森山未來主演で映画化された「ボクたちはみんな大人になれなかった」の原作者・燃え殻による映像化のための書き下ろし新作「あなたに聴かせたい歌があるんだ」が、Huluオリジナルドラマとして2022年5月20日(金)に全8話一挙配信される。成田凌をはじめとする豪華キャストが顔をそろえた、17歳の“あの日”と27歳の“いま”が切なく交錯する群像劇の魅力を紹介する。
成田凌主演、燃え殻が書き下ろした共感度100%の群像劇
「ボクたちはみんな大人になれなかった」をはじめ、ままならない日々と輝いていた過去のギャップを切なくも温かく見つめてきた人気作家・燃え殻。彼が、かつて17歳だったすべての人々に向けて書き下ろしたのが「あなたに聴かせたい歌があるんだ」だ。
27歳の教師を馬鹿にしていた17歳・高校2年生から10年が経ち、あの日教室にいた生徒たちはいまや社会人。役者・アイドル・小説家・バンドマン――あの日憧れた夢の職業を目指していたはずが、現実にぶち当たり夢半ばのいま。「こんなはずじゃなかった」人生に苦悩する各々が、少しだけ前に進む姿を映し出していく。
各話の主人公を務めるのは、「愛がなんだ」の成田凌、「ちょっと思い出しただけ」の伊藤沙莉、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「リバーズ・エッジ」の上杉柊平、「旅のおわり世界のはじまり」の前田敦子といった、数々の優れた日本映画で輝きを放ってきた若手実力派たち。過去と現在のギャップを見事に演じきり、観る者の感情を切なく揺さぶる。そして、キーパーソンとなる教師を演じるのは田中麗奈。
この6人が演じる男女が、10年という月日をどう生きてきたのか。それぞれの胸に去来する悲喜こもごもは、私たちが生きてくる中で抱いてきた感情とシンクロするものばかり。共感性が抜群の作品であると同時に、1話20分程度という“見やすさ”も嬉しいところ。忙しい日常の隙間時間に、かつての純粋な感情を取り戻す旅に出かけてみては?
何かを諦めたことがあるすべての人に贈る、人間讃歌
自分は“最強”だと思って疑わなかったり、夢は叶って当然だと信じていたり、何も知らないからこそ純朴に生きられ、未来に希望を持っていたあの頃。多くの“かつて17歳だった”人々の胸には、ほろ苦い記憶と共に当時の日々が収められていることだろう。根拠のない自信に跳ねるような活力、それらはモラトリアム期を抜けた先でどう変容していくのか――。「あなたに聴かせたい歌があるんだ」は、6人の男女の姿を通してその実情を見せていくとともに、微かな希望も感じさせてくれる群像劇だ。
17歳のときには知らなかった「諦める」ということを、否応なしに体験してしまった27歳。役者を目指すも鳴かず飛ばずで、上司の接待に疲れ気味の社会人2年目・荻野智史(成田凌)。アイドルになれず、オーディションで心ない言葉をかけられ続ける前田ゆか(伊藤沙莉)。いつまでも小説家“志望”のままの片桐晃(藤原季節)、武道館を目標に掲げるもバンドは売れず、ラーメン屋を継ごうとする中澤悠斗(上杉柊平)、人生の岐路に立たされたモノマネ芸人・島田まさみ(前田敦子)。姿を消した元英語教師・望月かおり(田中麗奈)。それぞれが向き合う今は、哀切なまでに痛々しく、人生の世知辛さを感じさせる。
後悔や挫折、諦念。そうした各々が感じる“痛み”は、決して荒唐無稽なものではない。誰だって夢や理想と現実のギャップに苦しみ、その中で折り合いをつけて生きているものだ。思い通りにならない人生に、意味などあるのか……。多くの“大人”にとって、そう思ってしまった経験は少なくないだろう。「あなたに聴かせたい歌があるんだ」の6人も、同じ苦痛の中で生きている。だが本作は、決して生々しい“つらさ”だけで終わらない。たとえ夢描いていた未来と違っても、ここまで生きてきた時間は無駄ではなかったと感じさせてくれる“救い”が各エピソードに用意されており、観る者を温かく包み込んでくれる。
それぞれが一歩を踏み出す契機となるのが、キリンジの名曲「エイリアンズ」。10年前、自分の過去をバラされた望月が教室で流したこの曲がもう一度再生されるとき、人生が再び動き出す。「サヨナラまでの30分」でも音楽×青春ドラマを見事に融合させた萩原健太郎監督の手腕が光る楽曲の使い方にも、注目いただきたい。
夢を諦めてしまった人々に贈る、切なくも沁みる人生賛歌「あなたに聴かせたい歌があるんだ」。5月病に象徴されるように、何かと悩みがちなこの時期にぴったりな処方箋だ。
「あなたに聴かせたい歌があるんだ」公式サイト
<提供:hulu>