十人十色の物語 ミルキィホームズという怪物は此処にいる
この記事はだいたい3分くらいの記事です
「怪物は此処にいる」
ミルキィホームズというのはまさに異形の化けものだ。それをどのように語ればいいのだろう。混沌より這い出でる者。誰よりも愚かなる賢者。隠されて語られぬもの。
みんなは気付いているだろうか?確信を持っているだろうか?わたしはミルキィを見ているあなたたちに問いかけたい
「あなたの見ているミルキィは、あなたの隣で見ている人の見ているミルキィと同じですか」と
ミルキィホームズを語っているブログは多い。このブログでもそうだし、それ以外にも多数あるだろう。
わたしの拙いアンテナで見たところミルキィホームズは次の4つに大別される
- 物語の構造的な側面に注意しているところ
- ハイセンスなギャグに注目しているところ
- 2に近いが、よりセクシャルな側面に注目しているところ
- 作画や音楽といった面に注目しているところ
まぁ、細かく分類するともっとあるだろうが大きくこの4つ+αといったところが大勢ではないだろうか
あるいはこれらの複合で見ている人もいるかもしれない。
わたしなどは1と2の合わせで見ている人間で、それは以前の記事でも現れていると思う
無数の可能性を秘めた物語と「約束された結末」 -探偵オペラ ミルキィホームズ―
隠れた謎と隠されたなぞ。ミルキィホームズを読み説いてみる ミルキィホームズ第4話感想「バリツの秘密」
同様に3に注目しているひとたちにはkarimikarimiさんがいる。
わたしは会ったことない方なのだが、この方のブログで語られた内容が実に面白かった
[アニメ]「探偵オペラ ミルキィホームズ」 森脇真琴による間接的ポルノ描写の美しさ
この前の記事で今期冬アニメの注目記事もやられている(わたしの記事も入れてもらってて、ありがたい)ので、見てみてほしい。
[アニメ]注目のアニメ演出記事のまとめ 2010冬アニメ前半
で、性的描写の記事でkarimikaimiさんがとても興味深いことを言っている
大事なのは「これは、絶対に性的である」と言い切れないという点だと思っています。「言われてみれば、そう見えないこともないね」ぐらいの示唆が丁度いいと思うんですよ。「正解はひとつ!じゃない!!」ですしね。性的な連想をしてしまった人は「あ~毒だな~」と楽しめて、性的な連想をしない人にとっては、全然邪魔にならない、ぐらいの具合が丁度いいと感じています。さすが、おねがいマイメロディの森脇真琴さんといったところでしょうか。ミルキィホームズめっちゃくちゃ面白いですよね。
これはまさにそうだと思います。
ただ、それは性的な描写に限らないことなのではないかなーという思いがあります。
物語に注目すると「大きな物語」「構造」が目にとまり、ギャグに注目すると「隠されたパロディ」に目が行く。
そして性的な方向に注目するとやはりそういう風に見えてしまう。
こういう風にみると「ミルキィホームズを○回見返したー!」っていうのもよくわかる。
あとこれだけさまざまな解釈が産まれているというのも。
以前いずみのさんの「サマーウォーズ量子論」を語ってくれたんだけど、今回は「気付き」を利用することで「お前は俺と同じミルキィを見ているのか!」という現象を引き起こしている。
だからミルキィは何度でも見れるし、飽きない。
「ミルキィホームズ」というアニメは「視点を変えると物語の面白さは変質する」という現象を巧みに利用している。
これをみて思うのだ。
「怪物は此処にいる」と
[締め]
以上の理由でミルキィホームズは多様な解釈の余地が残される。また同時に、だからこそミルキィホームズが「気付き」の境界をこえることは「ない」だろう。それは「境界の先」を望む視聴者には歯がゆい部分もあるかもしれない。だが黙してこそ語れることもある。そして、黙してこそ得られる普遍性もある。故にてれびんは前言を撤回しよう。以前わたしは記事で「「ふつうのアニメ」とか言われちまってるぞミルキィ、おいっ!?どうするんだよっ!?」という記事を書いた。だが、もし制作者の「気付き」に気付けないものがいた場合、もしかしたら「ちょっと変わった普通のアニメ」と認識することもあるかもしれない!……たぶん……きっと
また蛇足だがこれも付け加えておこう。もしあなたがミルキィの記事で「これはないわー」という物を見つけたとしよう。そう。たとえばkarimkarimさんの「性的描写」の記事のようなものでもいい。ひとによっては「ないわー」とか「いやだなー」という人もいるかもしれない。
「自分はこう見れない」とか思うものがあるかもしれない。でもそれは「その見方が間違っている」ということではないのだ。制作サイドが無数に用意したフック、その異なる部分に異なる人間が引っかかってしまったにすぎない。だから、そのような記事を見つけた時はこう思ってほしい。
「そうか、そういうフックも用意しているんだな」と
そして「自分はそうは見れないなー」と思って寛容に対応してほしい。
同じ一つのアニメ。だが、その見ているものが一つとは限らないのだ
(今回ちょっとまじめなてれびんであった)
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あ、ちなみにゲームぽちっちゃったよ(笑)
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そしてコミックももうすぐ届く
てれびんは完全なミルキストに近づいてきてるな・・・(さきはまだまだ長いぜ)
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コメント
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はじめまして、こんにちは。俺もミルキスト……とまでいくかどうかは分かりませんが、結構ハマっているクチです。
ご考察、うなずかされました。
と、同時に、これは別に、ミルキィだけに限った話ではないと思いますよ。
どのアニメにしても、またアニメ以外の作品にしても、それぞれの作品は「自分の視点でしか」読み解くことができませんしね。芥川の『藪の中』のようなもので。
実は先週、東京のコクヨショールームで富野さんと坂本教授の鼎談の生視聴に行ってきたんですが、俺が思った感想と、他のブロガーさんが書いていた感想とで、ものすごく違っていたんですね。同じ現場で同じ話を聴いていたはずなのに。
でも、それは当たり前。同じもの観ていたとはいえ、着眼点が一人ひとりちがうんですから。それが、人間というもので、だから人さまのブログは凄く面白いし、参考になるし、ためになるし、といった楽しみがたくさんあるわけです。みんながみんな同じこと言ってたら、つまらない。
ただ、そういう意味では、ミルキィは特にフックが大きく、かつ多い(しかも方向性が実に多方向な)作品だと思います。
俺はそろそろ結末の持っていきどころが気になっている方なんですが(トイズの復活はあるのか、アルセーヌ様の身の振り方がどこにどう着地するのか、など)、まだそこいらへんはあまり話題に上っていないようなんですよね……ということで、またミルキィの感想ブログ巡りをしてしまうわけです^^;
フックも吸引力もありすぎる。そこがこの作品のスゴいところだと思うし、この作品のどでかい魅力だと思います。
投稿: トネリコ | 2010年11月24日 (水) 10時16分
ああ。どうもありがとうございます。そのあたりの話はツイッターでも話されている方がいて、機会があれば書こうと思っていたことです。(書くのを忘れていたのをいま思い出しました(笑))
そうですね。同じ話を聞いていても別の見方をするというのはその通りだと思います。同じ物語を見ても異なるアニメとして見てしまう。それは仰る通りです。同じように泣ける映画を見て、同じ場所で泣いたとしてもそれはその人たちが「同じように泣いたこと」の証明にはならないと思います。(まぁ、この話は別の機会にできればいいと思います)
ただ、今回わざわざミルキィホームズでこのように取り上げたのは、これを意図的に、ねらって演出したのではないかと考えたから書きました。
http://blog.goo.ne.jp/tcg1234/e/5b9f2d591142e6fde644f5a8ac70f6f9
こちらの方でミルキィホームズのプロデューサーの方にインタビューが載っているのですが、「何回でも見れるアニメ」をねらって作ったと仰っています。
そこで同じアニメを何回も見せる方法として「人によって異なった見方をする」というのを利用したのではないか、と。
1度目はギャグアニメ、2度目は友情、3度目は作り手のこだわり。といったように見るたびに色を変えるようにねらった可能性があると思ったんです。
(もしかすると作り手が凝りに凝りまくってそのような現象を起こしてしまったという方向もあるかもしれませんが、それはそれで言及に値する事柄だと思うのです)
投稿: てれびん | 2010年11月24日 (水) 14時57分