人気ラーメンチェーンの裏メニューを食べた

 京都発祥のラーメンチェーン「天下一品」は、全国のほとんど全県に店舗網を拡げる人気店だ。看板メニューの「こってりラーメン」は、鶏をベースにさまざまな野菜が入っている。つまりヘルシーなのに、とても濃度がある独特なスープで、リピーターが絶えない味である。

 その「こってりラーメン」の濃度を、さらにアップした「超こってり」という裏メニューの存在は、天下一品ファンの間でまことしやかにささやかれている、都市伝説のひとつだった。

 ……否。「超こってり」は実在していたのである。

 食べられるは、東京の水道橋西口店。東京ドームのある駅のドームとは反対側にあたる。メニューにはまったく「超こってり」の文字はない。おそるおそる店員さんに注文すると「はい、できますよ~!」と、あっけなくOK!

 味は、通常の「こってり」が、文字通り濃厚になっている。色も茶色が濃い。元々の「こってり」ラーメンが好きな人にとっては、たまらない味だろう。

 この「超こってり」と「こってり」は、どうちがうのか。

 マニュアル的なものが存在するのかを確かめるべく、天下一品のフランチャイズ店を束ねる(株)天一食品商事へ電話をした。すると、意外なことにおどろいた様子で、「超こってりってナンですか!?」と逆に質問されてしまった。

数分後、チェーン店各店舗のまわるスーパーバイザーの出路さんから回答があった。

 「じつは私も本日にいたるまで超こってりの存在は知りませんでした。ですが、先ほど水道橋西口店に確認できました。超こってりは、裏メニューというか、常連さまなどへのサービスとして、ご提供させていただいております」

 まず通常のこってりと同じ値段(水道橋西口店は650円)なのに濃厚である秘密をきいた。

 「そもそも弊社のこってりラーメンのスープには多くの秘密があり、詳しくは申し上げられないのですが、超こってりのスープは、基本的には通常のこってりラーメンを別鍋で煮込んで濃度をアップさせています。色が濃いのもそのためです」

 なるほど。なにかを加えているのではないようだ。それにしても、なぜ水道橋西口店だけにこの裏メニューは存在しているのだろうか。

 「そもそも、この『超こってり』は、弊社が創業間もないころの味を再現したものです。弊社のこってりラーメンは、店舗数の増大にともなって、万人からご支持をいただこうと味を変えており、濃度も軽くなっています。水道橋西口店の店長は元京都本店の従業員なもので、より濃厚だった時代のこってりラーメンを知っていることから、ながく天下一品を愛してくださっている方へのサービスとして販売しているのです」

 裏メニューには、裏エピソードあり、というところか。ちなみに私がこの情報を得た人物によると、「超こってり」を出してくれる店は、全国に3店舗あるらしい……!?