経済指標の要点(11/19~12/19 発表統計分)

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2011年12月20日

  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆企業関連の指標は、企業活動の足踏み状態が続くことを見通せる内容であった。鉱工業生産が2ヶ月ぶりに前月比プラスとなり、堅調な結果を見せた反面で輸出が3ヶ月ぶりに前年比でマイナスとなった。機械受注は2ヶ月連続で前月比マイナスとなっており、法人企業統計からも企業が設備投資に慎重になっていることがうかがえる。先行きは、海外経済の減速が与える影響と、復興需要の本格化の時期に左右されることになるだろう。

◆家計関連の指標は、雇用・所得・消費環境が引き続き足踏み状態にあることを示す内容であった。消費は8ヶ月連続で前年比マイナスとなったが、減少幅は縮小した。失業率は前月までの回復から見れば悪化したが、均して見れば緩慢ながら改善傾向であると言えよう。先行きは、企業業績の悪化などを通して、家計関連指標は足踏み状態が続くとみられる。

◆企業や消費者のマインドを示す指標は、総じて悪化した。日銀短観の業況判断DIでは大企業・製造業で▲4%ptと大幅に悪化し、景気ウォッチャー指数は現状判断DIが前月差▲0.9ptと2ヶ月ぶりの低下となった。先行きも改善はほとんど見込まれておらず、海外経済の減速や急速な円高、電力不足問題などのリスクが強く意識されているとみられる。

◆今後発表される統計では、貿易や生産などの企業関連の指標が注目される。輸出額は10月に続いて前年比でのマイナスが見込まれており、製造工業生産予測指数によれば生産も前月比でマイナスの見込みである。設備投資環境は改善基調にあると見ていたが、企業の海外進出も勢いを増しており空洞化のリスクも懸念される。

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