「ペンパイナッポーペン」がネットを席巻したわけ

ヘザー・チェン記者

なんという時代なのだろう

画像提供, Piko-Taro

画像説明, なんという時代なのだろう

あなたは全くわけが分からないと思うかもしれないが、あるビデオがネットを席巻している。

一度耳にしたら頭から離れない歌「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペンの略)」を歌うのは、ヒョウ柄の衣装に身を固めた「シンガーソングライターのピコ太郎」ことお笑い芸人の古坂大魔王さん。歌詞はこうだ。

「アイハブアペン。アイハブアナッポー。アッポーペン!アイハブアペン。アイハブパイナッポー。パイナッポーペン!アッポーペン。パイナッポーペン。ペンパイナッポーアッポーペン」

しかし、「40歳のシンガーソングライター」がどうやって、ペンとアップルとパイナップルを組み合わせたこんな奇怪な歌を作り出したのか。

「ピコ太郎」は自らのツイッターアカウントで、ファンの質問に英語でこう答えている。「遊びで歌を作っていたら、歌うのが早すぎた」。

Pineapple

画像提供, Science Photo Library

なぜ話題に?

一気に拡散されることを意味する「バイラル」(感染的)な動画に必要なあらゆる要素が備わっていた。やみつきになるようなビートや、ばかげた歌詞に加えて、笑いを誘う踊りの振り付けまである。

1分余りの歌の動画が初めて「ピコ太郎」のユーチューブ・チャンネルに上がった後、フェイスブックで拡散されるのは時間の問題だった。

ユーチューブの動画は400万回再生されたが、エンターテインメント系のポータルサイト「9GAG」のフェイスブックページでは、再生回数は4400万回以上に上った。

ピコ太郎

画像提供, Twitter: Pikotaro

ある人にはバイラルな動画も、ある人にとっては不幸の種

フェイスブックユーザーのカルロス・アンドレス・シルバさんは、「もう破滅だ。この歌を頭から追い出すことは金輪際できない」とコメント。ネルソン・リベラ・エイドリアン・ペイジさんも同調し、何度も再生してしまう自分が不安になるとコメントした。「とても楽しい一方で、極度に混乱している」。

ダニエル・ホウさんを含むユーザーたちは、「ピコ太郎」の特徴的な衣装に注目した。

ホウさんは、「ワンピースのボルサリーノの実物だっていうのに気が付いたのは自分だけなのか」とコメント。ボルサリーノは人気漫画「ワンピース」に登場する派手な服装をした人気キャラクターだ。

しかし、ある人にとっては、やみつきになる動画だとしても、ある人にとっては神経にさわる動画になる可能性がある。

あるフェイスブックユーザーは、動画が自分のアカウントに大量に流れてくるとぼやき、聞くとイライラするから共有をやめてほしいと嘆願した。

本当のターゲットは誰?

この記事の執筆時点では、「ピコ太郎」の動画が海外で話題になっているのにもかかわらず、動画を取り上げた日本の主流メディアは少ない。日本では、ソーシャルメディアでも特に大きな話題になってはいない。(訳注:その後、BBCなどの海外メディアに報道されていると、複数の民放テレビ局が動画を紹介した)

「ピコ太郎」が次のPsy(サイ=「江南スタイル」で世界的な人気を集めたポップ歌手)だという指摘も出ているが、本人もそれを考えてのことかもしれない。世界的な現象を作り出す目的のために考え出された、ネット上で影響力のある人々が紹介するような短く、印象に残る歌詞だ。

漫画「ワンピース」の登場人物ボルサリーノ(左)とピコ太郎

画像提供, Facebook: 9GAG

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しかし、人々の興奮は拡散だけに留まっていない。

模倣も

フェイスブックでは、自分で「ペンパイナッポーアッポーペン」を歌う動画や編曲など数百の投稿が見つかる。それぞれがファンを獲得している。

日本では、双子のモデル「りかりこ」など多くの有名人が「ペンパイナッポーアッポーペン」を歌って見せている。ヘビメタ調のを作った人もいるし、タイのソーシャルメディアで人気を集める「ハッピー・ポーラ」さんもカバー曲を作った。

なんという時代なのだろう。

(英語記事 How a 'Pen-Pineapple-Apple-Pen' earworm took over the internet)