シリアの外国人戦闘員、16カ月で倍増と

報告書は、各国政府の努力にもかかわらずシリアの外国人戦闘員の数は増えていると指摘

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シリア国内の外国人戦闘員の数は2014年6月以降、1万2000人から少なくとも2万7000人と倍以上に増えたという調査結果が明らかになった。調査結果を公表した米安全保障系コンサルタント企業「スーファン・グループ」によると、アラブ諸国からの戦闘員が最も多いという。

アラブ地域以外では、西欧やロシア、中央アジアからの兵士が多く、欧米諸国へ帰還する割合は2~3割という。

「これはその脅威の規模を把握しなくてはならない各国の治安・捜査当局にとって重大な課題だ」と報告書は指摘し、「戦闘員の移動が最も多い国々では過激派勢力「イスラム国」(IS)による採用活動はより緻密で地域に根差したものになっている。単独で加入する者は少なく、家族や友人の役割が拡大している」と解説する。

報告書によると、いわゆる「イスラム国」のほか「他の暴力的な過激派勢力」に参加する戦闘員の出身国は少なくとも86カ国と多岐にわたっている。

最も多い出身国は約6000人を輩出したチュニジアで、2位はサウジアラビア(2500人)、3位はロシア(2400人)、4位トルコ(2100人)、ヨルダン(2000人)と続くという。

欧州連合(EU)加盟国出身の外国人戦闘員は約5000人。欧州の一部の国が特に多く、シリアで戦闘に参加するためにフランスを出た人数は約1800人、英国とドイツはそれぞれ約760人、ベルギーは約470人という。この推定によると、3700人以上がEU4カ国出身ということになる。

報告書は一方で、北米からの採用はほぼ一定で、「そのほとんどは、特に初期段階は、もっぱらソーシャルメディアに依存している」と指摘する。

報告書に協力したリチャード・バレット氏はロイター通信に、「ISISの募集呼びかけに対して我々はもっと効果的に対応していかなくてはならない」と話した。バレット氏は以前、英対外情報部(MI6)の国際テロ対策責任者。「ISIS」は「IS」の別称。

バレット氏は、ロンドン地下鉄のレイトンストーン駅で刺傷事件を起こした男に通行人が放った「You ain't no Muslim, bruv」(あんたなんかムスリムじゃないぜ)という言葉に触れ、大勢の共感を呼んだこの言葉の方が「ラッカを空爆するよりはるかにISISに打撃を与えた」と評価した。

(英語記事 Syria conflict: Number of foreign fighters 'doubled in 16 months')