初期の太陽系にそっくり、太陽系外「カイパーベルト」を発見

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太陽系の「カイパーベルト」に似た塵のリングがケンタウルス座の太陽型星の周りに見つかった。リングの大きさをはじめ太陽系との類似点が複数あり、幼い頃の太陽系の姿に似ているかもしれないという。

【2015年6月1日 Gemini Observatory/すばる望遠鏡】

太陽系の海王星軌道の外側にはエッジワース・カイパーベルト(以下、カイパーベルト)と呼ばれるドーナツ状の領域があり、そこには主に氷でできた天体が多数存在する。氷天体は惑星形成の名残とも考えられており、カイパーベルトは若い頃の太陽系の素顔に迫る手がかりを与えてくれる。

また、太陽に似た若い恒星の周囲に広がる塵のリングを観測すれば、太陽系が若かったころの姿をイメージすることができる。しかし、これまで直接撮影されたリングは、恒星から離れていたり恒星の誕生環境が太陽と大きく異なっていたり、恒星が太陽より重かったりと、太陽系のカイパーベルトに似ているとは言いがたいものだった。

国立天文台ハワイ観測所(すばる望遠鏡)研究員のセイン・キュリーさんが率いる研究チームは、南米チリにあるジェミニ南望遠鏡に搭載された「Gemini Planet Imager (GPI)」を用いて、ケンタウルス座の方向約360光年の距離に位置する8等星HD 115600を観測し、その周囲に塵のリングを発見した。HD 115600が太陽より少しだけ重いことや、太陽が生まれた環境に似た星団にこの恒星が存在していること、恒星からリングまでの距離が太陽系のカイパーベルトとほぼ同じであることから、このリングは若いカイパーベルトにそっくりかもしれないという。

HD 115600の塵のリング
HD 115600の塵のリング。見た目は土星の環を横から眺めた姿に似ている。十字印(+)は中心星の位置、丸印(◯)はリングの中心(提供:Thayne Currie/国立天文台)

さらに、塵のリングの中心が恒星の位置から少しずれていることも明らかになった。これは、恒星の周りを未知の惑星が回っており、惑星との相互作用でリングに歪みが生じたと考えれば説明がつく。研究チームは、観測された塵のリングの「色」についても、カイパーベルトの主要構成物質である氷やケイ酸塩などの塵で説明しうるということも指摘している。

今回の発見はジェミニ南望遠鏡のGPIによる成果だが、最先端技術に基づき太陽系外惑星や太陽系外カイパーベルトを見つけ出すためのすばる望遠鏡の観測装置「SCExAO (Subaru Coronagraphic Extreme Adaptive Optics)」も観測を始めている。「以前は50分以上の露出でも見つけられなかったものが、たった50秒で見つけられるようになるのです。GPIでの成功をふまえると、すばる望遠鏡が誇る最新鋭の惑星探査装置SCExAOも間もなく、カイパーベルトに似た塵のリングや太陽系外惑星をたくさん発見するのではないでしょうか。SCExAOは『第二の地球』発見への足がかりとなるでしょう」(キュリーさん)。

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