こちらは、ネットでもコロッケがサクサク、そしてカレー風味が美味しいと話題の箱根そば。わかめがトッピングされているのが特徴。箱根そばのコロッケはカレー味のお芋オンリー、というシンプルなコロッケだが、これが甘めのそばと非常によく合っている。食べ終わる頃には、カレーそばを食べているような錯覚に!
たしかにコロッケそばは腹持ちもよく、意外にも天ぷらそばより脂っこさがなく美味しかった。毎日食べるものではないが、突如無性に食べたくなる一品かもしれない。ということで、立ち食いそば上級者が愛してやまない「コロッケそば」は、良くも悪くも“偉大なB級グルメ”でした!
(はなふささん)
江戸の屋台がその起源だという立ち食いそばは、いわば関東人のソウルフードといっていい。
街頭で目にする「名代 富士そば」や「吉そば」、駅そばチェーンの「相州そば」「箱根そば」「住よし」「田舎そば」、そして地域密着型の店舗まで、立ち食いそば屋と一口に言っても、その業態や味はさまざまだ。
しかしお恥ずかしながら、人生で数回しか立ち食いそば屋を利用したことがない筆者は未だ立ち食いそばの魅力を掴みきれていない。これは関東人として、いや日本人して許されざる事実なのではないか……? 食べログ高ポイントの洒落たそば屋に出向いたり、「蕎麦は“たぐる”って言うんだよ〜」とドヤったりする暇があるのなら、まずは立ち食いそばがなんたるかを知るべきではないのか!?
そう思い立ったが吉日、2015年最初の初体験として「“立ち食いそば通”っぽいメニュー」を食べてみることを心に決めた次第だ。
【自称「立ち食いそば上級者」さんたちを召喚してみた】
そこで今回は、立ち食いそばに魅了された男達、自称「立ち食いそば上級者」の3名を召喚し、ありがたいお話を伺うことに。彼らは全国の立ち食いそばを食べ歩き、立ち食いそば屋を見つけると体が店に吸い込まれていくという猛者だが、普段、一体どんなメニューを注文するのだろうか。
驚くべきことに、皆口を揃えてあるメニューを挙げている。それが「コロッケそば」。「コロッケそば」……? 食べたことがない。ということでこの際、筆者も「コロッケそば」デビューしてみようではないか! 胸を躍らせ、なぜこうも皆がコロッケそばへの愛を語るのか? その魅力について語ってもらうことに。
■「コロッケそば」ってなに?
立ち食いそばに造詣が深い人々には、今さら語るまでもないかもしれないが「コロッケそば」とは、その名のとおり通常のかけそばの上にコロッケをトッピングした(だけ)、という至ってシンプルな代物だ!
その発祥には諸説あるようだが、明治時代に銀座の「そば所 よし田」の初代女将が考案したという説が有力の模様。「よし田」の「コロッケ」は、鶏肉・卵・山芋を揚げたものだったというから、現在のコロッケそばとは別ものと言えそうだ。でも、これはこれで絶対美味しいわ……。
さて、その後昭和50年代以降、小田急沿線にある「箱根そば」のメニューとして話題をよび、現在のコロッケそばが東日本に広がったという(出典:駅そばWiki)。そんな「箱根そば」のコロッケは、カレー風味の味付けが特徴だ。
■ネット上でも愛されているコロッケそば
「立ち食いそば上級者」の1人目、コロッケそばを愛する竹岡さん(33歳男性/SE)によれば、「ネットではすでに数年前からコロッケそばに関するさまざまな議論が飛び交い、ファンたちがその魅力について語り合ってきたという経緯があるんですよ。例えばコロッケそば賛成論と反対論、どこのそば屋のコロッケそばが一番サクサクか、その起源は? など、いろいろな角度から愛が語られていますね」とのこと。
たしかに調べてみると、ネット上ではすでに多くの「コロッケそば」論争が行われているようだ。「駅そばWiki」なども存在し、そば好きのバイブルとなっている(のかもしれない)。とくに賛成派と反対派の対立では、「立ち食いそば」への熱い思いゆえに、両者の意見がぶつかり合い火花を散らしている模様。
■意外とそばに合う! コロッケの魅力
コロッケそばを愛する「立ち食いそば上級者」2人目は、毎日仕事の隙間時間に立ち食いそば屋で小腹を満たしているという市原さん(33歳男性/美容師)だ。市原さんいわく「コロッケそば反対派は、まだ立ち食いそばの頂(いただき)に到達していないと思います。初心者はすぐ“天ぷらそば”とかを食べるんですよね(笑)。すべてのメニューを食べつくしたら、必ずそば好きはB級代表のコロッケそばに回帰しますよ」とのこと。
市原さんと同じ意見だという坂本さん(41歳男性/IT系)は、そばとコロッケという異色のコラボレーションの魅力を熱弁してくれた。
「コロッケそばは衣の油がつゆに染み出してコクが出るところと、グダグダになったコロッケがたまらないですよ。合わない、邪道だ、とかいう人もいますけどね、たぬきそばやきつねそば、天ぷらそばも結局“天かす”とか“油揚げ”、“天ぷら”とかで、汁にコクを出して満足感を与えるわけでしょう。同じですよね。コロッケって、実は天ぷらよりも脂っこくないんです。意外にさっぱりしている」(市原さん)。
また、立ち食いそば・うどんの店「車」(山手線・目白駅)さんによれば、コロッケはキャンペーンのトッピングの中でも一番人気だそうだ。「肉(うどん・そば)にプラス1の週替わりでトッピングをつけるキャンペーンをやっています。卵、たぬき、きつね、ワカメ、コロッケというラインナップですが、一番人気は肉とコロッケの組み合わせ。多分ボリューム感があるから人気なのでしょう」
【コロッケそば、実際に食べてみた!】
ということで、立ち食いそば屋に向かいコロッケそばを食べてみることに。今回いただいたのは、お話をうかがった「車」さん(目白駅)のコロッケそば、そしてコロッケそばのおいしい店としてネットで話題の「箱根そば」(田町駅)のコロッケそばだ。
■コロッケそば350円@車
コロッケそば350円@車
まずは「車」さんのコロッケそば。人生初の記念すべきコロッケそばは、予想以上にさっぱりとした印象。
麺つゆと麺もおいしく、たっぷりネギが乗っているのも特徴的。コロッケにはグリーンピース、にんじん、コーンなどのミックスベジタブルがアクセントとなっている。たしかに、ボリュームたっぷりの一品だ。
■コロッケそば390円@箱根そば田町店
コロッケそば390円@箱根そば田町店
こちらは、ネットでもコロッケがサクサク、そしてカレー風味が美味しいと話題の箱根そば。わかめがトッピングされているのが特徴。箱根そばのコロッケはカレー味のお芋オンリー、というシンプルなコロッケだが、これが甘めのそばと非常によく合っている。食べ終わる頃には、カレーそばを食べているような錯覚に!
たしかにコロッケそばは腹持ちもよく、意外にも天ぷらそばより脂っこさがなく美味しかった。毎日食べるものではないが、突如無性に食べたくなる一品かもしれない。ということで、立ち食いそば上級者が愛してやまない「コロッケそば」は、良くも悪くも“偉大なB級グルメ”でした!
(はなふささん)
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