小泉のガセネタ
民主党「ガセネタ」メール騒動は、とうとう問題の送金指示メールを持ち出した永田議員の辞職、党執行部の総退陣という事態に至った。
別に、民主党をかばうつもりはない。裏も取れていない怪しげな情報を振りかざして与党を追及し、逆襲されると途端に総崩れというお粗末さには開いた口がふさがらない。おかげで当のライブドア問題はもちろん、米国産牛肉輸入問題も、耐震偽装問題も、官製談合問題も、すべてが道連れでうやむやにされてしまった。
しかし、民主党の「ガセネタ」ばかりを叩くマスコミや世論の動向には強い違和感を感じざるを得ない。
「ガセネタ」は民主党の専売特許なのか?
そうじゃないだろう。それどころか、例のメールを「ガセネタ」だと言った小泉首相こそ、ガセネタを利用してインチキな政策を強行してきた張本人ではないか。
2003年3月、小泉首相は「大量破壊兵器の脅威をどう取り除くかが課題だ」「大量破壊兵器や生物化学兵器は大勢の生命を脅かす。危険なフセイン政権が武装解除の意思を持たないと分かった以上、米国の武力行使を支持するのが妥当だ」と、ガセネタを根拠にブッシュのイラク侵略をいち早く支持した。イラクに「大量破壊兵器」などなかったことが否定できなくなると、「フセイン大統領はいまだに見つかっていない。見つかっていないから、イラクにフセイン大統領は存在しなかったとは言えない」とまで強弁した。同年10月に自衛隊のイラク派兵を閣議決定した際にも、「開戦時に米英を支持した決断は今でも正しいと思う」と述べている。
小泉首相のこの言動は、送金メールの根拠が示せないまま、「メールの信憑性は高い」と言い続けた民主党・前原代表といったいどこが違うのだろうか?
更に、「ガセネタ」だったことは同じだとしても、その実害には雲泥の差がある。
あの送金「ガセネタ」メールに、いったいどの程度の実害があっただろうか? せいぜい、名指しされた武部勤自民党幹事長とその二男、そして堀江氏に対する中傷程度のことだろう。
しかし、小泉首相のガセネタがもたらした害悪はそれどころではない。
小泉首相がガセネタを利用してブッシュの侵略・殺戮行為に加担しなければ、二人の外交官、奥克彦氏と井ノ上正盛氏がイラクで射殺されることも、香田証生氏が生きながら首を切り落とされることもなかったはずである。
ガセネタで三人の同胞を死に追いやった小泉首相の罪は、永田議員などとは比較にならないほど重い。
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コメント
小泉さんが「私は自民をぶっこわす」っていってたけど、すごい勢いで民主がぶっこわれたなぁ。
投稿: ひーちゃん | 2006/04/20 05:23
>ひーちゃん さん
当然でしょう。
「構造改革」にせよ「自民党をぶっこわす」にせよ、小泉首相の言うことはすべてがすり替え、欺瞞ですから。
彼の言うことを真に受けて票を入れた有権者がバカだった、というだけのこと。
投稿: Virgil | 2006/05/02 22:15