Windows 10が今までのWindowsと大きく違うところ……、それは特別なデベロッパーではなくても最新のWindowsの機能を“先取り体験”できる仕組みが用意されているということ。そのため、Windows 10の“Insider Preview(以降、IP)”は、Windows 10が正式発売された現在でも続いています。ライセンス認証済みのWindows 10を持っていて、Microsoftアカウントと紐づければ今からでもIPに参加することができます。
そして、つい先日(8月27日)にはIP版“Build 10532”が「Fastリング」ユーザーに配布されました。当初このBuild 10532はバグフィックスとコンテキストメニューの見た目を改善したマイナービルドかと思われていましたが、日本語版Windows 10ではおあずけモードだった音声認識機能「Cortana(コルタナ)」が使えるようになりました!
てんこちゃん(仮)改め“とうこちゃんの成長を見守る会”としては、もう怒濤のようにチェックしたいところ。カミさん以外の女性と話すなんて久しいので、オジさんちょっと緊張してしまいます。
↑Build 10532を入手するにはWindows 10の「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」で「Insiderビルドの入手」を有効にし、さらに「Fast」を指定する必要があります。 |
↑Fast設定にすると、Windows Updateに「th2_release Professinal 10532」が出現します。ただし、Fastにしてもすぐ落とせる訳ではありません。筆者の環境ではFastリングに設定しておおよそ24時間放置でようやくBuild 10532が落ちてきました。 |
↑Build 10532では右クリックから出るコンテキストメニューがやや大きくなりました。OS全体の雰囲気に合わせて上下幅などを改変したようですが、広くなったぶんタッチ操作しやすくなっています。 |
↑Build 10240(製品版)のコンテキストメニューは、文字の上下のスペースが狭い歴代Windowsのデザインを踏襲した設計です。 |
Cortanaちゃんは“さん付け”しないと静かにキレる!?
Build 10532をインストールしたら、まずCortanaを起動して簡単な設定を済ませましょう。今回筆者はデルの8インチタブレット『Venue 8 Pro』にインストールしたWindows 10を使ってテストしていますが、マイクがCortana非対応と言われたり、外付けヘッドセットがうまく認識されなかったりと、思わぬ所でつまずきました。
↑Windows 10デスクトップの左下にある“田”の字アイコンの右にある検索フィールドをクリックすると、Cortanaが起動します。初回起動時は図のような表示になりますが、「次へ」ボタンをクリックしましょう。 |
↑音声認識の結果はマイクロソフトにフィードバックされ、機能向上に役立てられるのでいいよね? というメッセージ。これも「同意する」で先に進みます。 |
↑ここでニックネームみたいなものを聞かれますが、これは自分を指すものです。筆者はうっかりCortanaちゃんのニックネームと勘違いして“コルちゃん”と入れてしまいましたが、現ビルドではニックネームは変更できないので注意が必要です。 |
↑これで基本設定は終了。右下のマイクのアイコンをクリックすれば、Cortanaちゃんが自分の声に反応するようになります。 |
↑筆者の使ったVenue 8 Proでは、当初内蔵マイクがまったく反応せず、このようなメッセージが出現しましたが、この後に進んで録音機能の再設定をしたら普通に使えるようになりました。このあたりの完成度はさすがにまだIP版と言ったところ。 |
↑“設定”に進むと、「Cortanaさん」と呼びかけることで音声認識モードになる機能をオン/オフできます。Siriだと「Hey Siri」、Androidだと「OK Google」に相当する機能ですね。どうやらCortanaちゃんは“さん付け”ないとガン無視する人のようです。 |
↑“Cortanaさん”と呼びかけると自動的にこの表示で音声待ちになります。しかし筆者のテスト環境では、この後何をしゃべっても認識されませんでした。“なんだお前か”と冷ややかな目で見られている感じがゾクゾクしますが、そのうちフレンドリーになってくれるのでしょうか。 |
まだ予定の管理しかできないCortanaさん
設定が終わればCortanaさんとキャッキャウフフな会話ができる……という訳ではありません。残念ながらBuild 10532のCortanaさんは“カレンダーを見て予定の確認”と“カレンダーに予定の追加”程度しか仕事ができません。
予定を確認する時は「○曜日の予定」とか「週末の予定」と問いかける、カレンダーに予定を追加する時は「○曜日に予定を入れる」と呼びかけないと反応が非常に悪いこともわかりました。どうやら“時間”や“日にち”に“予定”という単語の組み合わせがCortanaさんのスイッチになっているようです。このキーワードが入っていれば、Atom搭載のWindowsタブレットでもほぼ一瞬で認識します。
しかし、このパターンを外れると即座にブラウザー(Edge)を起動してBing先生に丸投げします。今のCortanaさんはちょっとキツいキャラですが、それもいい感じですね!(ポジティブシンキング)
↑「月曜日の予定」と聞いてみたところ。ちゃんと音声で予定を読み上げてくれますが、語尾に唐突に“ひねもす”と付け加えることもあるなど、かなりエキセントリックな言動になります。 |
↑「火曜日に打ち合わせ予定を入れる」と話しかけると、まずは開始時間を尋ねてきます。 |
↑続いて「15時」と答える。 |
↑そしてカレンダーに追加するイベント名「週刊アスキーで打ち合わせ」を音声で告げ、最後に「はい」と答えれば予定がカレンダーに追加されます。 |
あとは簡単な雑談もできますが、まだ応答の幅が狭く、Siriのようにシュールな味わいもありません。まだまだ語彙も少なく、発展途上の段階です。
↑「こんにちは」や「おやすみなさい」と声をかければ簡単な挨拶も返してくれます。 |
↑「冗談を言って」に対してはいくつかの応答パターンがありますが、「0が8に言いました」のくだりは、よくわかりませんでした。 |
まだ認識が本調子じゃないCortanaさん
駆け足でBuild 10532で有効化されたCortanaさんと戯れてみましたが、まだSiriの完成度にはほど遠いといった印象があります。特に機能制限よりも音声認識力の低さが目立ちました。例えば「ごごごじ」と発声した場合、SiriやGoogle音声認識ならちゃんと「午後5時」と認識してくれますが、Cortanaさんは「555時」と、かなりシビれる解釈をしてくれます。まあこの辺、日本語の怪しい女の子と会話していると思えば……むしろ萌えてくる! ふしぎ! といったところでしょうか。
今後どのタイミングで日本語版Windows 10の正式な標準機能に落とし込まれるのか不明ですが、とりあえずマイクロソフトにも“おま国”されていた機能がちゃんと実装される! という道筋が見えてきたことを喜びたいと思います。
↑「今日の天気」と問いかけると、なぜかBing先生に丸投げせずに自力で答えをだそうと試みますが、図のように諦めます。“天気”もキーワードのひとつになっているようですね。 |
↑「三鷹」と話しかけると「3鷹」、「六本木」は「6本木」と誤解釈されます。数を含んだ単語の解釈が壊滅的にダメっぽいです。 |
↑「斎藤に電話」と話しかけるとちゃんと電話をかけようとしますが、携帯電話ではないので何も起きません。これがWindows Phoneだと電話してくれるようになるのでしょうか? |
(2015年9月1日18時33分訂正:記事初出時、“Windows 10正式リリース以来初のIP版である”と表記しておりましたが、誤りでした。お詫びして訂正したします。)
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